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あのね、ついに武器が揃ったの。

気配もなく、まるで最初からそこにいたかのように。


 私達の前に突如現れたのは。


この世界での最高位種族。

 天人と双璧をなす・・・・・・。


 魔人。


 一人は、長身の女性。歳は見た目では不明。人間でいえば二〇代半ばってとこかな。

長い前髪が顔を覆っていて、目線は見えない。口調とともに、とても落ち着いた雰囲気。


もう一人は、とても小さい子供。あくまで見た目だけど。白いフードをすっぽり被っていてこちらも表情は見えない。でも、わずかに見える口角はつねに上がっている。


 

属性は、私と同じ闇。

 されど、一見するとなにも纏ってないように見える。


 その理由は単純。


 あまりの範囲の広さに、把握できてないだけ。

 つまり桁違いの属性値って事だよ。


「で、私達になにか用かなぁ?」


 できるだけ心を落ち着かせて問いかける。


 これは時間稼ぎ。


 この時点で私は選択肢をいくつか厳選していた。


 1・・・・・・。このまま、答えを待たずに不意打ち。


 2・・・・・・。身構えつつも、対話による対応。


 3・・・・・・。とりあえず、逃げる。



 まず、3は論外。出口は魔人側にあるし、円ちゃんは私の後ろ。相手の属性の中にいる以上、動きは完全に把握される。興味をもって接触してきた以上、見逃すとも思えない。


 さて、1も論外だねぇ。

 でも少しだけ、シミュレーションしてみようか。



 私は握ったままの魔剣に命じる。

 円ちゃんに声かけ。


「円ちゃん、やるよっ!」


 そして、飛び出す。


 この三つは同時。


 標的は、妙齢の女性。

 一気に間合いに入った。


 魔剣による首元への斬撃。さらに地面からは闇の鎖を全方位から放つ。


「おいおい、なんだ、こっちはやる気はないってのに・・・・・・」


 女は動かない。

 代わりに動いたのは。


「あ~あ、馬鹿だね、お姉ちゃん」


 目線は下に。私の胸元には、少女が。


 放ったはずの闇の鎖は、いつの間にかかき消されていて。


「あ、姉御っ!」


 円ちゃんの声が聞こえたのが先か。


 私の胴体が、半分に別れたのが。


 もう、そんな事を考える間もないまま。


 デッドエンド。


 

 シミュレーション終わり。

 

 だよねぇ。

 私が天人に対抗できたのは、最も相性のいい属性値が高かったからだよ。

 2体1で、さらに神器を駆使して、なんとか退けたんだ。


 同じ属性で、さらに人数有利もなし。

 円ちゃんの属性なら、相性はいいけどいかんせん、昨日今日会得したばかりの付け焼き刃じゃちょっと分が悪いよね。


 

 てことで、消去法で二になりました。

さっきも思ったけど、なにか目的があって私達に接触してきたはず。

 なら、そこにつけいる隙がある。

 

「で、私達になにか用かなぁ?」


「いや、なに。先日の天人との戦いを上から見ていてな。いやはや、歓心したものだ。ただの人間があの天人の中でも最強の部類のあいつにあれだけのダメージを与えてみせたと」


「あは、本当に凄いよ、お姉ちゃん達。普通なら考えられないもん」


 まぁ、あっちもかなり舐めてかかってくれた結果だけどね。

 後は、謎の声による補正がなかったらやられてた。

 あれのお陰で、私と円ちゃんの連携が倍じゃなくて、乗になったからね。


「それはありがとうだよう。でも、ただ褒めにきてくれただけかな?」


 そんな訳ないよね。

 一体、なにが目的なのか。

 なんとなく、考えられる理由は一つだけど。


「そうだな、私の歳は、2532歳、この子は、1256歳だ」


 ふむふむ、なかなか長生きさんだねぇ。

 でも、これで、言いたいことは分かったよ。


「もういいよぉ。目的は分かったの。それならさ・・・・・・」


 まず、命の心配はなくなったね。

 それなら、後は逆に利用させてもらうよぉ。


私は、ここでやっと緊張をとくことができたの。


 

 数時間後。


神官を皆殺しにした小島より、さらに南に位置する孤島。


 私達は、魔人に抱えられこの島へと。


「私が知ってるのは、ここくらいだ」


「うん、後の一つは神器ならなんでもいいんだよぉ」


 島の面積、そのほとんどが巨大な穴だった。


 上から見下ろすが、底が見えない。


「降りるぞ」


 私達、四人は、大穴に向かって落ちていく。


 かなりの深さ、どんどん日の光が届かなくなり、ただただ真っ暗闇。


 どれだけ降りたのか。

 壁が、地面が緑色に光りを放っている。


「ついたな」


 地面に足をつける。


 地の底は、相当の広さ。

 天然のヒカリゴケが自生してるのか、視界も悪くない。


「たしか、この奥だったか」


 魔人のお姉さんの後をついて行く。


 程なく、前方から嫌な予感。


「あぁ、言ってなかったが、ここは巨人の住処だ」


 私達の前に、姿を見せたのは。

 私の身長の何倍もある、巨人達。


 その体格に見合った、石斧を持って。

 こちらをじっと見ていた。


 一、二。また、奥から二体、三体。


 次々、増えてくね。


 私達は足を止めるが。

 あちらは、どんどん近づいてくる。


 たしか、巨人てかなり凶暴で強大じゃなかったっけ。

 地上じゃ、適応できなくてここに籠もってるみたいだけど。

 他の種族達に、追いやられたってのが正解か。


 そうこうしている内に、巨人が目の前まで迫っていた。


 魔人のお姉さんと見つめ合っている。


 かと思ったら。


「あがぁああああああああああああああああああああああああああああああ」


 凄まじい咆哮。


 そして、石斧を振り上げた。


 あんなの打ち付けられたら肉片も残らないよぉ。


 でも、今の私は、とても落ち着いているの。

 なんたって、こっちには。


「おいおい、こんな反響する場所で、馬鹿でかい声で叫ぶな・・・・・・」


 魔人のお姉さんが一言呟くと。


「このデクが」


 地面から闇の波動が柱のように湧きだし。

 巨人を包む。

 そして、跡形もなく消滅した。


 隣の少女も僅かに動いた。

 

 それは手首がほんの少しだけ。


 空間に幾千もの線が浮かんだ。

 それに伴い、巨人の身体が、幾千の肉ブロックに変化。


「おい、このまま進むぞ。目的の物は、この奥だ」


「あ、は~い」


 私と円ちゃんは、この二人の背中を追うだけ。


 前の巨人達は、彼女達が歩く度に、肉片、またはなにも無くなり。

 とにかく、足をとめる事はなかったの。


 最奥に、あった。


「これでいいだろ? 不服か」


 神器。これで揃った。

 七人の妹達の武器が。


 最後の武器は、とてもいい。

 見た目も、そしてこの禍々しいオーラ。


「ううん、最高だよぉ」


 これを持つ事になるのは、必然的にあの子になるけど。


 このままだと、彼女の精神が壊れそう。


 だから、しっかり教え込まなきゃね。


 誰が、ご主人様かって。


 さて、私が動いてる間、あっちもただ遊んでるわけがない。

蓮華ちゃんは、一体どのように動いていたのか。

 

 それは近々分かると思うけど。

 

 とっても楽しみだよぉ

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