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あのね、アイドル活動始めたの。

  電気は電撃魔法でなんとかなる。

 コイルを作って、磁力もあるから作れるね。

 後は、弦も作って・・・・・・うん、音は出せそう。


 この世界で、アイドル活動をしようとした理由は勿論あるよ。

 私は、同姓ならあれをああすれば虜にできるけど、異性はそうはいかない。まぁ、やらないだけなんだけど。男には極力触りたくないの。


 この世界を統一するにあたっての障壁は、天人派、魔人派という宗教にも似た概念。

 葵派にするなら、その信仰を変えなくてはならない。根強く続いているそれを私の色に染めるのは生半可な事ではできないね。


 でも、この前の処刑を見ていて思いついたの。

 この世界は娯楽が不足している。そして、大半の者は天人、魔人を見た事はない、いわば偶像を崇めてるにすぎない。

 そこで、ちゃんと目に見え分かりやすい信仰の対象を植え付けられる可能性があるの。


 私のいた世界でも、アイドルに狂信的になる者も少なくない。

 他に類がない状態で、私達が始めれば取り入れられる思う。

 これが、うまくいけば天人、魔人派の垣根を越えて私達を支持する人も出てくるよ。



 というわけで、早速、自分達の陣地内で実験的に歌ってみたよ。

 人前で歌うのを恥ずかしがり拒む妹達をなんとか説得して、振り付けも覚えて、歌も作ってと、事前の準備は大変だったけど一応形にはなった。


 カジーナちゃんやフレムちゃんはダンスが苦手みたいだったけど、夜遅くまで練習してた。

 パンドラちゃんは踊りは完璧だけど、音痴だったからもう口パクでいいよって言ったの。


「殺したいほど、貴方を愛してる~♪」


「キル! キル!」


「いっそ振り向かないなら、その首筋にナイフをあてがおう~♪」


「キル! キル!」


 作詞、作曲は私。スピーカーを作る課程で、録音機も出来たから音を吹き込んでそれらしい物を作った。私の世界の技術が頭にあるから、材料さえあればここでも再現できる。それは別大陸に侵攻する時にも、存分に発揮させるつもり。まずは、人出がとにかく欲しい。


 当初は、人も疎らで興味本位で覗いてた程度だった観客だけど、大音量の音楽が珍しい事もあいまって、何度も続けている内に人垣ができるほどになったよ。

 遠方から態々私達を見に来る者も現れ始めた。そろそろ、人数を制限するためにお金を取る段階に来たね。



 今日の公演を終え、私達は汗だくで拠点へ戻った。


 東の魔人派である国や町を中心にライブをしたの。歓声が鳴り止まないほど大盛況だった。


「みんな、お疲れ様~」


 最初は吹っ切れてなかった妹達も、今ではノリノリだよ。観客に手を振って愛想を振り舞うまでになった。たしかに、自分にあれだけ熱い想いをぶつけられたら気持ちいいものね。


「フレムちゃん、アンケートの集計は取れた?」

「うん、すでに係りの者がライブ中に終わらせてくれたよ」


 好き勝手歌えばいいってわけじゃないからね、お客さんの要望などはつねに情報として集めなくてはならない。


「一番人気は、パンドラだね、竜人というレア種族に加えて巨乳なのが大きいのかな。それと、同種族を押す傾向が強いよ。カジーナちゃんならドワーフに人気があるし、私の支持はノームが大半みたい」


 いいね、全種族集めたかいがあったよ。みんな可愛いし、私達に死角はないね。


「あ、後、女性票はほぼ姉さんに入ってるよ。観客の男女比率が姉さんのおかげで均衡してるね。さすが、姉さんだよ」

「えへへ、そうかな」


 ちょっと複雑だけど、それはそれで嬉しいよ。

 このまま、人気が出れば外交も有利になるね、このノスタルユーリ大陸は東の大国を落とすだけ。


 海を越えて東の大陸、グラドオルにはドワーフが多く住む。

 ノスタルユーリを完全に制圧する前に、グラドオルのドワーフ達を手に入れたいね。ここの技術は早々に利用したい。


「少し不安だけど、私達の活動をグラドオルまで伸ばしたい、あくまでアイドルとして活動だよ。ここで、ドワーフ達を取り込めれば一気に戦略に幅ができる」


 同じドワーフのカジーナちゃんに頑張ってもらおう。カジーナちゃんは長老の孫娘でもあるからすんなり上手くいくかもね。


「さぁ、みんな、新曲を作ったから、新しい振り付けを覚えるよっ!」


 センターをカジーナちゃんにして、出来るだけ目立つようにしなきゃね。



 私の世界では有効な兵糧攻め、ここではゲートがあるから使えない。いくら国の周囲を味方で囲っても簡単に逃げられちゃう。今まで奇襲に重点を置いていたのはそんな事から。


「バルバリアの城内にあるゲートがどこに繋がってるかわかればいいのだけど」


 大抵、転移ゲートは、バルバリア級の大国なら、見張りもいてちゃんと管理、監視されてる城下町に一つ、そして有事のさいに使用する偉い人用が一つ。


「魔力の流れとかで、わからないかな?」


 魔法が本職のエルフに聞いてみた。エルシーちゃんと、エルダちゃんは首を振る。


「無理ぞな。ゲートは複雑な魔法式で構成されてるぞな」

「わかるのは着工したエルフくらいぞな。たいてい国のお抱えぞな」


 う~ん、攻め込んで優勢になっても王族が揃って逃げ出されたら・・・・・・。できれば不安の種は其の都度摘み取っておきたい。恨みを持たれる前に一族皆殺しは基本だよ。


「予測はできるかな。同じ天人派で、親交がある国に逃げるだろうし、別の大陸なら厄介だけど」


 どちらも同時に攻め込めればいいけど、そんな戦力はまだないからね。このまま水面下で準備を進めるか。でも、早めに大陸は統一したい。

 私がこの先の展望を模索していると、ドアが開いてカジーナちゃんが入ってきた。


「お、お姉ちゃんっ!」

「ん? カジーナちゃん、どうしたの」


 いつも可愛いけど、今日はとびきりの笑顔だ、すごくペロリたい気分にさせられるよ。


「あ、あのねっ、一つだけど、お姉ちゃんの武器の加工終わったよっ!」

「えっ! 本当っ!?」


 元々、ドワーフの天才児カジーナちゃんをここに連れてきたのは、私の神器である魔剣を使いやすいナイフに変えてもらうためだったの。いくらカジーナちゃんが優秀でも神器に手を加えるのは苦戦してたけど、ついに出来たんだね。魔剣は二本あるけど片方がついに完成か。


「うふふ、丁度いいよ。そろそろ暴れたかったんだよね」


 最近、血を見てなかったし、あの肉が裂ける感触が懐かしいよ。

 ここに来ての殺害人数、163人。

 まだまだ増やすね。

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