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あのね、ついに揃ったの。

 談話室に妹達を集めた。


 ドワーフで赤髪のカジーナちゃん。

 エルフで双子の、エルシーちゃんとエルダちゃん。

 ノームで眼鏡のフレムちゃん。

 鬼人で貧乳のオニチナちゃん。

 竜人で巨乳のパンドラちゃん。  


 これで、妹が6人。

 私も入れてセブンシスターズ。


 円卓を囲む私と妹達。


「いきなりだけど、私には目的があるの。それを貴方達に手伝ってもらいたい」


 6人の視線が私に集中する。


「金の瞳と銀の瞳が欲しいの」


 勿論、ペペちゃんの人形に付け替えるため。

 私がそういうと、一同に緊張が走った。


「金の瞳と銀の瞳・・・・・・それって」


 カジーナちゃんが呟く。吐き出す言葉はとても重そうだった。

 そして、その理由はここにいる全員が知っていた。


「金の目を持つのはこの世界では魔人だけぞな」

「銀の目を持つのはこの世界では天人だけぞな」


 エルシーちゃんとエルダちゃんが同時に言った。


「姉上・・・・・・この世界の国々は必ずどちらかに与しています。天人の庇護を受けるか、魔人の恩恵を得ているか」


 オニチナちゃんも続けて口を開いた。


「天人と魔人は大陸には存在しない。空の上、天空でそれぞれの縄張りを管理しているのじゃ」


パンドラちゃんも補足する。


「転移などの魔法でもあそこにはいけないよ。もし、手に入れたいというなら・・・・・・」


 フレムちゃんが言いかけて止めた。


 これ以上はとても大それていて、簡単には口に出せないんだね。

 だから、私が言うの、はっきりと。


「行けないなら、引きずり落とすまでだよ。それには、やつらの縄張りを全部取らないとだね」


 私が明瞭にそう宣言すると、妹達は喉を鳴らした。


「て、天人と魔人は少数ながら途轍もない力を持ってるよ。それは鬼人や竜人より上、そしてその二つの種族に対するのは、すなわち全世界を敵に回すって事だよ」


 さっきも出たけど、この世界の国々は天人か魔人、どちらかの管理下にある。それは種族別ではない、同じエルフでも国によっては天人派と魔人派に別れていた。

だから妹達が二の足を踏むのも仕方が無いと思う。それは充分理解できるから無理強いはしないつもり。


「無理だと思ったら断ってくれていいよ。ここからは覚悟がある子しかいらない。全てを捨ててでも、私に付いてきてくれるって子だけでいいの」


 妹達の顔を眺める。皆一様に強ばっていた。

 やっぱり、無理だったかな。いきなり世界を相手にするって言われても誰も真面目に受け取ってくれないよね。そもそも私達はまだ出会ったばかりでそこまで繋がってもいないしね。


「・・・・・・まだ・・・・・・出来てない・・・・・・から」


 静まりかえったこの場を破ったのは一番大人しいカジーナちゃんだった。


「ん? ごめんね、聞こえなかったよ」


 あまりに小さな声だったので耳まで届かない。


「ま・・・・・・まだ、お姉ちゃんの武器、出来上がってないからっ! 私はまだお姉ちゃんの傍にいるよっ!」


 今度はとても大きな声だった。カジーナちゃんはフルフルと震えていた。一生分の勇気を振り絞った感じ。


「カジーナちゃん・・・・・・」


 うん、私も今抜けられると困るよ。


「そ、それを言うなら私達もぞなっ! まだゲートは未完通ぞなっ! 途中で投げ出すのエルフの名が廃るぞなぁっ!」

「そうぞなっ! たとえ姉様が出てけって言っても、意地でも完成させるぞなっ!」


 双子ちゃん達が立ち上がる。二人とも腕を振り上げて勇ましい。


「エルダちゃん、エルシーちゃん・・・・・・」


 そうだね、ゲート以外にも魔法で色々力を貸して欲しいもんね。


「天人、魔人、どちらも一度手合わせ願いたかったんですよね。姉上はその機会をくれるというのでしょう? なら断る理由はありませんね」


 オニチナちゃんがすうっと席を立った。その体には気迫が漂っている。


「そうじゃの。そもそも、竜人と鬼人だけはやつらの支配は受けておらぬ。我も前々から奴らに上から見下ろされていい加減嫌気がさしておったわ。丁度良い機会じゃ、このうっぷん晴らしてやろうぞ」


 パンドラちゃんも負けじと、目に見えるほどの闘気を纏い出す。


「オニチナちゃん・・・・・・パンドラちゃん・・・・・・」


 二人の戦闘力は不可欠だよ。なんたって国を落としていくんだからね。

 ここで、全員の視線が一人に集まる。

 最後に残ったフレムちゃんは、その12の瞳に曝されながら、コホンと咳払いをすると腰を上げた。


「ふう、全く馬鹿げてる。こんなのうまくいくわけないわ」


 フレムちゃんはやれやれと両手を翳しながら、溜息を一つ付く。そして再び口を開いた。


「そう、だから私がいないと駄目よね。不利な戦局を覆すのはいつだって優れた戦略と戦術だもの。こんな馬鹿げた事を成すには、馬鹿げた頭脳がいるの。だから姉さんに一番必要なのは私ってわけ」


 フレムちゃんの眼鏡が今まで見た中で一番輝いた。


「フレムちゃん・・・・・・」


 これで全員が私に付いてきてくれると言ってくれた。

 うふふ、とても、とっても嬉しいよ。


「味方はここにいる七人だけだよ。だから、誰よりも結束してなければならない。妹達は全員対等な存在、みんな仲良くしようぉっ!」


 私が腕を上げると、みんな一斉にそれに続いた。


「おぉぉぉ! ・・・・・・ぞな」


 高々と上げられる七つの腕。


 良かった、良かった。誰一人欠ける事なく次のステージに進めるよ。

 断ってたら、私、こんな可愛い妹を・・・・・・いたかも。


「とはいえだ、姉上。まず初めに妹達だけで決めておかねばならないことがある」

「そ、そうだね」

「そうぞな」

「たしかに」

「そうね」


 オニチナちゃんがそう言うと、他の5人も頷いた。


「ん? なんだろ?」


 私を蚊帳の外に出して何を決めるのかな。

 オニチナちゃんがすぐに叫び、答えを出してくれた。


「皆分かってるようだな。決めるのは、この中の誰が姉上の夜伽をするかだっ!」


言葉を受けると、全員が一斉に身を乗り出した。


「警備をいう意味合いもある、ここは一番強い我がつくのが妥当じゃな」


「馬鹿め、私の方が力量は上だっ! 私の方が適任だと思うがな」


「なにを言っておるぞなっ! 左右をガードできる私達が一番ぞなっ!」

「そうぞなっ! そうぞなっ!」


「お、お姉ちゃんは、何か抱いてないとぐっすり眠れないの。私の体くらいが丁度いいんじゃないかな・・・・・・」


「はん、貴方達じゃ無理ね。何が起こっても冷静に対処できる私が姉さんの傍にいるのが妥当ってもんでしょ」


 6人が睨み合う。対等とはいったけど、いきなり喧嘩しちゃ駄目だよぅ。


「譲らぬというなら力づくじゃっ!」

「望む所だっ!」

「ここは魔法勝負でいくぞなっ!」

「ぞなっ!」

「こ、米を箸で掴んで皿に移す勝負がいいかな」

「駄目よ、学問で勝負しましょうっ!」


 どんどん、ヒートアップして行く。

 その後、一向に話が纏まらなかったので、最終的に私が決断したの。

 一日ずつのローテーションで私と一緒に寝ることにして、なんとかその場を納めたよ。


 全員が不満そうだったけど、妹達は平等に接するつもりだったし、これでしばらく行こうと思う。妹同士の絆を深めるために色々組み合わせを変えていこうかなっと。

  


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