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あのね、一気に二人ゲットなの。

 次はエルフって決めてたの。それも、この拠点に直接ゲートを作れるほどの魔法力を持つ子がいいね。


 この拠点は、入り口を入ると広いスペースがあり、白い偶像が置かれた祭壇が奥に置かれている。左右には二階の各部屋に繋がる階段がある。部屋は全部で8室、その中で一際広い部屋があって、私とフレムちゃんはそこで今後の展開を話あっていた。カジーナちゃんは自室にこもって今日も武器の加工をがんばってくれている。


「フレムちゃん、単独でゲートをここに設置できるような、そんな条件にあったエルフっ子いないかな?」


 眼鏡のノームちゃんこと、先日新しく妹になったフレムちゃんに尋ねる。


「そうだね、エルフっていっても通常種とダークエルフがいるよ。どちらも魔法には長けてて、大きな違いはないけどね」

「ほうほう?」

「ダークエルフはその名のとおり、肌が褐色で髪が今のアオイ姉さんのような紫っぽい色。そしてエルフは真っ白な肌に金髪だね、で、どちらも魔法に関して、ずば抜けた能力を持つ天才児がいる」

「なるほど~、とはいえ二人はいらないね。でも、褐色は捨てがたいし、金髪もいいなぁ」


 私がむぅむぅと悩んでると、フレムちゃんが助言してくれた。


「実はその天才児は双子なんだよ。エルフとダークエルフの混合児。禁忌というほどでもないけど、古い種族観を持つ者達にはいい目で見られないから孤立してるはず」


 なんと、双子っていうならまた話は別だよ。これはどちらも欲しいね。


「よし、どっちも妹にしよう。でさ、フレムちゃん、もう一つ聞きたいんだけど、エルフで一番綺麗な耳してるのは誰だろう?」

「耳? それなら、やっぱり女王かな、それともお姫様か・・・・・・どっちもかなり綺麗だからね。ってなんでそんな事聞くの?」


「うふふ、秘密」


 勿論、耳が欲しいからだけど、人形を作ってるのは妹達には内緒。完成した暁にはちゃんとお披露目しようと思ってる。でも、女王とかいうなら奪うのは国を相手にするってことで大変そうだね。今はまだ力が足りないからお預けかな。


「じゃあ、ちょっとその子達、連れてくるね。フレムちゃん、留守番お願い。その間、次の計画の進行を考えておいて」

「うん、アオイ姉さん、気をつけてね」


 私は、二人の妹を残しエルフの里に向かった。



 私がエルフを欲しがった理由は二つ。


 一つは拠点に直接ゲートが欲しかったから、これで移動がかなり楽になる。ここから近くのゲートまで結構な距離があるからね。


 二つ目は、強化魔法を私にかけてもらうため。今でも自分で出来るけど、活動限界イコール私の魔法力なので、全力使用だと10分くらいなんだ。魔法力の貯蔵量が多いエルフならもっとこの時間を伸ばせるはず。今は大人しくしてるけど、これからいっぱい暴れなくちゃいけなくなるの。さらに重ねかけすれば何重にも基本能力の上昇が望まれる。


「双子、双子、どんな子かなぁ~」


 私は意気揚々と二人を向かえに行く。


 二人が住むのはエルフの里から離れた森の中。二人っきりでひっそり住んでるみたい。

 同種から忌み嫌われる異端児達か、なんか私みたいだね。生まれつきそんな要素を持ってこの世に出てきちゃったんだもん、自分じゃどうしようもないのにね。

 森に入ってる行くと、小さな丸太作りの小屋が見えた。あそこかな。


「どうも、どうも~」


 ドアを開けると、金髪のエルフが一人いた。私が突然入ってきたからとても驚いてる。


「わぁ、本当に耳尖ってるんだね、いい感じっ!」

「だ、誰ぞな!?」


 私と同じくらいの背の大きさ。エルフって長身だと思ってたから、これは嬉しい誤算。


「あれ、もう一人いるよね? その子はどこかな?」


 家の中には彼女だけだね。褐色の子は見当たらない。私が見渡していると、背後から強い殺気が襲いかかった。私は反射的に低く身を屈める。今、上半身があった場所に何かが通り抜けた。


「妹から離れろぞっ!」


 振り向くと、探していた褐色エルフちゃんが両手を翳しながら立っていた。魔法かな、不意打ちで強襲なんてなかなかいい子、ますます気に入っちゃった。


「あ、大丈夫だよ。君達に危害は加えないよっ」


 私は両手を挙げてそう言ってけど、褐色ちゃんの敵意は消えない。


「じゃあ、何しにここに来たぞな!? それも人間がっ!」


 よほど人間というかエルフ不信なのか、凄まじいほど敵視してるね。それだけ虐げられてきたって事かな。


「うんとね、私ね、魔法の使える子探してるの。で、貴方達に決めたの。だからね、連れてくよ」

「・・・・・・・・・なにいってるぞ!?」

「後で説明するね、だから大人しくしてて」


 今日が、今までと違うのは、ドワーフやノームより戦闘力があるってこと。しかも二人だから気は抜けない。私はスカートの中からナイフを二本取り出す。


「あんまりちょろちょろしてると、つい殺しちゃうから気をつけてね」


 ここで、スイッチを入れた。そして強化魔法を発動させる。


「な・・・・・・なんっぞっ!」


 人間の私が魔法を使ったのに驚愕している、いや魔法だけなら人間でも魔女なら扱える。褐色ちゃんが驚いてるのは、私が使ったのが高ランクの魔法だったからだ。


「ね、姉ちゃんっ!」


 通常エルフちゃんも家から出てきて、私を挟み込む。体は覚束ないけど必死に姉を助けようとしている。うんうん、これは妹にしがいがあるね。


「このぉぉぉぉっ!」

「えぇぇっぇっぇっぇっい!」


 二人同時に魔法をぶつけてきた。バスケットボールくらいの火の玉。魔女の時もこんなの撃ってきたけど、あの時は野球のボールくらいだったし、早さも段違い。これが魔法力の差なのかな。


「そーーいっ!」


 私は二つのナイフでその弾を切り裂き真っ二つにする。四つに分かれた炎の砲丸はそれぞれ爆発、周囲に熱風を撒き散らす。


「ま、魔法を切ったぞな!?」

「な、なんなのぞ、あの人間はっ!?」


 う~ん、無傷で捕らえるのって難しいなぁ。妹の方はなんか回復魔法使えそうだし、少し位いいかな。いやいや、確証はないから止めとこう。傷が残ったら大変だもんね。


「なんぞなっ! なんぞなっ!」


 今起きている現象に頭が対処できなくなったのか、二人は混乱して魔法をがむしゃらに打ち込み始めた。私は初見でダメージ量を見切ったので、特の今度はなにもしない。強化魔法を得た時点で自分を切りつけてどこまで無効化できるかちゃんと把握している。この程度なら凌ぐまでもない。爆音と爆炎が収まるまでしばらくの時間を要した。二人は魔法力が無くなるまで打ち続けていたから。


「さてさて、気が済んだかな。じゃあ行こうか」


 息を切らしてもう力は残ってないみたい。私は魔力切れで疲れ果てていた二人を両肩に乗せると走り出す。


「なんぞっ! どこに連れてくぞなっ!?」

「いいから、いいから」


 強化魔法の残りを計算しながら走って行く。魔法はその威力や効果に比例して魔力の消費も大きくなる。今はとりあえず二人を抱えて早く走れるほどでいいから節約しながら使用しないと。


「私達をどうする気ぞっ!」

「いいから、いいから」


 ゲートを乗り継いで、拠点を目指す。途中人目に触れたけど、エルフとダークエルフを肩に抱えて走る人間の図はとても関わりたくはないみたい。皆、我関さずって感じだったよ。


「離せぞっ! 降ろせぞぉっ!」

「いいから、いいから」


 ようやく、拠点についた。中に入ると、フレムちゃんがいてさすがにびっくりしたみたい。


「お、おかえり、姉さん。その子達は?」

「うん、朝言ってた双子だよ、これから姉妹の契りを交わすから、晩ご飯はいらないよ」


 私がそう告げるとフレムちゃんは顔を真っ赤にして、ちょっとむくれている。


「いいなぁ・・・・・・その子達・・・・・・じゃない。姉さん、お手柔らかにね・・・・・・」

「うんっ!」

「なんぞぉ~、なんぞぉ~!」

「なにする気なのぞぉーー」


 私は抱えたまま階段を上っていく。カジーナちゃんやフレムちゃんを妹にした部屋に連れて行く。

 ベットに放り投げると、上着を脱いだ。


「安心してね、常識外れだから、大丈夫だよ」


 目を光らせる。舌で唇を舐め回す。


「ひぃっ」


 そして私はベットに飛び込む。

 その後、常識外れな・・・・・・。



 起きたら朝だった。二人分だから疲れちゃった。

 中央に寝る私の左右でエルフちゃん達が寝息を立てている。私の腕に両手をしっかり絡めていた。


「名前、何にしようかな・・・・・・」


 褐色のダークエルフちゃんは、エルダかな。で、通常の白いエルフちゃんはエルシーにしよう。

 私が上半身を起こすと、二人が目を覚ました。


「あ・・・・・・」


 二人は、私と目が合うとさっと逸らした。う~ん、この初夜の後の朝はみんな可愛い反応を見せてくれるからいいね。


「今日から、二人は私、葵の妹達だよ。よろしくね」

「う、うん。わ、わかったぞな。・・・・・・アオイ姉」

「よ、よろしくお願いするぞな。・・・・・・アオイ姉様」


 うんうん、これでエルフはゲットだよ。

 次は純粋な戦闘要員妹が欲しいね。

 それが揃ったら、いよいよ暴れるよ。

 行動を起こす前に地盤は固めなくちゃだよ。


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