守護者召喚!
ミクのなまえを変えよう。ネギさんのイメージが強すぎるようですw
ミク⇒リタ
黒弧に関して間違っていたので修正。
イリスが訓練所に着くと何人かの幼い兄や姉達が既にその場に居た。彼らはイリスを見て侮蔑したような視線で見て、直ぐに興味が無くなったのか視線を逸らす。
(一番上のお兄様達は居ないか。まあ、当然だろうけど)
20に届くか届かないかの年齢の長男や長女は既に領地運営に関わっている。古くから続くエーベルヴァイン家の者達は総じて才能があり、強力な魔法使いだ。その中でも長男のジェラルドは卓越した魔法技術をはじめとした様々な才能を持ち、圧倒的な実力を誇っている。もちろん、性格には問題ありだが。
(まあ、魔力を回復させていよう。それにしても、なんだか聞いた事のある名前がいっぱいだね……)
そんな事を考えているイリスは壁際で目を瞑って静かに回復を待つ。それから少しして訓練所にローブ姿の若い女性ドーラと執事のグスタフが入ってくる。
「それでは授業を始める。今日は守護者の召喚を行う。各々準備するように」
「「「はい!」」」
他の兄弟達が元気よく返事をする。ドーラはその実力の高さから領主が特別に呼び寄せた元宮廷魔法使いだ。その為、子供達にもよく言い聞かせてある。
「イリス様は私とお勉強ですね」
「うん」
訓練所の住処に移動してグスタフが授業を始める。その内容はエーベルヴァイン伯爵領があるアスタリアの国についてだ。アスタリアという国は皇帝が支配する帝国であり、封建制を敷いている。帝国の国力自体は大きくその魔法技術は他国を圧倒している為、戦争でも常にこちらが攻める側となっている。そして、貴族達の腐敗も進んでいるが、今回は置いておこう。
「国に関してはここがアスタリア帝国という事と皇帝陛下がいらっしゃる事を覚えておけばよろしいです」
「うん、わかった」
(まあ、一般的な異世界ファンタジーだよね。いや、それよりも気になる事があるし、聞いてみよう)
「皇帝陛下の名前は何?」
「フリードリヒ・フォン・アスタリア皇帝陛下です」
(ちょっ!?)
イリスは今までの事から気づかないようにしていた事実を改めて認識し始める。認識しないようにしていたのにも理由があるが。
「息子さんは……」
「ラインハルト殿下ですね」
「敵国は……トゥルガ王国とノルニラ連合国ですね」
「教国は?」
「教国はありませんが、神聖王国ヴァルハラはございます」
(もう確定じゃない! 前の人生で死ぬ直前までやっていたワールド・オブ・エンブリオの世界って事だよね。そうなると――)
イリスが思い出すのは情報だ。ワールド・オブ・エンブリオは基本的なストーリーがあるMMORPGだ。そのストーリーが問題だった。ワールド・オブ・エンブリオは勇者やその仲間達と共に世界を冒険し、邪神と魔王を滅ぼす事を目的としている。エーベルヴァインは……ジェラルド・フォン・エーベルヴァインが異世界より邪神の配下である魔王を召喚して融合してしまうのだ。つまり、簡単に言えば魔王ジェラルドがシナリオボスで、ラスボスが邪神となっている。もちろん、これは追加要素が無い状態のストーリーで、神聖王国も色々ときな臭い所がある。ちなみに追加要素を入れると古代の機械帝国などが復活する。
(し、死亡フラグいっぱい。無茶苦茶いっぱいだよ! いや、でも待て、考えるんだ。どうせ二度目の人生、ハードやアンノウン通り越してルナティック上等じゃないか! それにエーベルヴァインなら色々とできる! 敵はプレイヤーだろうけど知ったことか! 目指すはラスボス! 勇往邁進あるのみ!)
「どうしましたか? ご気分が優れないなら……」
「ううん、大丈夫だよ」
(イリスふぁいおー!)
イリスはとある魔法少女に習って気合を入れる。
「では魔法講義を開始します」
「はい!」
この世界に属性は基本的な火、水、風、土、光、闇がある。魔力とイメージによって魔法は作成される為、体系化できない魔法も存在するが、基本的にこれらの属性に当てはまる。そして、基礎の魔法以外にも特殊な魔法が存在する。
「我がアスタリア帝国は召喚魔法が得意です。その中でもエーベルヴァイン家は代々召喚師の家系として非常に有名です。そうですね、帝国内でも皇帝陛下を除けば五指に入ると言われています」
「うん」
「イリス様もエーベルヴァイン家の血を引いておりますから、召喚魔法は使えるはずです」
「知ってるよ。召喚魔法って確か場所によって召喚できる者も違うんだよね?」
「そうです。例えば水の中なら水に関係する者が召喚され、火の中ならば火に関係する者が召喚されます。この為、本人の属性も大切になってきます」
火属性の魔法が得意ならば、火を作り出して召喚すれば術者が焼ける事なく召喚が行われる。そして、その後の問題も解決しやすい。
「召喚後、制約の儀式に入ります。召喚時に強制的に制約させる方法と試練を受けて制約する方法がございます」
「後は触媒とか、特殊な場合もあるんだよね?」
「はい。触媒の等級や使用される魔力量によって変わりますね」
「それが無いなら戦って制約するしかないんだよね」
「そうです。成約後、召喚された者は術者の肉体に紋章を刻み紋章に溶け込みます。さて実力ですが、召喚師は制約した召喚された者の力を自由に使う事ができますので、召喚師1人で数十人分の兵士を圧倒する事が容易くできます」
(数人で軍団を作成するとかもできるし、召喚師の力は凄いよね。まあ、自力で召喚獣を倒さないといけないし、結構辛いんだけどね。維持するにも魔力が必要だし。ワールド・オブ・エンブリオの世界なら獣人やエクス・マキナを召喚できる。特に主人公のヒロインとして出てくるエクス・マキナは本当に高性能で凄い実力がある。彼女なら場所も分かっているし、召喚方法もしっかりと把握している。主人公の時は封印解除用の召喚魔法を声に出して読んだだけだし、魔力さえあれば問題ない)
「さて、召喚師は制約した者を召喚中は無防備になります。その為、常日頃から召喚しておく守護者を作る必要があります。守護者は召喚者と相性のいい者が召喚される事が多いですが、一部例外がございますし、触媒によっては最初から強力な召喚獣を手に入れる事も可能です。イリス様の場合は残念ながら効果な触媒は用意できませんが」
「うん、大丈夫」
(安い物で強い子を召喚できるし問題ないかな。ワールド・オブ・エンブリオの知識を最大限に使わせて貰うし)
祝詞や魔法陣など覚えていたイリスにとってこれぐらいは慣れた事だ。何せ何度も繰り返しているのだから。序盤の召喚で強い召喚獣を手に入れる為にはリセマラ……リセットマラソンは基本なのだ。ワールド・オブ・エンブリオの場合は祝詞と触媒によって変わる為に総当りで調べたりも行われた。イリス自身も調べてネットに投稿していた為、しかっりと覚えていた。
「守護者を維持する魔力はどうなるの?」
「守護者のキャパシティ次第ですが、制約により常に総魔力量が減ることになりますが通常の召喚獣を召喚しているよりコストは軽くなります。彼らの特殊能力を使うと更に魔力が必要な事もありますが」
魔力という燃料が充分に無ければ十全に動かないという事だ。それに加えて守護者となると生物なら食事も発生する事になり、余計にコストが掛かるという問題もある。
「他にご質問は?」
「大丈夫だよ」
「では……っと、あちらも守護者を召喚したようですね」
訓練所の真ん中の方を見ると、そちらでイリスの兄達が守護者を召喚していた。召喚された召喚獣は雄叫びをあげながら口から火を噴くトカゲ。
「あれはサラマンダーですね」
「だね」
サラマンダーは燃える炎の中や溶岩の中に住んでいる火を司る精霊ともいえる存在で、成長すればドラゴンに進化する事も可能である。
(種族は色々とあるけど、やっぱり異世界なら人型がいいよね。獣耳っ娘とか最高だしね。よし、準備しよう)
「イリス様、召喚を行いましょう」
「触媒を用意してからね」
「触媒ですか? こちらで用意しておりますが……」
「どれ?」
「こちらです」
「どれどれ……」
イリスはしっかりと触媒を見ていく。しかし、イリスのお眼鏡に適うものはなかった。
「私もお手伝いいたします。用意するものはなんですか?」
「ネズミが欲しい」
「ネズミですか……分かりました」
グスタフがネズミを取りに行く。その間にイリスは他の準備をする為に台所へと向かった。
台所に到着したイリス。イリスがやって来た事を直ぐに気付いて料理人がやって来た。
「どうしましたか?」
「小麦粉とじゃがいもが欲しいの」
「小麦粉はともかく、じゃがいもは貧しい農民の食べ物ですが……」
「欲しい。後、鍋と油も」
「しかしですね……」
「後で手伝うから」
「お手伝いですか……」
「うん」
イリスは周りを見渡してできそうな事を探す。そして見つけたのが大量の洗い物。
「こんな感じ」
見つけた洗い物を水の魔法で汚れを落として綺麗にしてしまう。それも乾燥までしっかりと行なった。
「これは確かに助かりますね」
「色々とお手伝いできるよ」
「まあ、イリス様なら大丈夫でしょう。そうだ、水をこの水瓶に出して貰う事はできますか?」
「できるよ」
直ぐに魔法を発動させて何時もの水を注いでいく。井戸から汲んでくるだけでもかなりの重労働なのだ。一般人の魔力ではこんな事に魔力は消費しないし、空気中の水分では足りない分を作り出す事は魔力量の関係からまずできない。その為にどうしても人力になってしまう。
「ありがとうございます。それではこれを」
「ありがとう」
受け取った物を運んでいくイリス。この日はじゃがいもから片栗粉を作り出すのに時間が経ち、召喚出来ずに次の日となった。
次の日、日課の訓練が終わり夕方辺りにグスタフが捕まえて来た数匹のネズミを受け取ったイリスは早速触媒の準備を行う。
「どうするのですか?」
「グスタフ、火を出せる?」
「ええ、もちろんです」
「じゃあ、焚き火をお願い」
「畏まりました」
Y字の木の枝の別れていない方を2本、地面に突き刺して長い棒に鍋を通して配置する。そして、グスタフに焚き火をお越してもらった後、イリスは小麦粉と片栗粉をお椀に入れる。
(卵が必要だけど、高いから水で代用すれば平気だよね。魔法、便利)
卵のように粘着性と栄養を持たした水を使ってかき混ぜる。
「何を作っているので?」
「天ぷら粉」
「天ぷら……?」
「東方の食べ物だよ。書物で読んだ。ネズミは食べないだろうけど」
「そうなのですか……」
少し固めまでかき混ぜたら、ネズミを捌いて内蔵などを取り出してよく洗うイリス。それから天ぷら粉に塗して熱した油へと投入する。
(油も値段が高いし作れないかな……液体には代わりないし、作れそうな気もするんだよね)
何匹か上げていき、出来上がったネズミの天ぷらを棒で作った箸で持ち上げるイリス。
「ん、完成」
「それが触媒ですか?」
「そう、お供え物」
「はぁ……」
「じゃあ、召喚する。それ、持ってきて」
「分かりました」
2人は訓練所へと移動していく。訓練所ではイリスの姉、コルネリアが召喚を行っていた。召喚されたのは子供のトリケラトプスだった。
「外れね。次」
直ぐに送還してお気に入りが召喚できるまで高級触媒を使って何度も繰り返しているようだ。
「姉さん、代わって」
「何んでよ?」
「まだ続けるなら1回だけ」
「そうね。気分転換にもなるし。あっ、触媒を使うならあげてもいいけど?」
コルネリアは小さい頃からイリスの姉として甘やかして接していた。その為、属性が発覚した後、疎遠にはなったがやはりそれなりに気になっているようだ。イリスが太った原因がコルネリアにもある。イリスが欲していた物をなんでもほいほいと与えていたのだ。
「いらない。作ったから」
「それ? みっともないわね」
「大丈夫。いいのを召喚できる」
「そう、なら見せて貰おうかしら」
「うん」
イリスは魔法陣の上にコルネリアの代わりに移動してグスタフに持ってきて貰った物を四方に配置する。それは木で作った鳥居だ。そして中心部に台を設置し、その上に紙を置きネズミの天ぷらを配置する。
「何をする気なのよ?」
「私にはわかりません」
「うん、月も出て来たし時間はいいかな。我、イリス・フォン・エーベルヴァインの名の元、供物を奉る。世界の門よ、我が呼び声に超えたえ開きたまえ」
イリスがその身に宿る膨大な魔力を魔法陣に流し込んでいく。四聖獣に見立てて四方に設置された簡易の鳥居が巨大幻影を作成していく。ただの木で出来ていた鳥居の幻影は赤く染まり、内側の空間が捻じ曲がっていく。そんな中、中心部でイリスは舞を踊る。ワールド・オブ・エンブリオは追加要素が加えられ、キャラクターを動かして神楽舞を踊らなければならないという要素も有った。今、イリスがやっているのはそれだ。振り付けまでしっかりと覚えて舞を奉納する。
(この身体、無茶苦茶辛いんですけど!!)
ゲームと同じように行くはずもない。ましてや太っているのだから。それでも魔法で回復させながら踊っていく。次第に月の光が中心部へと降り注ぎ、鳥居から朧げな姿が複数現れる。だが、直ぐにそれらは消える。そして別の者が現れる。
(違う、これじゃない。こっちでもない。この子だけどタイミングが違う)
儀式が終盤に入っていき、最高潮に魔力が高まりピークを迎えた瞬間、イリスは量の掌を打ち合わせて柏木を打つ。
「汝を我が剣にして盾とし、我が意に答え我が下に来れ、星々の化身よ。我は汝の主にして汝を満たす者なり! 召喚!」
大量の魔力が消費され、朧げだった者が実体化して顕現する。そして、光が晴れた所には黒く長い綺麗な髪をした金の瞳を持つ12歳くらいの幼い少女が居た。その少女は人族にはありえない部分がある。それは黒い狐の耳に黒いふさふさの尻尾。白い肌を覆うのは巫女服のような着物。ただ、袴は黒いスカートになっており、健康的な太ももを晒している。
「ふぅ……」
「お前が私を召喚しやがった野郎でやがりますか?」
「そうだよ。召喚に答えた事は制約してくれるって事でいいかな?」
「喰らわれる覚悟ありやがるのです?」
(やっぱり野狐か。まあ、別に問題無いし)
善狐と違い、野狐は色々とよろしくな性質を持つ、危険な妖狐だ。逆に黒狐は北斗七星の化身とも呼ばれるほど危険な力を持つ妖狐で、王者が太平をもたらしたときに姿を現す吉兆の存在とされており、平和の象徴ともなる。善狐から野狐へと変わった理由はある意味では簡単だ。若いながらも強力な力を持つ彼女は騙され、裏切りに有い権力者へと献上される。その事に怒り狂った彼女は善狐から野狐へと反転し、感情の赴くままに破壊の限りを尽くした。止めに来た他の妖狐達も構わず虐殺し、その力を喰らい続け、空狐達によって封印された。本来のゲームでは追加ファンディスクの周回プレイ用のエクストライベントの一つの最終ボスとして用意されていた。そのイベントの最後に封印が解けた彼女と戦い、勝利すれば召喚方法が手に入ってゲームクリアとなる。次の周回から転生扱いでレベル1の状態となり、理性の戻った彼女を呼び出せるようになる。そんな彼女イリスは狙って召喚したのだ。
「私が死んだ時は好きにしていいよ。それで、どうする? また牢獄に戻るかな? 同族喰らいの妖狐ちゃん」
「はっ、知ってて召喚しやがりましたか。なら、制約もわかりやがりますか?」
(これは予想以上に楽しめそうでやがりますね。それに牢獄に戻るくらいならこっちの方がいいに決まってやがりますし)
「力が欲しいんだよね? いいよ、私も同じだからたっぷりくれてあげる。だから……だから、私と制約して守護者になってよ」
「了解でやがります。まずはアタシの名前を決めろです」
(狐だからイヅナ、タマモ。野狐……ヤミ、ツクヨミ……)
「じゃあ、リタだね。っ!?」
名前を告げた瞬間、イリスは胸を抱えて蹲る。それを見ながらリタは笑っている。
「さあ、制約は成されたです。我が主として相応しいか、見せてみやがるです」
(忘れてた!! この子との制約は成功しても失敗しても高確率で死亡して喰われるんだった! もちろんそうなったらバットエンドでリスタートだったけどこっちじゃそんな事はできない)
ここでイリスが耐え切れずに死亡しても制約は成された後なので、リタとしてはイリスを喰らって力を得る上に自由になれる。つまり、死んでくれる方がリタにとってはありがたい。
「この、程度っ、なんて、ことは、無い!」
リジェネーションの魔法回路を全力で発動させて破裂した傍から修復し、血液をコントロールして耐えるイリス。普通の大人なら確実に死亡する。それを子供のイリスが耐えているのだ。
「イリス様っ!!」
「なにこれ、通れない!!」
グスタフとコルネリアイリスに近づこうとするが、召喚用の魔法陣に阻まれて近づけない。必死で耐えるイリスの身体に線が浮き出てくる。これは使用している魔法回路が全力で発動している証だった。
「これはなんでやがりますか……こんなの見た事も聞いた事もねーです。おい、教えやがれです」
「あはっ、あははははははっ、あははははははっ!!」
「聞いてやがらねえーです。まあ、耐え切りやがったからよしとしてやるですか」
紋章が刻まれる事に耐え切ったイリスとリタの間には確かにパスが繋がった。それにより、リタの身体を構成している余分な魔力がイリスの体内へと戻る。
「あー疲れた~」
「この程度で根をあげるとは情けねぇーです。っと、そういえば主の名前はなんです?」
「私はイリスだよ」
「じゃあ、イリス。これからよろしくしやがれなのです」
「うん、よろしくね」
握手をしたイリスはそのまま気絶してリタに抱き止められる。
「イリス様、ご無事ですか!?」
「貴方!!」
「五月蝿い、囀るなです」
「なっ!?」
「さっさとイリスの部屋に案内しやがれです、鈍間」
「なななななっ、ゆ、許しま――」
「はい、こちらです」
「ちょっと、グスタフ!!」
「今はイリス様を優先させましょう。制約がなされたのならば彼女がイリス様を傷つける事はありませんから」
「そ、そうね……仕方ないわ」
コルネリアはなんとか怒りを飲み込んでグスタフ達とイリスの部屋に向かい、イリスをベッドに寝かせた。するとリタが服を脱いでいく。
「ちょ、ちょっとなにしてますの!?」
「添い寝でやがりますよ。イリスがこれでは私も眠って消耗を抑えてやるのがベストなのです」
「そ、それなら別に一緒に寝なくても……」
「コルネリア様、ここは彼女に任せて私達は出ましょう」
「で、でも……」
「大丈夫ですから」
「わ、わかったわ。いい、イリスに変な事をしたら許さないからね!」
「何をどう許さないのかわからねーですが、今はさっさと寝るから出て行けです」
「ぐっ、わかったわよ」
「失礼致します」
出て行った2人を見送ったリタはそのままイリスが眠るベッドに入っていき抱きついて目を閉じた。そのまま2人は数日間目覚めなかった。