聖女になるまでの間に機械少女を取りにダンジョンへ
レギンと名乗り、聖女候補として教会に入ったイリス達の目的は聖女となることだ。そして、聖女となった時に触れられる神器のオリジナルを確保することだ。
聖女候補になるには上級天使を召喚できればいいが、聖女になるには禊や慈善事業、儀式などやらなければいけないことが沢山ある。
そのためにすぐには聖女になる儀式もできない。
だが、内部の情報を探りたいイリスには丁度良い時間となっている。しかし、問題がないかと言われればそうでもない。
(聖女候補から聖女になるまでに彼女を手に入れる。それに主人公が現れるまでに手に入れた方がいいよね。なんせ、彼女が現れたのだから)
その問題は今、イリスの隣で講義を受けている少女だ。その少女の名はアリアドナ。主人公とともに古代兵器である少女の封印を解いた聖女候補だ。ただし、まだ聖女候補にはなっていない。
「え~であるからして……聖書に記されている通り……」
聖書についての朗読から始まり、立ちい振る舞いなど様々なことが教えられていく。イリスにはその辺りのところがあまりできていない。妾の子であるから詳しく教えられていないのだ。
そんな授業を受けながらしばらくの時が経ち、最初の休みの時が来た。ようやくイリスは動きだすことができるともいえる。
「……」
「ご主人様、機嫌が悪いね」
「まあ、仕方ありませんよね」
イリスの機嫌はかなり悪い。というのも、イリスとそのメイドであるレナとニナの周りには教会騎士が数人護衛についている。それこそがイリスの機嫌を損ねている理由だった。現状、イリスは時間をおいて儀式をこなしていければすぐにでも聖女になれるのだ。教会側も護衛をつけるのは当然である。それが、イリスにとっては邪魔なのだ。
「撒きますか?」
「始末してもいいよ?」
「どちらかというと撒くだね」
「では、こちらにどうぞ」
レナの案内で馬車がでているところに到着すると、三人は通り過ぎるふりをして発進直前に乗ってしまう。騎士達は慌てて追ってくが問題ない。
「で、我等のご主人様、向かう先はどこなんだ?」
「あれ、グレン?」
「おうよ」
「なるほど。二人の手引きなんだね」
「護衛がつくのは予想しておりましたので」
つまり、二人のメイドによって何通りか用意されているのだ。当然、このままだと追いつかれるのでその対策も用意している。
「少し予定よりも遅れているよ」
「危ないかもしれないので、急いでください」
「マジか。かなりやばいな」
馬車の速度がどんどん加速している。なんでそんなことをしたのか、すぐにイリスは理解した。何故なら空からモンスターが数体降ってきたのだ。
追ってきていた騎士の人達は降ってきたモンスターと戦うしかない。そのまま進んでいくと馬車の上に獣の少女が飛び乗ってくる。
「あのモンスターはリタ?」
「うん。頼んでおいたんだ」
「妨害にはもってこいだね」
「イリス、どこにいきやがる、です?」
「ダンジョンだよ」
向かった先には傭兵団として連れてきたイリスの部下達がいる。イリスの記憶では詳しい場所までは判明していないので、部下達を使って人海戦術で調べさせたのだ。
「ここであっているか?」
見付かった洞窟の奥深く。そこにある行き止まりの壁が目的地である。
「うん、間違いないね。中にはボクとリタだけでいい。他の人は周りのモンスターの掃討して、地理を頭にしっかりと入れておいて」
「了解した」
「行くよ、リタ」
「いく、です」
壁に触れてガンバンテインを触れさせると、施された魔法陣が消滅して大きな穴が開いた。本来ならこの行き止まりに主人公達が追い込まれ、もう死ぬしかないというところで偶然に壁に触れて穴が開いて落ちることで追撃を逃れて助かった。
その先は古代の遺跡であり、機械技術が存在する。当然のようにモンスターは追ってくる。しかし、そのモンスターは防衛装置が代わりに足止めし、最終的には封印を解いた古代兵器の少女が破壊した。
では、今回はリタとイリスだけである。それはつまり、防衛装置が全て二人に向くということだ。
「ひゃっほぉーっ!」
「あはははっ!」
イリスはリタにお姫様抱っこされながら通路を走る。そんな二人に銃座がでてきて弾幕を張っていく。リタは持前の身体能力で廊下の壁や天井、床を蹴って立体的な機動で回避していく。それでも命中しそうなのはイリスの水で作った膜の障壁で一瞬だけ防ぎ、その間に銃弾から逃れる。
足を床につくと落とし穴が現れるが、リタが空中を蹴ることで避ける。しまいにはミサイルも飛んでくるがそれすら笑いながら避けていく。
このミサイルは大きな物体や驚異度の高いものを優先して狙うようになっている。故に主人公たちは助かったのだが……二人には関係ない。
次第に弾幕の隙間がなくなってくる。リタとイリスが銃座を潰していく。
「そこ右の扉ね」
「邪魔、です」
通路の奥の壁を破壊すると、迷路になっている。主人公たちはこのまま進むのだが、道をずれることでこのダンジョンは隠しエリアがあって999通りのルートがある迷宮となる。
当然、クリアしてからの周回要素として組み込まれている。なので手に入るレアアイテムも色々とある。
「リタ、ナビゲートするから根こそぎ貰っていくよ!」
「任せろ、です!」
ちなみにイリスは水の魔法で通った道に印をつけて、価値あるアイテムを取っていく。鑑定系の魔道具などもあるが基本的には機械の少女専用の武装が多数だ。
古代遺跡の深奥に到着すると、そこには巨大な扉が封印されている。それをガンバンテインで解除して部屋の中に入ると、イリス達が見たのは中央にある培養槽の中に漂っている一人の幼い少女。
「見つけたね」
「です」
彼女こそ、古代に作られた戦略級人型機動兵器クリシュナ。その力は本来の起動シーケンスを得ずに起動してもかなり強い。
「これ、ぶっ壊せばでやがる、です?」
「駄目だよ。主人公たちはそれでやったから、彼女の能力は封印されてしまったんだよね。だから、強い状態で覚醒させないともったいない」
「じゃあ、どうするのです?」
「任せて」
イリスは迷宮の方で手に入れたカードキーを使って、ルートの先の壁に書かれていた起動方法に従ってコードを打ち込んでいく。起動シーケンスが開始され、培養槽の水がなくなって蓋が開いて彼女がでてくる。




