ノルニラ連合国との戦争2
到着した次の日、イリスは陣地内にお店を開く為に元帥の下を訪れる。流石に商売をするには許可が必要だからだ。もちろん売るのはイリスが作った寝具類だ。
「儂に何の用じゃ?」
「陣内で商売をする許可を頂きたいと思いまして。こちらが商品となります。どうぞお試しください」
「ふむ」
イリスが差し出した寝具類を元帥の配下が受け取って調べていく。それから元帥へと渡される。
「これは素晴らしい物じゃな。儂のような老人には特に使えるの」
「どうなさいますか?」
「わしらの分を注文し、余っとったら販売して構わんぞ」
「了解しました。だそうですが、どうですか?」
「もちろん、構いません。それでは幾つ必要ですか?」
「任せるぞ」
「はっ。ではこちらで」
イリスは配下の人に連れられれて出て行く。隣の天幕に入り、椅子に座りながらテーブルで契約を交わしていく。
「大量の注文、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ効率よく疲労が回復できるのはありがたいですから。それよりも、先鋒の方は大丈夫なのですか?」
「ええ、大丈夫です。今は情報を集めている所ですから」
「そうですか。それで納品ですが、数はありますか?」
「十分にありますので直ぐにでも問題ありません」
「では部隊の者に取りに行かせましょう」
「はい」
それから部隊の人達に寝具を引き渡していく。その後、体験販売を開始するとみるみるうちに売れていった。
深夜、イリスの天幕にレナとニナの双子が入ってきてイリスの前に膝をつく。
「ご主人様、敵の戦艦は港に帰港し逗留されています」
「兵隊の人達も見張りを残して帰っていったよ」
「そうか。それじゃあ、行くとしようか」
「はい。全軍に伝えてきます」
レナが配下の者に指示を出す。
「ボクも準備するか」
イリスが立ち上がり、レナとニナがイリスに着替えさせていく。準備が完了し、寝ているリタを抱き抱えながら外に移動するとレナとニナがその後ろに着いていく。すでに外には装備を整えたグレン達が待っていた。
「何時でもいけるぜ」
「こちらも問題ありません」
「……ん、何時でも……」
「じゃあ、楽しい楽しい戦争を始めようか」
狂気の孕んだ瞳をしながら大きな川へと進んでいくイリス達。そのまま進んでいく彼等。イリスが先頭に立ち、そのまま流れの強い川へと入っていく。イリスが川の水に触れた瞬間、川は割れて道が出てきていく。
「いくよ」
「「「はい」」」
皆が進んでいくにつれて川の水は元に戻っていく。どんどん進んでいくと下へ下へと降りていく事になり、頭上は水で覆われていく。酸素の供給が止まるが、術式によって無理矢理酸素が生み出されて彼等が進む空間のみ呼吸の問題がなかった。もっとも、地上よりは明らかに少ないのだが、全員が魔法回路を持ち、特別な術式を施された強化人間と呼べる存在なのでこの程度は問題なかった。
「綺麗ですね」
「海底トンネルだね」
「泳いで行った時は苦労したけど、これだと楽チンだね」
偵察としてレナとニナは部下を率いて泳いで向かったのだ。この川の速い流れの中を進むのはかなり難しいが、強化人間である彼女達には容易かった。
「しかし、まさか連中も水底を歩いてくるとは思はないだろうな」
グレンの言葉にイリスが答える。
「僕達アスタリア帝国はその性質上、陸上戦を得意としているからね。わざわざ相手の土俵に立つ事もないし。もっとも、それ相応の者を召喚すればいいのだけどね」
「だな」
水龍や鯨、鮫なんかを召喚してもいいのだ。特にイリスならクラーケンを召喚して戦艦を潰すくらい容易い。
しばらく進んでいるとリタが目を覚ました。
「起きた?」
「ん~眠いでやがりますが、敵でやがります」
「敵?」
リタがイリスから離れると、直ぐに切り取られた空間の中から水中へと出て行く。少しして戻って来るとリタの手には巨大な蛇の死体が握られていた。
「シーサーペントですね」
「まだいたんだ。行きに結構狩ったんだけどね」
「やれやれ、怖い奴らだ」
「まあ、気にせず行こう」
リタがぶるぶると身体を震わせて水滴を飛ばす。それからシーサーペントを引きずって食べながらついてくる。その後、少しして対岸に到着した。彼等の頭上にはたくさんの船が逗留されている。
「じゃあ、ここから登って港と船を制圧するよ。グレン達は港を、リタやレナ達は船を頼むね。船は出来る限り傷つけないように」
「「「了解」」」
直ぐに水が入ってくる。それを船を背中に押し付けてたえる。




