どんな状況であろうとも、出会いってぇモンは、美しい
やっとのことで、布団白蜘蛛おばけから逃れたマーとおうちロボット。
いくら一回休みといっても、ほのぼのしすぎちゃいけませんぜ。
張り紙に向かって、同時に突っ込みを入れる。
「一回休み」って、双六かい!?
――ま、どーでもいっか、一息つけるんだから。あ、みかん見っけ。
コタツの上においてあるみかんを勝手に食べるおうちロボット。
(ずるーい、自分だけ食べて)
すると、マーの頭の上に、みかんが落ちてきた。
(痛っ。あっ、みかんだ。なあに? こっちにも寄越してくれたの?)
マーは、みかんをむいて食べようとすると、
――寄越してくれた、というより、俺様が口から食べたものが、ロボットの構造的にマーのいるところに落ちていくっていうか、なんていうかねえ。
(ええっ、ぼくのいるところは、君の胃の中ってことなの?)
――ロボットに胃はないような気がするけどね、あるかもしれないね。
(どっちにしても、ぼくが今、手に取っているみかんは、君が一度食べたものってことなんだね、複雑な気分)
――そう深く考えずに、食べなよ。のど渇いたろ。ビタミンも補給しなきゃ。
マーは、みかんを口にほおばる。
(甘くて、おいしい)
――わ、単純。ホント昔と変わらないな。
(うるさいなあ)
と言ったら、おうちロボットは何のリアクションもしない。二人の間に微妙な空気が流れる。
仕方がないので、マーは部屋の中を見回した。
(ここ、覚えてる。お正月、みんなで集まって宴会をするところだ)
マーが田舎に帰ると何人もの大人が集まる。
あれは、三歳頃だろうか。
酔っ払いのおじさんが、マーに絡んできた。赤い顔をして、マーに酒を飲め飲めと言うのだ。まわりの大人はげらげら笑っているばかりで、マーを助けてなんてくれない。
母さんが知らないおばさんに挨拶しろと言った。言葉に詰まったら、おばさんがなまった言葉で話しかけてきた。なんていっているのか分からなくて黙っていたら、母さんが「挨拶しなさい」と怒った。
マーは黙って絵を描いた。それはロボット。名前は、おうちロボット。
超合金の青いボディー。四角い顔、四角い体、がっちりした手足。靴はスポーツカーで、目は窓だ。窓のところが操縦席。口はベランダになっている。ベランダの手すりはおうちロボットがニイッと笑ったときの歯みたいに見えるんだ。レーザービームは口から発射される。おへそからミサイルが飛び出す。胴体の部分はマーの部屋。マーのおもちゃや、ブランコ、自転車が中にある。
(ぼくが、おうちに帰りたいって思ったら、おうちロボットが言ったんだ。ぼくの中がおうちだよって。ぼくが「うん」て言うと、ぼくの体がするっとおうちロボットの中に入った。気がついたらぼくは眠っていたんだ)
――よく思い出したな、マー。それが俺らの出会いだ。
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