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無限ループの廊下

巨大白蜘蛛は体温が高いんです。ほら、湯気が糸になる、糸になる、あなたはだんだん眠くなる……

 しゅるる~しゅるる~しゅるる~

 (何の音かな。不思議なメロディだ。春風のような暖かい風が吹いてくる。頭がくらくらする。ねむいねむいねむい)

 白蜘蛛が発光体のように輝きだした。だがそれは目くらましだった。本当は白蜘蛛に生えている産毛が、伸び、白く立ち上り、やがて本物の白い糸に変化したのだった。白い糸はどんどん伸びて触手のようにおうちロボットを絡めとろうとしていたのだった。

 おうちロボットが見得を切った。

 ――やいやい、布団白蜘蛛おばけ。おまえの正体、見たり!

 ハッとするマー。

(わー、気持ち悪いよ~)

 ――そういう時は、一目散に……。


(逃げろーッ!)


 おうちロボットは、廊下を走った。

 長い、長い廊下だ。

(ゼーゼー、ハーハー、横っ腹が痛いよー。)

 いつの間にかマーの足の下にランニングマシーンがあったことに、マーはようやく気づいた。ランニングマシーンは最高速度で動いていて、マーは有無をいう間もなく走らされていたのだ。

 マーは息も途切れ途切れで、おうちロボットに語りかけた。

(あのさあ……走るときは操縦桿とかアクセルとかで君を動かすんじゃなかったの?)

 ――だって、スポーツカー靴をさっき脱いだだろ。♪はだしの君は、自力で走る~

 おうちロボットは息も絶え絶えながら、調子はずれの歌を歌う。


 巨大白蜘蛛は、じりじりと距離を詰めてくる。

 ――もっと、早く走れよ!

(君こそ、ちゃんと走ってよ。ぼくと違って運動神経いいんでしょ)


 それにしても、ずいぶん長い廊下だ。

 直線距離50メートル、玄関、曲がる、部屋のドア、直線距離50メートル、玄関、曲がる、部屋のドア、直線距離50メートル、玄関、曲がる、部屋のドア、直線距離50メートル、玄関、曲がる、部屋のドア……。

 どの玄関にも鷲の剥製が飾ってある。玄関を通るたびに、マーと目が合う気がする。そのたびにマーはドキッとする。


 苦しい。ランニングマシーンの速度がぐっと落ちた。

(いったいぜんたい、どうなってるんだ)

 ――そうか、この廊下は永遠に続く無限ループの廊下なんだ。

(横腹が痛くて、もう走れないよ)

 ――次の玄関を曲がったら、部屋の中に隠れて、白蜘蛛をまくんだ。

(よし)


 玄関を過ぎて角を曲がると、マーは部屋の中に飛び込んだ。白蜘蛛が部屋の前を通り過ぎていく。

 ――ハアハアハア、どうやらうまくいったな。

(う、うん、よかった)

 そっとドアを閉めた。ドアの内側には、こう張り紙がしてあった。


『一回休み』


あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

お忙しい中、読んでいただきまして、ありがとうございました。

目標、完結する! です。

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