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2.わたしと説明

『は、ハッピーガール?』

英単語の『happy(嬉しい)』と『girl(少女)』を組み合わせた言葉。日本でもよく、英単語を組み合わせた単語は聞くけれど、ハッピーガールという単語は聞いたことがなかった。何かのアニメの名前だろうか。

『そうにゃ!』

クロメ、と名乗った猫はえっへんとなぜか得意気な顔をしてみせた。おそらく、クロメはハッピーガールの意味もなにもかも知っているのだろうが、私はなにも知らない。

『待って待って…どういうこと?』

今だけは令嬢として振る舞いを忘れてあわあわした。寧ろ、あわあわすることを許してほしい。こんなの、どんなに達観した人でも混乱するだろうから。

『にゃぁ…しょうがないにゃぁね。クロメが特別に色々教えてあげるにゃ』

『あ、ありがとう?』

何故、私は感謝をしているのか。何故、私が困らせたみたいなのだろうか。そんな疑問を抱えながら、私はクロメの説明を聞くことにした。

『クロメはハピネス星のプリンセスになるために地球に来たんだにゃ。プリンセスになるには地球のみんなをハッピーにしなきゃいけないにゃ』

(プリンセス…あ、メスだったんだ。)

気づかなかったけれど、確かにクロメは宝石のようなキラキラしたティアラをつけている。

(…で、ハピネス星って?ハッピーガールって?)

要点が何もわかっていない。なのでわたしは、さらにクロメに質問をすることにした。

『ねえねえ、ハピネス星って?』

『にゃっ!?あんたはそんなことも知らないのかにゃ!?』

クロメは赤いビー玉みたいな目を丸くして、両手を口に当てた。ふにゃあ、と顔が崩れて握られたスクイーズみたいになる。

(…腹立つ。)

今すぐ殴りたくなったけど、拳をふんと握りしめて我慢した。わたしは令嬢なんだ。令嬢が、動物を、はたまた人語を話せるなにかを殴ったと世間に知られれば、桜ノ宮グループは大ダメージをうける。

『ハピネス星は地球から離れたところにあるお星にゃ。クロメのおともだちがたーくさんにゃ!』

クロメは短い両手をぱあっと上に広げて見せた。生意気な性格の割に、仕草は可愛いらしい。

『じゃあ、ハッピーガールって?』

『にゃっ!?あんたは本当に馬鹿だにゃあね!』

クロメはまた目を丸くして、しかし今度は両手を広げたまま固まった。まるで精巧な模型のようだ。

『あはは…ごめんね』

(普通全部説明するでしょうが!)

普通、相手が理解していないとなれば相手の分かっていないものもすべて把握して全て順を追って説明するだろう。この猫はハピネス星…つまり宇宙人だからその辺が分かっていないのだろうか。地球に来たのだから、その辺は分かっておいて欲しい。

『えへへ、ごめんね、詳しく、全部説明してほしいな』

『全部』というところだけ腹の底から声を出した。そのせいか、クロメは少しびっくりしているようだった。そういえば、猫は大きい音が苦手だったか。

『わ、わかったにゃ。ハッピーガールは、みんなの心に潜む、バッドエンドモンスターを唯一倒せる存在にゃ。バッドエンドモンスターっていうのは、みんなの心にある『夢や幸せを諦める気持ち』から生まれるモンスターにゃ。ぐにゃぐにゃで気持ち悪いのにゃ』

ぐにゃぐにゃで気持ち悪いというのはおそらく容姿だろう。クロメの説明は、言葉は幼いけれど、ちゃんと要点が説明されていて分かりやすかった。

(なんだ、やればできるじゃん)

『ありがとう。クロメ。よくわかったよ』

さっき、女の子たちにしたのと同じように私は目を細めて、口角を上げて優しく笑った。

すると、クロメは怯えていたためか潤ませていた瞳をぱあっと嬉しそうに丸くして、口を開いた

『あのね、お願いがあるにゃ。ハッピーガールになってほしいのにゃ』

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