表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/130

第90話 令嬢の直球、婚約プレゼン

要約してしまえば――『私も抱け』という鷹司さんの直球の言葉に、ワインを少し吹きかけてしまう。


このご令嬢、なかなかとんでもないこと言う。

目を向けると、彼女はほんのりと頬を赤らめていた。


「私……これでも精一杯頑張っておりますの。男性に求愛するなど初めてのことですので……。」


そう言って少し目を逸らす鷹司さん。


正直、ちょっと可愛いと思ってしまった。

これはいけませんね。


「え~……っと、どうなんでしょう。なんとも突然な話で少し混乱しております。その、鷹司さんとは……身分が違うというか。」

「中村様。その身分が違うことこそ、重要なのです。」


俺の言葉に、彼女は再び真面目な表情に戻る。


「お仲間の皆さまも、私を気に食わないと思うことはあるでしょう。

ですが、確信をもってお伝えいたします。私を仲間にする価値はあります。」


プレゼンのような力強い言葉に、全員の注目が集まった。


「私は、所謂(いわゆる)財閥の娘です。私を仲間に迎えれば、財閥の庇護を得られます。

中村様のお力を正しく活かすためには、現実世界での後ろ盾が必要なことは、すでにご承知のはずです。」


鷹司さんはセリフィア達を見回す。


「ゲームのキャラクターであるお仲間の方々は、確かに優秀でしょう。ですが、世間は理解いたしません――私が保証人となれば、社会は中村様を正しく評価するでしょう。それだけの力を、私は有しているのです。」


「マスターの力は、財閥の庇護があって初めて評価されるものではありません。マスターの価値は、現実の制度や肩書きに依存しないのです。」


セリフィアが静かに言葉を返すと、鷹司さんが一つ頷き口を開く。


「その通りですわ、セリフィアさん。貴女のマスターの力は制度や肩書きに依存しません。ですが――社会はそうではないのです。力がどれほど純粋であっても、世間は必ず『証明』を求めます。私はその証明を差し出せる立場にあります。」


セリフィアは、じっと見つめ、告げる。


「まぁ、いいでしょう。あと、財閥の娘であることを誇るのは結構ですが……猛獣と同じ檻に入るのは、必ずしも安全とは限りませんよ。」


鷹司さんが微笑みを浮かべる。


「財閥の娘であることは誇りです。だからこそ、同じ檻に入れるのですから。危うさを恐れて距離を取るのは簡単ですが……私は、危うさを承知の上で檻に入りたいのです――中村様と共に。」


そう言って、俺を真っ直ぐに見た。


「まぁ……いいんじゃない? ここまで覚悟が決まっている女は、私は結構好きよ。」


カリーナが砕けた調子で言い、場の空気が少し和らいだ。


「う~ん……ご主人様の力を理解して尊敬していることは伝わってくるし。真剣に言っていると思う。メリットもなんとなく想像できるのよね……でも婚約っていうのが気に入らないわ。」


ルミナがペアリングのノンアルコールカクテルを傾けながら呟いた。


「お仲間の皆さまが築いてきた信頼を、私が壊すつもりはございません。むしろ、その絆に加わりたいのです。

婚約という形は、私が社会に対して責任を持つ証であり、中村様を守る盾でもあります。」


うん。

なんか。


みんなが少しずつ鷹司さんを受け入れる方向になってきてる気がする。

というか、俺を置いてけぼりにして話が進んでいきそうな気がするよ。


これ、俺の話だよね?


「まぁ、ちょっと一旦落ち着きましょう。

こんな大事な話は、いきなり結論を出すような話でもないでしょう?」


とりあえず一声かけると、鷹司さんも落ち着きを取り戻し、俺をまっすぐに見つめ口を開く。


「ええ、もちろんですわ。中村様を困惑させるつもりはございません。

ただ――私がこうして言葉にしたのは、軽い気持ちではなく、真剣な覚悟を示したかったからです。

結論を急ぐ必要はございません。ですが、私の想いと立場を知っていただくことは、きっと意味があると信じております。

ですから、どうか心の片隅に留めておいてくださいませ。」


正直、片隅どころか、心の中央に鎮座する勢いで印象に残ってるわ。

ゲームキャラクターのみんなとは、したくなったとしても戸籍も無いし、結婚できないからな……

仮の結婚式とかはできるだろうけど『ごっこ』と言ってしまえば『ごっこ』でしかない。


それに彼女たちは、言ってしまえば俺の気分一つで召喚できなくなってしまう存在なのだ。

天哭の塔の『偽物の俺』と同じ。塔の気分ひとつで、どうとでもできてしまう。


そんな俺に、鷹司さんのような人がアプローチしてきてくれているのは、考えないはずが無い。


そんなことを考えていると、いったんの区切りと見たのか従者が次の料理を運んでくる。


「オニオングラタンスープです。」


なんだか安心できる響きな気がした。


皿の上に耐熱のスープ皿が置かれ、表面にはバゲットとチーズがこんがりと焼き付けられている。どこかで見たことがあるような親しみのある雰囲気だ。


少し安心して、一口いただく。


「うま!」


安心できない旨さだった。


「ええ。これは美味しいですね。喜んでいただけたようで、シェフも喜びます。」


鷹司さん。ミラー効果狙ってやってない?

俺が食べたら食べてるよね? この人。


でも、そんなことどうでもよくなるくらい――うまっ!

ビックリするわ。


ブイヨンとかコンソメとか、格が違うんだろうな……


「話は変わるのですが、エデンフロンティア・ヴァルキリーズの運営会社の買収は進めております。ゲームデータの保護は先方に伝えてありますので、どうぞご安心ください。」


まーた、ご安心できない話が来たよ。

この人、今日いくつ爆弾を爆発させる気だ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ