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第9話 美少女はスゴイ


「なにこれ……知らんのだが……」


突然現れた、人よりも大きな巨大貝のお化け。

一目見ただけで『人間じゃ勝てない』と理解させられてしまう圧倒的な存在感。


最も近くに居る人間は俺とルミナ。

だが、周囲からは恐怖に怯えた叫び声が聞こえてくる。

このダンジョンにいる人の全てが『怖い』と感じてしまう。それ程の圧迫感を、この化け物は撒き散らしているのだ。


「る、ルミナ……」


『逃げろ』……。そう口に出しかけた瞬間、俺に名前を呼ばれたルミナが笑顔を向けてくる。


「なんでしょうご主人様。あぁ……えっとコレはすぐ終わらせますので、少々お待ち願えますか?」


そう一言告げ、すぐ魔物に向き直る。


「えい。」


可愛い声と共に、ひょろひょろパンチを繰り出すルミナ。

完全に筋肉の無い女子パンチ。

ふざけているようにしか見えないパンチ――


_/\/\/\/_

\       /

<  10万  >

/       \

 ̄/\/\/\/ ̄


貝にルミナのパンチが当たった瞬間、衝撃で貝の背中から色々なものが吹っ飛んでゆく。

まるでゲームや漫画でよくある『発勁』を食らったような演出だ。


巨大貝の化け物は、その場から動かず、ただ崩れ……倒れた。


「は?」


は?



…………いやいや、なにそれ。

いや、そんなパンチよりも、俺のピッケルの方がダメージ多いのでは?


んん?? 俺のピッケル2桁ダメージよな?

なんで?

なんでそれで10万ダメージでんの? ねぇ?


「お待たせいたしました。なんでしょうご主人様。」


とんでもなく可愛い笑顔と共に近づいてくるルミナ。可愛い。

ただ……巨大貝の化け物の存在が、ルミナの中で既に『無かったこと』になっているのが結構怖いんだが?


「お、お疲れ様。」

「いえ、とんでもございません。ザコ過ぎて肩慣らしにもなりませんでした。」


つまらなそうに溜息を漏らした後、また笑顔を向けるルミナ。


「それで、どうかいたしましたか? ご主人様。」


ん~~~~~~…………


……色々な思いが俺の中に渦巻く。そして溢れ、流れ、ぶっ飛んでゆく。

分かることは、アレだ。ルミナはカワイイ! そういうことだ。うん! もうどうにでもなーれ!


「…………ゴメン、なんか忘れたわ! 忘れたから……遊ぶか!」

「はいっ!」


全て一旦忘れて、ルミナとキャッキャウフフした。



★☆ ★ ☆


安全なはずの10級ダンジョン。

中高生の部活動にも使われる、初心者向けの“遊び場”のような場所。


そんな場所に──突如、現れた。


人間よりも遥かに大きな、新種の巨大モンスター。

その姿は、誰が見ても『イレギュラー』だった。


たまたま居合わせた数人が、スマホで写真や動画を撮影していたこともあり、

その映像はすぐにネットに拡散。

そして、ニュースへ。


「安全神話の崩壊か!?」

「部活動中の生徒が遭遇!」

「10級ダンジョンに異常発生!」


センセーショナルな見出しが並び、報道は過熱し始める。



だが、SNSでは──別の話題が盛り上がっていた。


巨大モンスターを、ワンパンで瞬殺した人物がいた。

しかもその直後、何事もなかったかのように遊び始めた。

その人物は親子のようなカップルだ。


遠くから撮影しただろう動画は巨大貝のようなモンスターの姿、周囲から聞こえる悲鳴と混乱の様子。

そんな混乱の中、黒髪の少女がパンチを繰り出し、モンスターの中身が吹っ飛び。

すぐに少女と、その父親らしき人物は腕を組んで散歩を始める様子で動画は終わっていた。


──誰だ、あの二人は。


「親子?」

「カップル?」

「超能力者?」

「美少女の正体は?」

「男の方、なんもしてなくね?」


SNSやネット掲示板がざわつきはじめ『謎の親子カップル』は、静かに話題の中心となり注目を集め始めるのだった。


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