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第8話 超美少女って色んな意味でコワイ

「あ、え~……っと、もしかしなくてもルミナさんでいらっしゃったりしますか?」

「嫌ですわ、ご主人様。そんな他人行儀になさるだなんて。」


クスクス可愛く笑う美少女。

パっと見15才くらいにも見えるが、纏っている雰囲気は落ち着いた成人のよう。


美少女である。

美少女。

まごうことなき美少女なのだが……


正直、桁が違う。

現実離れし過ぎた美少女。

テレビのアイドルとか、そんなの目じゃない。絶世の美少女。


じっと見とれる俺に気が付き「どうしたのかしら?」と首を傾げ、その姿を見るだけでアラフォーの胸がキュンキュンしてしまう位に可愛い。これは美女ではなく美少女だ。


…………なにこれ怖い。

美少女って怖かったんだ。


「可愛すぎて怖い。」

「あら……ご主人様の目に、そう映るのなら……光栄ですわ」


ポっと顔を赤らめ、恥じらう姿にまた胸が高鳴ってしまう。

なにこれ本当に怖い。


モジモジとするルミナを観察する。


髪の色は漆黒のロングヘア。だけど毛先にかけて淡く銀色が混じり、まるで髪自体が光っているように見える。

目はパッチリ二重で、黒と青が混じったような色。

肌は透き通るような白磁の色で、シミやシワなどは、その存在すら許されていない。


そして――黒色のビキニ。


ビキニなのに気品すら感じる。

いや、キャラクターのイベント衣装だから、エッチなのは確実にエッチなんだ。だけど、雰囲気が完全にセレブなの。


こんな美少女は現実でお目にかかったことなど無い。

流石ゲームキャラクター。


しかも、俺に対する反応は好意的に思える。

というより好き好きーって感じまでしたりするかもしれない。ナニコレ嬉しいんですけど。


「……ルミナさんは俺の事は分かる……んだよね? 知ってる?」

「また他人行儀にされて……当然存じておりますわ。」

「えっと……名前とか分かる?」

「中村大輔様。私のご主人様です。」


俺の隣に腰かけ、腕に手を回して、肩に頭をのせてくるルミナ。

うん。ここは天国だったのかな?


……ただ、どうしよう。

俺的には初対面。でも、なんかスッゴイ深い仲感を出されてるんですけど。


――そういえば、このゲームでは愛情度のパラメーターがあった。

ただ、今目の前にいるルミナは水着仕様の新キャラ。愛情度はまだ上げている途中だったはず。


……確か愛情度は5段階中の2くらいだったように思う。


そのことを思い出し目の前のゲーム画面に目を向ける。

キャラクターが出撃メンバーに編成された表示に変わっているので、キャラクター詳細ページの愛情度をタッチ――やはりレベル2。


「あ。ご主人様ぁ……私の心を覗かないでくださいまし。……流石に恥ずかしいですわ。」

「あ、あ、あ、ご、ごめ、ごめん。」


ルミナが、いやらしく感じてしまうような人差し指の動きで、俺の胸にボディタッチしてきたので、超ドモってしまう。こんなん反射的にドモる。これは仕方ない。


「別に……私はご主人様のモノですので、どれだけ覗いていただいても良いのですが……目の前で心を覗かれるというのは……うふふ。クルものがありますわ……」


なに、この人……言い方が色々、妙にえっちぃんですけど。

そしてなぜ囁くような吐息を耳元に残していくのでしょう? 非常にけしからんと思います。


「エッフン!」


色々と何かに目覚めたり、何かが元気になってしまいそうな気配を感じた俺は、軽く咳払いをして自分を取り戻す。


「とりあえずっ! 現状の確認をしよう! ルミナさ……ルミナは俺が……召喚? ……呼び出した? そんな感じで良かったかな?」

「えぇ。栄えあるパーティメンバーに選出いただき感謝いたします。」


俺の腕に絡みつけていた腕を離し、頭を下げるルミナ。


超美少女の上位に存在している感じがして、居心地は大変よろしくない。

ただルミナの言葉から、ゲームのキャラクターを俺がここに呼び出したことは確かのようだ。


色々な衝撃があったせいで、どうして現状になったのか。そもそものルミナを編成するに至った理由を思い返してみる。


確かデイリークエストを消化しようと思っていたのだ。

固定クエストのはずが、砂浜でのクエストに変化していたデイリークエストを。


このゲームで出撃パーティに編成できるのは5キャラクターまで……ということは他のキャラクターも編成――つまり召喚できるという事だろうか?


だが、ちょっと待て。


このゲームのキャラは全部美少女だ。

そして、最も新しいキャラのルミナの愛情度レベルが『2』で、この雰囲気。


愛情度最大レベルの美少女を召喚してしまったら……どうなるか分からん! 俺がどうなってしまうか分からん! 愛情度2で、コレはアカンてっ!!


「フン!」

「きゃっ!」


一人で興奮しすぎてしまったので、自分にビンタを繰り出して落ち着く。

突然の俺の奇行にルミナが驚いたみたいだ。ごめんなさい。

でも、こうでもしないと、もう上がったテンションが止められそうになかったのです。


うん! 今日はルミナ以外を編成するのは危険がすぎる。色々あぶない。コワイ。もうだめだ。セウト。


幸いなことに、このゲームのデイリークエストといえば、今日始めたばかりのプレイヤーであってもクリアできる難易度、超簡単。

最大強化済みのルミナの手に掛かれば…………大丈夫なはず!


「ルミナ!」

「はいご主人様っ!」


俺の突然の大声テンションに、同じテンションを返してくるルミナ。ほんと可愛い。


「デイリークエストの消化をお願いってできるかな?」

「ふふふふ、ご主人様ったら。いつでも私を手足の如くご使用くださいな。」


だからいちいちエッチィんだよなぁっ! この美少女はぁよぉっ! もうご使用が違う意味合いにしか聞こえねぇんだよぉ!


「おっけぇ! じゃあアレだ! 今日のデイリークエスト消化手伝って!」

「喜んで。それでは行ってまいりますね。ご主人様。」


俺に微笑み、立ち上がるルミナ。


『砂浜クエスト』とだけしか表示はないけど、ここには貝殻バニーと砂モグラくらいしかいない。俺でも倒せるくらいだから、ルミナなら、きっと大丈夫だろ。


様子を見ているとルミナの足は目的がしっかりと定まっているように1方向へと進んでゆくので、俺もルミナの後についてゆく。

ルミナの足は波打ち際で止まり。


「……わざわざ私が来てあげたのです。さっさとかかってきなさい。」


ルミナの言葉の直後、海から人の倍はあろう大きさの巨大な貝の魔物が、その姿を現すのだった――


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