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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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第27話 備えあれば備えすぎ


10級ダンジョンの中でも、不人気と定評のある洞窟ダンジョン。


ただただひっそりと、そこにあり、

時折吹く風の音くらいしか聞こえてこないほど、閑散としたダンジョン。


そんな静寂の中、話し声が響く。


「詳細不明な物の査定には時間が必要ですものね……魔石だけでも収入になって良かったです。」

「うん。ミレイユが見つけてくれた魔石が3万円になったのは本当に嬉しかったよ。

手元に入るのは税金20%引かれた2万4千円だけどさ。」


俺はダンジョンの外に持ち出せた『まぼろしキノコ』こと『万能キノコ』と『魔力水』、そして緑色の魔石を、買取所へ持ち込んだ。


どこの買取所に持ち込んだらいいのかを調べてみると、買取所には、政府運営の公的機関のほか、民間業者が運営している所があった。


公的になればなるほど、時間がかかるが公平な査定がされる。

民間になればなるほど、時間はかからないが価値は低くなる。


『時間』と『金』を天秤にかけて選べ。

こういうことらしい。


その他、第三セクターが運営する、公民のちょうど中間っぽい立ち位置の買取所もあるようだけど、これは持ち込み場所が非常に限定的で、選択肢としては選びにくい。


これらの情報を踏まえた俺が選んだのは、民間業者。


ただし、その中でも超常資源庁公認マークがある民間業者。

『マナ・マテリアルズ』の、自宅から一番近いチェーン店へ持ち込んだ。


……いや『近所にある』っていうのは大きいよ。


持ち込んで査定してもらった結果、魔石が3万円。

キノコと魔力水は要調査で、預かり証に変わった。


D9免許と銀行口座をリンクしてもらい、査定済みの魔石代金は入金処理。

キノコと魔力水は、調査結果で出た金額がスマホに通知され、納得できれば入金されるシステムだ。

面倒なので、入金の際に税金分を引いてもらうタイプにしてある。


「マスターの居る国のシステムにも興味はありますね……いつか見てみたいものです。」

「そうだねぇ……俺もセリフィアに色々見せてあげたいよ。

日本って国だけど、世界に誇るくらいには美味しい物がいっぱいあるんだ……いつか食べ歩きとかもしたいね。」


「そうですね……こうして一緒に居られるだけでも幸せですが、そういうデートができたら、もっと幸せになれそうです。」


少し、しんみりしてしまう。


ほんとに、なんで外に出れないんだろうなぁ。

外に出れれば、もっと色んなことができるのに……色んなことがさぁ。


「うん! よしっ! セリフィアが外に出れる方法を探すことも、目的に加えておこう! これができると、本当に夢が広がるからね!」

「マスターっ! はいっ! 頑張りますっ!」


しんみりした空気が変わったので、話を戻す。


「とりあえず、ダンジョンの外にアイテムを持ち出せたこと。

それを買い取り所に提出したことは伝えたし、現状の共有はできたかな?」

「そうですね。できたと思います……後は今日、マスターが10級ダンジョンに来た目的でしょうか。」


「あ、そっか。

俺がこの……なんだかもう実家感まである洞窟ダンジョンに来たのは、レベルが上がったことを確認するため。かな。

化石カニを攻撃した時のダメージは何度も見てるから、普段との差が分かると思って。」


「なるほど。検証が目的ということですね……であれば、マスターが召喚した物を装備できるかも確認したいです!」

「おっ、それも要確認だわ。そういえば俺、一回、剣を振ってみたかったんだ。」

「是非それも試しましょう。」

「ありがと!」


「後は……それが落ち着いたら、ミレイユさんを呼んでいただき、洞窟の魔物でのアイテム精製の検証と……最後にデイリークエストがあれば、モンスター退治をするかどうか考える。という流れでしょうか?」


「いいね! 今日はそんな感じでいこう!

しばらくは2人で半分遊びみたいに気楽にやろうか!」

「ふふふ。いいですね。」


セリフィアがニッコリ笑う。

俺も思わずニッチョリだ。


「さてさて、さっそく。いつもの装備でカニさん狩ろうカニ~♪」

「マスター。あそこにいますよ。」


見つけるの早いな。


俺も慣れたもので、カニに近づき手持ちのピッケルを振るう。


_/\/\/\/_

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/       \

 ̄/\/\/\/ ̄


……強くなってるのか?

いや、多分、強くなった気はする……


「わぁっ! マスター! おめでとうございます! 強くなってますよ!

前回マスターは、その装備で2回攻撃して倒していました! 今日は1回で倒せてます!」


……そうだった気がする。

いや、俺ツルハシ使えば1撃でやれてたんやで? 化石カニくらい。


内心、少しだけ、そう思わないでもないが、セリフィアが褒めてくれているのは嬉しい。


「うん! ちょっとずつだけど、本当に少しずつは進歩できてるな! よしよし!」


この後、もう2匹ほど倒してみたが、どちらもギリギリ60くらいのダメージだった。


「まぁ、実感としては少ないけど、ステータスが上がったのは確かっぽいな。

すばやさとか、ちょっと実感わかないけど。」

「走るタイムを計っておく必要がありますね。」

「今度ストップウォッチ買っておくかな。」


リュックからペットボトルのお茶を取り出す。

セリフィアたち用に、小さいペットボトルも持ってきているので渡して、一息つく。


「初めての味のお茶です。これは美味しいですね。」

「お。良かった。ジュースとかの方が好きだったら、今度はジュース買ってくるよ。」

「甘い飲み物! 試してみたいです!」

「オッケーオッケー、まかせといて。」


女子は好きよね。甘いの。

とりあえず無難なの買ったけど、次回は色々持ってこよう。


「……味が違えば一口もらえますし」

「ん? なんか言った?」

「いえ、落ち着くなぁ……と。」

「だねぇ。ダンジョンだけど落ち着くね。」


2人でまったりした。



★ ☆ ★ ☆彡



休憩を終え、次の実験に移る。

テーマは『召喚した装備品を俺が装備できるか』。


が、早速問題が発生した。


「装備出来るな。」

「できています……スキャン結果にもステータスにプラス補正が入っています。」


まず、俺が召喚できることを確認している物は


・ゲーム内通貨

・武器

・アクセサリ

・素材

・道具

・キャラクター強化アイテムの魔石


これらが確認済みだ。


このうち、武器とアクセサリが装備品になるのだが、

試しに最下級の武器「ルーキーソード」と、アクセサリ「ルーキリング」を召喚して装備してみた。


ルーキーソードは、攻撃力+45、魔力+15

ルーキーリングは、防御力+35、神聖力+15


普通に装備できた。

そしてセリフィアに調べてもらったら、俺のステータスに数字が加算されていた。


ゲームキャラの場合、武器は装備できる種類が決まっている。

セリフィアであれば『本』しか装備できないし、ミレイユは『杖』しか装備できない。


武器の種類は8種。


剣、短剣、斧、槍、本、杖、弓、拳


拳はメリケンサックとか腕輪とか、そんな感じの物が武器になる。


俺は武器を全種、装備出来てしまった。

全種でステータスアップが確認できたのだ。


「これは……ヤバイ。ヤバイ気しかしない……」


「どうしてでしょう? 私はとても嬉しいと思いましたが……」

「いや……これとか見てよ。」


他人は見れないが、セリフィア達は俺の起動するゲーム画面を見ることができるので、アクセサリ一覧を出し、『防御力』の強い物順にソートし、その中で1番目にきたアクセサリをタップする。


インフレ前の装備品なら、まだいい。

まだ常識がある数字だったんだ。


たが、今現在やってるのは、超インフレが進んでる状態。

超インフレ後に実装された装備品も、それについていく感じで強化されて頭がおかしいことになってるんだ。


表示された、持ち物中『ほぼ最強アクセサリ』の詳細を見ると――


――*――*――


【黎明の誓装】

HP:6000

攻撃力:1000

防御力:6000

魔力:1000

神聖力:3000

すばやさ:3000


夜の静寂を裂き、光の始まりを告げる者に与えられる、誓いの装身具。

全てのステータス減少効果を確率50%で防ぐ。

戦闘中、3度まで気絶するダメージを受けても、HP100%で復活。


アクセサリスキル「黎明の光」

全パラメータ10%上昇。ダメージ25%軽減バリアを張る。


――*――*――



「ほらぁ…………こんなん装備できたら……え? ダメじゃね? なんか……ダメじゃね?」


「いえ! 全然ダメじゃないです! 嬉しいです!

特に復活効果があるので、マスターに対する心配が一気に減ります! 是非装備してください!」


「……そっかぁ。」


セリフィアの言葉に、そのまま召喚。

指輪だったので、そのまま人差し指にはめてみる。


指にはめた瞬間にセリフィアがスキャンをし、とても満足そうな顔になった。


「素晴らしい装備です!

これからダンジョンに入られる際には、是非、身につけてくださいね!」


「そっかぁ……ちなみに、どんなステータスが見れたのか、俺に情報くれない?」


すぐにセリフィアが脳内に送ってくる。



ダイスケ・ナカムラ Lv.2

HP:6136

攻撃力:1031

防御力:6024

魔力:1018

神聖力:3015

すばやさ:3017



ホラー、ヤバイじゃん……

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