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第20話 キャラエピ、そして根回し

とりあえず家に帰ると、深夜1時をとうに回っていた。

それでも眠る前のルーティンを欠かさずこなし、布団に入る。


明日も仕事だ。さっさと寝よう。


ベッドに横になると、今日あったことが色々と頭に蘇ってくる。

ダンジョンから出る際に、召喚したセリフィアとカグヤが消えてしまうので、しっかりお礼を伝えた。

悩みが軽くなったのは、間違いなく彼女たちのおかげだ。人として当然の礼儀。


ついでに折角なので両手を広げてハグ待ちの体勢をしてみたら、セリフィアはしっかり胸に飛び込んできてくれて、カグヤもちゃんと自分から、そっと抱きしめてくれた。


2人とも小柄で柔らかかったなぁ。

そしてあるところが、ちゃんとある。

素晴らしかった。


――いや、寝てる場合じゃねぇっ!


スマホを起動。キャラクターエピソードを確認する。

セリフィアに、カグヤ、ルミナ……お気に入りキャラのエピソードを見る必要がある。

いや、今こそ、見ておかなくてはいけないのだ。


なんならもう、これが原因で体調を崩して、急遽、会社を休むことになっても、それも仕方ない!

いや、長期休暇申請のための出社して根回しするつもりだから、会社には行くんだけれど!


とりあえず、召喚キャラの中で一番話をしているセリフィアのエピソードをタップ。

こうして、ちゃんとエピソードを見るのは、実は初めてだったりする。


レベルキャップ解放で追加されるエピソードには、特典としてキャラクターの特別イラストが追加される。

エピソードの中身自体を見ていなくても、イラスト鑑賞ができる仕様なので、俺は基本的にイラストだけを見ていた。


そしてイラストからエピソードの中身を勝手に想像していた。というわけだ。


――ふむ。とりあえず目を通した。

だが、なんと言おうか……


セリフィアのキャラエピソードは2つ。

どちらも、彼女が他キャラと日常の一幕を楽しく話しているだけという内容でしかない。

そして2つ目のエピソードの方が、主人公に対する好意が上がっている。そんな感じだ。


特別イラストと、それに添えられたテキストストーリーも、彼女の妄想っぽい感じで締めくくっている。


続いて、カグヤのキャラエピソードも確認する。

――が、結局のところ、セリフィアと同じような構成。


1つ目のエピソードで『気になる主人公』。2つ目のエピソードで『好きかも』的な流れ。

イラストも研究者っぽい好意か、巫女っぽい好意かの違いしかない。


運営としてもキャラエピソードの中身より『イラストがある』ということの方が重要だったのだろう。

そのことが容易に想像できる内容の薄さだ。もうペラッペラ。


……まぁ、実際ユーザーの立場で『絵しか見てねぇ勢』だったのだから、実にフィットしていて運営の姿勢は100%くらいで正しいとも言えるのだが。


水着ルミナのキャラクターエピソードも確認してみる。

こちらは新しいキャラだけあって、キャラクターの表示方法が前の2人と違い、エピソードも3つ。


――ただ中身は、結局、他のキャラクターと水着イベントを絡めた日常の一コマについて掛け合いをしながら、エピソード毎に好意が増していくだけ。

そして最後に、妄想か現実か曖昧な、顔の描かれていない主人公とのラブラブイラストとテキストストーリーで締め。


3人のエピソードを見て……俺は確信した。

キャラクターエピソードは、見ても見なくてもあまり関係ない。


だが、ただ一つだけ言える。

最大レベルまで強化したキャラクターは、完全に俺の事が好きであると!

そして、それぞれの持ちイラストのような事をしたいと思っている!


つまり、基本的に彼女たちは、俺に何をされたとしても文句ひとつ言わなそうだ。

それこそ突然抱き着こうが、キスをしようがウェルカム。

なんならそれ以上でもドンと来い! まである。


ただ、ヤンデレキャラやドSキャラだけ、主人公が酷い目にあってないか確認が必要になるかもしれないけど……



俺の指は導かれるように、カリーナ・エルフェリスのキャラクターアイコンをタップしていた。


なぜなら、彼女は美女。

フェロモンムンムン系美女。

いかにもなエッチ系キャラ。


さて、いったいどんなエピソードなのか――

これで色々わかる。わかってしまうぞ。

彼女次第でどこまでできるのか。俺がしていいのか、その確信が――


改めて、カリーナ・エルフェリスのキャラクターエピソードを見る。


……うむ。他キャラと温泉に入る。

他キャラは混浴に焦るが、余裕のカリーナ。

カリーナが混浴に慣れている事を表現するエピソード。


そして最後のイラストは――

温泉で、イケナイことを主人公としている雰囲気のイラストだった。


「もう、寝てる場合じゃねぇ!」


手あたり次第、イラストの確認を始める。


ふと気が付けば、窓からは朝日がさしこんでいた――



  ★ ☆ ★ ☆彡



「えぇ……突然のことで、誠に申し訳ないです。

実家の方で少しありまして。それが片付くまで余裕が無さそうなもんで。

長期休暇……サバティカル休暇が可能であれば申請を。

もし休暇が難しそうであれば、退職も含めて一度ご相談をお願いしたく――」


翌日、俺は上司に『長期休暇くれ。ダメなら辞める』の意思を表示し、相談を持ち掛けた。

徹夜明けのまま、くたびれた様子で出社した俺は、いつもと違って何かしらのトラブルがあった雰囲気が、十分に出ていたことだろう。


正直、眠くてだるい。


なお『実家の方で少し』は特に実家で問題が起きたわけではない。

詐欺師の『警察の方からきました』的なアレだ。

実家の方角にあるダンジョンにも行ってみたい気分だなぁ……とか、そんな気分のアレだ。


上司も、さらに上とかに諸々を確認するだろうし、今は結果待ち。

特にブラック企業でもないし、あとは結果が出るまでに、こなすべきをこなし、同僚にも根回し。だな。


貯金も5年くらいであれば節約してやっていけるくらいにはある。

最悪、退職&有給消化の意思が決まっている俺だ。


『引かぬ』でも『媚びる』し『省みる』よ。の精神でやっていくぞー!



美少女たちとダンジョンで過ごすんだ!

俺の夢は、もう止められねぇっ!

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