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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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133/140

第133話 確認

「はぁ……」


大声を出すと、意外とスッキリするもんだ。


そもそも怒りのピークは『90秒』と言われている。

怒りの感情自体が長続きするように人間の身体はできていない。


それ以上続く怒りは、自分で薪をくべて燃やし続けているだけだ。


偽物の俺も、絶叫してすぐスンってなってたしな。

今の俺も、まさにその気持ちだ。


まして……隣でセリフィアがラスボスの俺に掴みかかっていれば、なおさら。


「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。」

「…………」


うん。ラスボスの俺の声は、セリフィアには一切届いていない。

ただ限界突破済み(・・・・・・)のセリフィアに力負けする気配がまるでないあたり、

やっぱりラスボスの俺の力はとんでもないのかもしれない。

子供をあやすみたいな余裕すら感じる。


「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。」

「……マスター。」


俺の声には、憤懣(ふんまん)やるかたなしと言った雰囲気ながらも、セリフィアが力を緩めてくれる。

なんとなく、同じ言葉でも『俺の方が効いてる』感じがして、ちょっと勝った気分になる。


セリフィアの様子で少し落ち着いたので、改めてラスボスの俺に向き直る。


「で? なんでまたこんな真似を?」

「ん~……なんか壁がありそうだったから?」


うーん、うん。やっぱ一回くらい殴るべきかもしれん。


「まぁ、アレよ。

そういえばルミナとイチャつかれながら必殺技くらわされた時、超腹立ったなぁって思い出しちゃってさ。あと、俺は俺なんだって思い出す為かなぁ、多分。

ある意味おあいこさまってことで許して。」


軽く片手で『ゴメンね』してくるラスボスの俺。


いや、もうやっぱ『偽物の俺』呼びでいいわ。

こんなヤツに気を使ってるのもバカらしい。


ふと気づくと、俺は頭を掻いていた。

そういえば偽物の俺も同じ仕草をしていた気がして、思わず笑ってしまう。


「まぁ、いいよ。偽物の俺も、やっぱ俺なんだなって思えたし……

確かに俺、壁作ってたしな。

それに、あの時、こんだけ怖い思いしてたんだって思い知れたし。」


「……うーん、流石俺。

俺が一番『悪かったかも』って反省しちゃう対応。」


偽物の俺が肩をすくめて笑う。

俺もつられて笑ってしまう。


ラスボスの俺も、偽物の俺も、そして俺も。

全部『俺』なんだ。

怖がる必要なんてなかった。


「もう変な遠慮しないから、隠してること全部話せ。キリキリ話せ。」

「オッケーオッケー。

って言っても、大事なことはちゃんと話したんだよな……」


偽物の俺が顎に手を当てる。


「伝えるか隠すか悩んだのは『個性のフィードバック』だけだしな。

ダンジョンの目的も言っただろ?

逆に気になる事があれば聞いてくれ。」


少し考えてみる。


ダンジョンが『俺の為』ついでに『人類の為』って感じの説明だったけど、引っ掛かるところが無いわけじゃなかった。

『異世界への扉を開いてやる』とかも言っていたけど、あれも同じくらいな目的な気がする。


「俺のバックアップしてくれるって感じで言ってたし、それはそうなんだろうけど……人類を異世界に行かせたがってない?」

「あ~……うん。ぶっちゃけ異世界、人材不足、人不足とかが深刻で、あわよくば送り込みたいって意図はある。」


「その異世界ってなんなの?」

「これは話すとややこしくなるけど、色々ある、もろ絶対王政ナーロッパ的な世界もあるし、世紀末伝説みたいな世界もある。」


「……なんかろくでもなさそう。」

「安心しろ。エルフもいるし、獣人もいる。」

「ほなええか。」


要は、この世界。

俺の居る世界で『超越魔力だとやり難いこと』を俺がやってくれると嬉しいんだろうな。


「とりあえず俺は、思うようにアークオラクルとかって使って、思う様に行動していいんだよな?」

「あ~……うん。好きに使えば良いよ。」


「ん? 歯切れ悪くね?」

「アークオラクルを生み出すことができるレベルの俺たちだぞ? そっちの進み方に合わせていくさ。俺に確認はいらんよ。」


……俺を『便利に使いたい』のかと思ったんだけどなぁ。


「一つだけ言っておくぞ。

俺はお前が幸せに過ごすことを心から望んでる。

だから俺から変な干渉をすることはない。」


真剣な表情だった。


「まぁ、意見を求められればアドバイスくらいはするし、調子に乗ってたら苦言は提するかもしれんが、その程度だ。」


口角を上げる偽物の俺。


「お前はお前の人生を楽しめ。

俺は俺の人生を楽しむ。」


「……分かった。

俺は俺が最善だと思う事をやっていくよ。」


気がつけば、互いの手を強く握っていた――


ただ『同じ俺』として、まっすぐに。

その温度が、妙に心に残った。


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