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第13話 召喚できちゃうんだもんなコレが

「アーッハッハッハッハッハっ!!」


夜の人気のない10級ダンジョンに男の笑い声が響き渡る。


「アーッハッハッハっ!! ひーっ! ヒーっ! イーーヒッヒッヒッヒっ!」


全力だ。

こんなもん全力で笑うしかない。


なんと召喚できたのだ。

できてしまったのだ。


ゲーム内で使う通貨から始まり、武器、アクセサリに素材や道具――さらにはキャラクター強化に使用する属性魔石まで。

何もかもが召喚できたのだ!


俺の属性魔石の所持数を数えてみようか? とんでもない数だぞ?

一番手に入れやすい無属性だとこうだ!


無属性魔石(小):217,559個

無属性魔石(中):163,829個

無属性魔石(大):89,262個


さらに、上位アイテムである謎の『極魔石』なんてのも


極魔石(小):15,028個

極魔石(中):2,326個

極魔石(大):395個

極魔石(究極):2個


「アーッハッハッハッハッハっ!! ヒー! ヒーーっ!! エーヒッヒッヒぅ!」


笑わずにいられようか。


「エーッヒッヒ! ヒーん!

ヒっひーん……ヒー!

…うぉぉんっ! ちきしょうめぇっ!」


召喚できた。

だけど、ダンジョンの外には持ち出せなかった!


ぜーんぶ、ダンジョンの外に出した瞬間に消えるんだ! もうだめだ!


「……………………………ふぅ」


テンションが振り切れ、理性のリミッターが外れ、心のブレーキが壊れて、思う存分、感情を爆発させた。

誰もいないダンジョンということでストッパーも無かったので、勢いで全部ぶちまけてスッキリ。


久しぶりどころか、ここまで心が動いたのは本当に初めての経験だったが、波が超えた途端に冷静さが戻ってくる。


……いやぁ、楽勝で勝つる! 人生バラ色だぜ! からの落差よ。マジで参るわ。


でもまぁ、ある意味、予想できる範疇でもあった。

なにせルミナがダンジョンから出て消えるのを見ているんだから……ただ、色々召喚できて期待しちゃったんだよなぁ……


「……はぁ」


しゃーない。切り替えていこう。

出来る事が増えた。出来る事が確認できた。上等上等。


内心で切り替えようと頑張ってみる――が、中々ダメージが大きすぎて、気持ちが切り替わらない。


……心の支えが欲しい。


なんとなくスマホを起動し、ホーム画面をステータスオープンよろしく中空に映し出すと、手が勝手にキャラクター選択画面を選んでいた。


そうだ。

いま、おれには


『美少女が励ましてくれる』


そんな最強カードがあったんだ。


――心がやる気を取り戻し、キャラクターを選び始める。


「あ~~……そういえば、賢い系のキャラとかもいたよな……相談とか乗ってくれて、新しい視点をくれたりしないかなぁ?」


キャラクターの詳細なんて覚えていないので、説明を読みつつ賢そうなキャラを探す。


「おっ? この娘いいかも。えっと? ……セリフィア・アークライト、か。」


白銀のストレートヘアに細縁眼鏡。それに白衣を着ていて、外見は完全に『研究者』のソレ。

そして当然ながら、なぜか10代以外には考えられなさそうな美少女だ。


……美女にした方が知識蓄えてそうじゃね? って気がしないでもないけど、まぁ、ゲームキャラだもんな。


早速セリフィアの愛情度をチェックすると、まったく強化していないキャラで5段階中0。

ルミナの態度が愛情レベル2だったことを考えると、愛情レベル0でも敵対なんてことはないだろうけど、なんとなく不安を感じないでもないので、愛情レベル1にアイテムを使って強化しておく。

愛情度を0から1に上げるのはアイテム消費が少なすぎて、めっちゃ楽なのだ。


「よし……じゃあ呼んでみるか……」


『編成』をタップする。


タップと同時に、前回ルミナが現れた右を向いてみる。

そこにはセリフィア・アークライトが、眼鏡をクイと上げている姿があった。


「えーっと……ようこそ。セリフィア。」

「ええ、マスター。呼び出していただけて嬉しい限りです。

この場の魔力濃度、空間の揺らぎ……記憶と照合しましたが、初めてのパターンですね。マスターは、いつでも私を楽しませてくれるのですから……ふふっ、退屈しないのはありがたいことです。


たおやかな微笑みを浮かべるセリフィア。

仕草ひとつにしても知的が過ぎるのに、小柄でカワイイ。

うん。やはり絶世の美少女。


……どんだけ『絶世の美少女』がいるんだよ。あ。800人以上か。


美少女と対面インパクトを食らったせいで、早速、思考が脇道に逸れ始める――が、今日の俺は一味違う。


なにせ人生で初と思えるくらいの期待から落下した男。

悩みの種が尽きない男だ。


――賢い人にダンジョンの外に召喚したお宝持っていく方法とかを考えてもらいたいんだぞいっ!


「早速で申し訳ないんだけど、セリフィアに相談に乗って欲しい。俺の現状……聞いてもらえる?」


俺の言葉に、セリフィアがフルっと少し震えた気がした。


「喜んで。現状の整理と分析は、私の得意分野ですから……マスターのお役に立ってみせます。」


キラリと眼鏡を光らせるセリフィア。

んもう! 頼もしすぎる美少女! 好きっ!

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