表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/131

第128話 生きとったんかいワレ!


『お世話になっております。

塔で色々説明するよ。

中村大輔』



受け取った手紙の筆跡は間違いなく俺の字。そう見えるだけで、確信が持てる。

偽物の俺も本物の俺だから、筆跡に差などあるはずがない。


「石動さんが伝言を預かったようです。

『手紙に色々書こうと思ったけど長くなりそうだったし、一回来たら良い』

そう仰っていたそうです。」


……この面倒くさがり方、俺だなぁ。

手紙書くくらいなら電話するとか言いそうだし、電話が無けりゃあ伝言で良いかってなりそうだ。


とはいえ、偽物が消滅してなかったか。

良かった。

本当に良かった。


なんとなく生きてるだろうなとは思ってたけど、本当に生きていた。

なんか今日は、よく眠れそうなくらいには安心できた気がする。


「……ふむ。」

「どした、セリフィア?」


口元に手を添えて考え込むセリフィア。


「いえ、まるで計ったようなタイミングだな……と思いまして。

ただ相手もマスターですし、案ずるより産むが易しなのかな? と。」

「うん。そんなに気にする必要はないんじゃないかな? だって俺だし。」


天哭の塔が生み出した存在ではある。

だけど、あっちはあっちで本物の俺だったと思うし、変な企みはしないだろう。


……多分。


「まぁ、アークオラクルを動かしちゃったら色々忙しくなりそうだし、行くなら今じゃないかな。俺も、生きてて嬉しいから話したいわ。

ねぇ詩乃、いつ来いとか指定はあったのかな?」


「いえ、特に指定は無いようです。今から向かいますか?

私も興味ありますので、お供します。」


詩乃の提案に少し考える。

今日は1級ダンジョンの配信がメインだったし、思ったよりも早く終わった。

この後の用事は無い。


偽物の俺の視点からアークオラクルについて意見をもらえるかもしれないし、善は急げだな。向かうなら今からで良い。


詩乃については……天哭の塔で始終を見ていたから、同行しても問題はない……いや、むしろ、こっちの変化について、あっちの俺にきちんと報告しておくとしたら、一緒の方が都合が良いかもしれない。


「うん。一緒に行こう。」


全員で、天哭の塔へ向かうことにした。



★ ☆ ★ ☆彡



以前と同じような状態の紅色の結界膜。

イレギュラー後は、通れない大きさに縮んでいたことを考えれば、今は元に戻っているように見える。


結界膜を超えると、ダンジョン内の景色も以前と同じだった。

そびえ立つ塔、赤黒い空、断崖絶壁だけのダンジョン。


「前と同じ感じだな。」

魔力干渉解析マナ・インタラクト・スキャン……ん?」


セリフィアがいつものスキャンを行うが、首をかしげている


「……異常はありません……が。んん?」

「何か気になることがあった?」

「いえ、以前と比べて完全にスキャンできなくなっています……念のため、気を付けていきましょう。」

「……わかった。」


セリフィアの言いたいことは理解できる。

最悪の場合、詩乃に『スマホが必要ない』ことがバレても構わないから、能力を使えという事だろう。


あの時点から俺も少しは成長している。

特に、スマホがなくても能力を使えるようになった点は大きい。

偽物の俺との差としても、そこは明確だ。


塔に入る前に、万が一の段取りを頭の中で組み立てる。

セリフィアや詩乃、ヨウコと離れた場合は即召喚し直す。

イレギュラーが起きたら、脳内で即ルミナ召喚。


最低限の準備を終え、二人の様子を見れば、セリフィアも詩乃も進むことに問題は無さそうな雰囲気。


「よし。行くか。」


黒い結界膜に足を踏み入れた――


――と同時に、小洒落た水飲み場が設置されている待合室へと転移していた。

すぐ後から、セリフィアと詩乃も姿を現す。


……これ、二人が偽物と入れ替わってても分かんねぇな。

まぁ、それは俺にも言えることだから、もう考えても仕方ないわな。


余計な考えを引っ込め、周囲を見回す。

人の気配はない。


「ん~……」


思い切り息を吸い込む。


「おーい! 俺ーっ! 来たぞー!」


田舎で友達を呼び出す時のように声を張ってみる。

すると「ゴゴゴ」と壁から低い音を立てて上階へと続く階段が形成されていく。


「あ~……こんなんだったな……あ。」


今、思い出した。

天哭の塔……スキル押し付ける水晶あるじゃん。ヤベェ。


「恐らく大丈夫でしょう。

最悪、また魔石を大量に得て、追い出してもらえば良いのです。」

「あ、うん。」


言わなくても欲しい言葉が来るのね。さすセリ。

どうとでもなる気がしたので、さっさと階段を昇ることにした。


階段を昇り、上階の景色が見えてくると――見慣れた姿。

偽物の俺がスーツ姿で水晶の近くに立っていた。


「お。」

「おう。」


俺が手を上げると、偽物の俺も手を上げ、そして小さく笑った。

なんとなく嬉しいような、不思議な気持ちが湧き上がってくる。


偽物の俺に向かって足を進めながら言葉を選ぶ。


「……あ~、なんだ。『生きとったんかいワレ!』とか言った方が良いかな?」

「好きにしろ。久しぶりだな。本物の俺。」

「何はともあれ、無事で良かったよ。また会えて嬉しい。」


右手を差し出し、がっしりと握手を交わす。

なんとなく笑えて来てしまう俺たち。


「水晶に触れてから、ほんと色々あったぞ。聞いてけ。」

「おう、聞かせてくれ……って、そっちのセリフィアは?」


偽物の俺の姿しか見えない。


「あ~……いるよ。ちゃんと。うん。」


そう言いながら、偽物の俺は少し気まずそうに頭を掻き、

ゆっくりとセリフィアの方へ視線を向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
偽村「実はセリフィアは奥で安静にしてもらってる……はらましたんだ」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ