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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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115/131

第115話 反則装備

ダンジョンの入り口となる結界膜の前で説明用の動画を撮り終え、そのまま内部へと移動。

結界を抜けたところで、再びカメラを回す。


「さて、真坂さん。ここからは実際に探索を行っていただきます。」

「はい。」


セリフィアの神妙な口調に、真坂君も背筋を伸ばして答える。


「私のアドバイスに加え、特別な武器とアクセサリをお貸しします。

この装備は、現実ではあり得ないほどの性能を有しています。使用すれば、自分が超人になったかのような感覚を覚えるでしょう。」


一呼吸置いて、セリフィアが続ける。


「ですが、それはあくまで装備による力です。

真坂さん自身が超人になったわけではありません。

その点だけは、どうか忘れないでください」


「……はい。」


しっかりとした返答。

俺が見ている限り問題は無さそうに思える。


……ただ、万能感は人を狂わせるからなぁ。

俺も調子に乗ったし。うん。


「ではまず、こちらの首飾りを装備してください。」


セリフィアが差し出したのは、やけに主張の強いカボチャの顔が付いたネックレス。

どう見てもオモチャ。真坂君も首を傾げ戸惑った表情を浮かべている。


ただ……見た目がオモチャでも俺が召喚したアクセサリ。『トリックネックレス』だ。


【トリックネックレス】

HP:800

攻撃力:0

防御力:800

魔力:0

神聖力:800

すばやさ:800


ハロウィンに大流行したネックレス。

アクセサリスキル「ハッピー8%」

毎ターンHPが8%回復する。

全状態異常耐性8%アップ。


防御力800アップもあれば、鉄層坑道ダンジョンでは、まず致命傷を負うことはないとセリフィアのお墨付きをもらう防御力。

そしてなんと、こちらのアクセサリ。怪我をしても回復してしまうオマケ付き。

毎ターン回復なんて、ある意味チートだ。

きっと疲れ知らずでダンジョンに挑めることだろう。


そんなことを思いながらカメラを回していると、真坂君は素直に、でっかいカボチャ顔のネックレスを首から下げた。

絵面が少し笑える感じになった気がしないでもない。


こういうシュールな感じ結構好き。


「次に武器ですが、こちらの短剣をご使用ください。」


次にセリフィアが手渡したのは、全てが黒に染まった漆黒の短剣。

その異様な存在感に、真坂君も息をのんでいる。


【アビスダガー】

HP:0

攻撃力:1400

防御力:0

魔力:600

神聖力:0

すばやさ:0


深淵の力を持つ短剣。


武器スキル「アビスドライブ」

毎ターン攻撃力と攻撃魔力が10%上昇し続ける(最大100%)


……アビスとか御大層な名前が付いていて、迫力がある。

けど……パンプキン系の方が強いんだもんなぁ。


所詮、序盤の武器の中では強いという程度の武器。

武器のインフレ具合もなかなかヤバイのだ。


だがこのアビスダガー。

戦えば戦うほど強くなるという特性は十分に反則だ。


セリフィア的には攻撃力が500くらいの初期武器『伝説の剣』で良いって事だったけど、これくらいの攻撃力があった方が映像的にバエるんじゃね? という俺の意見で、少し攻撃力がある武器を選択させてもらった。


この2つの装備で、回復しながら、殴れば殴るほど強くなる。

単独ダンジョン攻略も可能なスーパー戦士の爆誕である。


さらに


「では、まずはじめに……魔力干渉解析マナ・インタラクト・スキャン――」


セリフィアによるサポート付き。

もう、何も怖いものはないだろう。



★ ☆ 真坂 正 視点 ★ ☆彡



アークライトさんから鉄層坑道ダンジョンで撮影を行うと聞いて、事前に予習はしてきた。


このダンジョンは、人気が高く情報も豊富で色々と調べることができて、勉強のしがいがあった。


基本的に横坑が広がっていて、ところどころに下層へ続く縦坑が点在。

たまに落とし穴があったりする構造になっているらしい。


入口付近は安全だけど、似たような風景が続くせいで迷いやすいので、3層より深く潜る探索者は、坑道に慣れた人を一人確保した方が良い。そういう評価のあるダンジョンだった。


「ふぅん……かなり広いですね。」


アークライトさんがダンジョンを把握できるという事だったので、お任せしているのだけど……本当に『あの魔法みたいなヤツ』を使ってると思わなかった。

……半信半疑だったけど、こうして目の当たりにすると、やはり驚いてしまう。


「どうかしましたか? 真坂さん。」

「あ、いえ、すみません。……あの、なんだか……魔法みたいだな、と。」

「ええ、その理解で問題ありません。私の能力でダンジョンの構造を把握しました。」

「え? ……あ、そうなんですか。」


にわかに信じがたい。

けれど、嘘を言っているとも思えない。


僕は自分で言うのもなんだけど、良い人、悪い人は結構、分かる方だと思っているし、嘘をついている、ついてないなんかも雰囲気で分かってしまうことが多い。


今のアークライトさんの言葉には嘘は無さそう……なんだけど、現実的にソレはあり得ないだろうと、僕の中の常識がアークライトさんを否定している。


……でも。


首にかけているオモチャのような首飾り。

そして、禍々しさを超えて美しいと思える黒の短剣。


この二つを身に着けていると、これまでの探索と感覚がまるで違っている。

初めて入るダンジョンで、ましてコラボ動画の撮影で、ここまで自分が落ち着いているのもおかしい。


5級なんて、入るだけで緊張してしまうに違いないはずなのに、不安を感じない程に冷静に考えられる。


「このダンジョンは資源や戦闘訓練以外で、危険予測や判断力の育成に適しているのですね。精神力、集中力、ストレス耐性を鍛えるほか、集団の訓練にも適したよいダンジョンです。」

「……そうなんですか?」

「ええ……探索者目線では。ね。」


アークライトさんが深い微笑みを浮かべた。


「このダンジョンは探索者が下層を掘り下げられる作りになっています。

そして下層になるほど資源と危険が豊富……つまり人間がどこまで欲望を制御できるかなんかも試している可能性も……フフっ、面白い。」


アークライトさんの笑いが自分の理解を遥かに超えている気がして、少し怖く思えた。


「さて、ではまずは真坂さんに性能を実感いただくところから始めましょう。ガイドしますので、まずは左の坑道を進んでください。」

「わ、分かりました!」


しばらく言われた通りに坑道を進んでいく。


「その先を進むとスチールワームが出てきます。まずお一人で戦ってみてください。」

「は、はいっ!」


スチールワーム。

調べてきた。


いわゆるこのダンジョンでのザコ敵というヤツだ。

だけどそれはあくまでも、5級を挑む人にとってザコというだけ。


外殻を持つ芋虫と言ったらいいんだろうか? それともダンゴムシみたいな芋虫と言ったらいいんだろうか?

バスケットボールサイズの硬い芋虫っぽいモンスターで、外殻の隙間を狙って攻撃し、中身を破壊するのが倒し方らしい。

専用の大きな釣り針みたいな武器まであるという。


ザコというのは、専用の武器を用意して、初めてそう呼べるモンスターなのだろうと思っている。


幸いなことに動きがそこまで早くなく、攻撃手段も浅い階層では齧ることだけらしいので、大量に出てきたりして纏わりつかれない限り死亡したりすることはないようだ。


「ふー……」


大丈夫。

いつもより落ち着いている。


アークライトさんの言葉を信じ、進んだ先に居ると想定して、預かったアビスダガーを抜いて構える。

驚くほど手に馴染んでいる気がする。

普段、自作の槍を使っているけど、それ以上に使い込んでいる錯覚すら覚えてしまうほど。


意識を漆黒のダガーから戻し、坑道を進む


「……居た。」


緩く曲がっているカーブの先に動いている影があった。大きさ的にもスチールワームに違いない。


……漏れた言葉をしっかりカメラを持った中村さんに撮られていた。

いつの間にこんな距離に居たんだろう、この人は……この人も普通のおじさんじゃないことだけは分かる。


アークライトさんの動画を見て……ルミナさんが気になって探したら『戦うスーツおじさんチャンネル』に辿りついちゃったからなぁ……


ルミナさんにご主人様と呼ばれたり、そしてアークライトさんがマスターと呼ぶのはこの人のことだと理解してしまってから、僕の中で嫌悪感を持たないように結構頑張っているのは内緒だ。


『戦うスーツおじさんチャンネル』の動画も最初は半信半疑だったけど……というか本物かを疑ってたけど、今は結構信じてる。


――って、そんなこと考えてる場合じゃない。

モンスターだ。


不思議と怖くない。

慣れたコンクリーバーでも、まだ怖いのに、ザコ敵だからだろうか?


戦えそうな気がして、一つ息を吐いてから周りに敵がいないか注意を払いながら近づく。

でもすぐに僕が近づいたことが分かったのかスチールワームが、僕めがけて動き出した。


ただ、思ったよりも動きが遅い。

いや、鈍間(のろま)と言ってもいいと思う。


「う~ん?」


いや、あまりに遅い。

少し不思議に思いながらも、敵が遅いのはありがたいので、僕もスチールワームの横を付けるように移動する。


このスチールワームは特に鈍間なのか、僕の動きを追うのも2テンポ3テンポほど遅れて僕を追う。


余りに隙だらけなので、預かった漆黒のダガーを試してみたくなり、ダガーで軽く突いてみる。


ピギィ


「……えっ?」


突いたはずのスチールワームは一鳴きだけ残し、綺麗に両断されていた。


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