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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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111/132

第111話 覇王、海を征く

カラオケボックスの一室。

男が四人、テーブルを囲むL字のソファーに腰かけ、モニターに映る動画を無言で見つめていた。


「おはようございます、こんにちは、こんばんは。

『マスターと一緒チャンネル』へようこそ。マスターの忠実な下僕、セリフィア・アークライトです。本日は趣向を変えて海上からお届けします。」


画面に映る美少女は、クルーザーの甲板に立っていた。


「海上ということで、私もマスターのご要望にお応えして……きちんと水着です。」


くるりと一回転して見せるセリフィア。

普通であれば口笛の一つでも聞こえてきそうな光景だが、モニターの前の男たちの反応は驚くほど薄い。


「水着と言えばルミナさん。ということで、ルミナさんにも来ていただいています。」

「はぁい。お色気枠に入ったつもりはない、ルミナ・ノワールです。」


ビキニ姿の美少女が増えたというのに、男たちの表情は変わらない。

むしろ、苦い顔をしている者すらいる。


「さて、今日はちょっとしたデモンストレーションの為に、ここに来ています。」

「セリフィア一人で喋らせると説明動画にしかならないから、私と話す感じの方が見やすいでしょう? 私はただの賑やかし。」


砕けた口調と柔らかな雰囲気。

だがルミナがちろりと舌を出した途端、妖艶な色気が可視化されたように漂う。


「私は、ご主人様の為なら……賑やかしでも、なぁんでもヤルわよぉ?」


その色気に引きずられるように、カメラも自然とルミナを中心に捉えていた。


「はい。というわけで、今日はデモンストレーションです。ルミナさん。『デモンストレーション』って何かわかりますか?」

「バカにしてる? 説明とかを実際にやって見せることでしょ?」


色気など知ったことかと言わんばかりのセリフィアに、ルミナの調子も普通に戻っていた。


「その通りです。言葉だけでなく、実際にやって見せること。それがデモンストレーション。見た人が理解しやすい、ちょっとしたショーのようなものですね。」

「で? こんな海上に来て、いったい何を見せようって言うの?」


「見る人が見れば分かる、そんな『力』を見せようという趣旨ですね。」

「それは楽しそうね。それで……えっと、そのために彼女がいるの?」


画面外をチラリと見るルミナ。

セリフィアがしっかり、ゆっくり頷く。


「ええ、彼女をご紹介する前に、とりあえず現在地の説明をしますね。

詳細は言いませんが日本のEEZ、排他的経済水域にいます。」

「排他的経済水域?」


「海の資源を独占的に利用できる海域のことです。領海の外側から200海里と定められていますね。」

「ふぅん。面白いのね。他の国が入ってきちゃダメなんだ。」

「ルールの下、通るだけなら問題ありませんよ。その他はダメですが。」


セリフィアがカメラに向き直り、画面の中心に収まる。


「さて、この時間帯、この海域では日本側の活動が何も行われていないことを、関係各所に確認済みです。

漁業関係者の皆さまにもご協力いただきました。ありがとうございます。」


しっかりとお辞儀をし、そして指を2本立てる。


「本日は2つのデモを行います。一つは水上歩行。もう一つは……ショーになるでしょうか。」

「ねぇ……ねぇ、なんか、もう威圧感がスゴイんだけど……」


ルミナが画面外を見ながら、セリフィアの腕をつつく。


「お待たせし過ぎてしまいましたね。では一つ目のデモを始めたいと思います。

覇王院(はおういん) マッスル()さん。お願いします。」


――その瞬間、空気が変わった。


彼女が歩いてくるだけで、クルーザーが一歩ごとに揺れているように感じる。

足元から重低音が響く錯覚。

筋肉の塊――いや、『筋肉でできた覇王』がそのまま動いているかのような迫力。


肩幅は成人男性二人分。

鉄製と思しき棘付きの肩パッドと胸当て。

上半身はそれ以外何も身につけておらず、割れた腹筋が芸術品のように露わになっている。


肩パッドから伸びた腕は、成人男性のいやラグビー選手の太ももより太く、血管が浮き上がっているのに、なぜか肌はツヤツヤ輝いている。


下半身はホットパンツとブーツ。

だが、その脚は成人男性の胴ほどの太さがあり、筋肉の名称がすべて言えそうなほど、くっきりと形が浮かび上がっている。

身長もおそらく二メートルを超えている。


圧倒的な体躯。

圧倒的な筋肉。

そして、それに負けない覇王の顔つき。


鋭い眼光。

力強い眉。

通った鼻筋。

真一文字の口元。


完全に『歴戦の覇王』そのもの。

黒く艶のあるロングヘアを高く結い上げたポニーテールが、風に揺れた。


画面を見ている男たちの間にも、この登場に誰かが息をのむ音が聞こえる。


「皆さま、ごきげんよう。

覇王院マッスル子……参上ですわ。」


響いた声は、清楚なお嬢様そのものだった。


「お呼びいただき、光栄でございますわ。

本日は全力で務めさせていただきますわ。」


礼儀正しく頭を下げた。

ただし視線は一切外さない――その所作が、どうしても“戦場の礼”を思わせる。

声の質と外見の落差に、脳がバグるような違和感が生まれる。


「さて、ではデモを始めますわ。セリフィアさん。確認いたしますわ。

海上で力を見せればよろしいのですの? そして、この付近に味方は居ない……そういうことで?」

「はい。その通りです。この付近の私たちの味方は、この船だけです。」


覇王院が不敵に口角を上げた。


「では参りますわ――覇ぁっ!」


掛け声と共に海上に飛び出す覇王院マッスル子。

着水と同時に巨大な水柱が上がる。


「水に沈む前に足を踏み出せば沈まない――古来より伝わる秘儀ですわ!」


高速で動く足がドドドドドドドドドと連続音を響かせ、海上を疾走していく覇王院マッスル子。


「それでは行きます()ぁっ!」


そのまま猛スピードで移動する。

下手な高速船など相手にならない。

むしろ地上でも車では追いつけないほどの速度で、海面を駆け抜けていく覇王院マッスル子。


カメラが必死にその姿を追っていると、覇王院は大きく跳躍した。


「むぅんっ! そこですわッ!

くだけ散れぇッ!

筋肉・一点・突覇(とっぱ)ァっ!」


叫び声と共に、覇王院マッスル子の拳が海へと突き立てられた。


拳が海面に触れた瞬間――

海がドォンッッッ!! と大きな音を立てて爆ぜた。


空気を震わせる重低音が、クルーザーの船体まで響く。

海面は一点から白く泡立ち、

巨大な水柱が真上へと突き上がる。


水柱が海に戻っていくと、雨のような水飛沫が甲板に降り注ぎ、

波でクルーザーが揺れる。


そしてドドドドドドドドドと連続音が近づいてくる。


「覇ぁっ!」


掛け声と同時に海上からジャンプし、クルーザーへと戻ってくる覇王院マッスル子。


「……これが、筋肉の一点突破ですわ。」


腕を組んで仁王立ちになり、覇王は微笑むのだった。


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― 新着の感想 ―
味方は居ない、味方は居ないって繰り返すの、完全に敵は居るやつですやん!
中村「初登場時の裸王もといラオウの絵面でcv田村ゆかりはこう、くるものがあるね!」 腹黒白衣光属性眼鏡「これが水◯だと違和感まったくないんですがねー」 中村「おいおい、それは流石に……あれ?無いな。ホ…
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