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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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101/131

第101話 廃線トンネルでひと休み

「さて、大事な話も聞けましたから、今日はもうマスターを解放していただきましょう。」

「あら? またホテルに戻るつもりでしたが……ホテルがご不満でしたら温泉宿でも――」

「いいえ。」


言葉を遮るように、セリフィアがすっと手のひらを上げた。

そのまま俺へ視線を向ける。


「環境が変わりすぎて、マスターはお疲れですから。」

「それは気づかず申し訳ございません。では、ご要望に合う宿なり家なりをご用意いたしますので……中村様のご希望をお聞かせ願えませんか?」


セリフィアとのやり取りを経て、詩乃も俺を見る。


正直なところ、高級ホテルは快適ではあるが、心の底からリラックスできるかというと微妙だった。

天哭の塔以降、怒涛のように新しい情報が押し寄せてきて、頭も心も休まっていない。


……恐らくだがセリフィアは『一旦、詩乃から距離を取れ。その方が良い』と判断してくれているのだろう。


セリフィアは、いつだって純粋に俺のためだけを考えて行動してくれている。

だから、彼女の判断を疑う理由なんてない。


つまり――


「そうですね。ちょっと自分なりに整理もしたいので、いったん解散としていただけると嬉しいですね。」

「……左様ですか。」


詩乃が、あからさまにしゅんと肩を落とした。

その表情が妙に罪悪感を刺激してくる。


「要望があれば、こちらから言いますので、それを待つのが本筋でしょう?

あなた方の方針は理解しましたから、何も言わず行方を眩ませることはありませんから、ご安心を。」


セリフィアの声に諦めたように、ひとつ小さく息を吐く詩乃。


「……かしこまりました。降りたい場所のご希望はございますか?」

「そうですね……最寄り駅でお願いします。」


セリフィアが、にこりと微笑んだ。



★ ☆ ★ ☆彡



駅で降りた俺とセリフィア。

色々と内緒話があるとのことで、駅で食べ物や飲み物などを買ったあと、最寄りの人の少なそうな不人気ダンジョンをピックアップし、そこに向かうことになった。


向かったのは7級『廃線トンネルダンジョン』。


地下鉄の廃線がそのまま迷路化したようなダンジョンで、狭い・暗い・怖いの三拍子が揃ったダンジョン。


出てくるモンスターも、スクラップラットというネズミのようなモンスターや、シャドウゴーストというレール上にだけ現れる影の幽霊のようなモンスターが居る事も不人気に拍車をかける理由らしい。

ジャンクアームという機械系の腕だけのモンスターも出るらしいが、このモンスターだけ倒すうまみがあるとのこと。


ダンジョンは7級ということで緑青色の結界膜。

色々な等級のダンジョンに入ったことで、色と級数の関係が少し分かってきたように思う。


7級はD9免許で入れる最高レベルのダンジョンだから、一般人であれば少なからず危険を覚悟しなければならないダンジョンとなる。


魔力干渉解析マナ・インタラクト・スキャン――」


であれば、俺たちにとっては散歩レベルということだ。


「なるほど……面白みのないダンジョンですね……ただ一般人のトレーニングという視点でみると、面白いダンジョンかもしれません。」

「そうなの?」


セリフィアは淡々と説明を続ける。


「まず、スクラップラットのような小型モンスターは、足音が小さく、気配も薄い。

一般人は、こうした『弱い気配』を感じ取る練習が必要になります。」

「なるほど……」


「次に、シャドウゴースト。

影から突然飛び出してくるようですが、出現場所は限られています。

つまり『避ける練習』に向いています。」

「あ~……避ける練習ね。」


「はい。一般人は攻撃の前に『避ける』という基本動作がとても大切です。

シャドウゴーストは出てくるところが限られているので、初心者でも回避の練習ができます。」


「そして、ジャンクアーム。

これは『弱点を突く』ためのモンスターですね。」

「弱点?」


「はい。腕の形をしたモンスターですから、関節部分が弱点だと想像しやすいでしょう?

実際その通りでしょうし、一般人が自然と『どこを狙えば効くか』を学ぶには最適な教材です。」

「なるほどなぁ……」


「つまり、このダンジョンは『不気味な環境に慣れ、基礎を身につけられる場所』。一般人が強くなるために、ちょうど良い練習場ですね。」


セリフィアは少し柔らかく微笑んだ。


「まぁ、私たちには関係ありませんけれども。さて、人の姿はありませんが、念のため奥まで向かいましょう。」

「うん。分かった。」


20分程雑談をしながらセリフィアの指し示す方へ進む。

もちろん襲ってくる敵は、全部倒している。セリフィアが。


「――この辺までくれば大丈夫でしょう。丁度休憩できる場所ですし。」


廃線となったホームのような場所。

所々壊れているが、まだ使えそうなベンチが残っている。

そこに腰かけると、セリフィアも横に座った。


「さて、マスター。色々と検証したいことがございます――」

「検証っ!?」

「ええ、検証です。主に防衛面ですが。」

「あ……はい。」


そりゃそうだ。

検証とは、検証なのである。

検証ではない。


「その前に、ほんの少しだけ小言を言わせていただきますね。」

「あ、はい。」


小言を言われる?

そんなの……心当たりしかねぇな!


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この主人公、定期的に怒られるなw
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