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プロローグ
また怖い夢を見た。
夢の中で、私はまたあの段ボールの中にいた。
私は段ボールの中、たくさんのひよこと一緒だった。
大きな手が私たちを掴む。
そして別の箱へ選り分けていく。
私は大きな手に捕まれた。
指すような視線を浴びせ、私を段ボールから放り出した。
規格外だと、そう言われた。
私は誰にも見向きをされない。
段ボールの端っこで隠れていた、できの悪い子。
だからもう、みんなと一緒に学校にいられない。
ほかの子と一緒に、ちゃんとできなかった。
ぴいぴいと静かに泣くしかなかった。
それでも……。
この小さな羽でも、
いつか私も飛べるって信じていたい。
みんなと一緒に、自由に空を渡っていけるって
そう願っている。