母の手
揺れる木漏れ日の中で、僕を抱きしめてくれる母の手
苦しい時も、悲しい時も、いつも隣にいてくれる
かけがえのない時間を過ごした気がする
不意に、家の窓から空を見上げる
遠い場所にいるような気がして、立ち止まると、見上げた母の顔が優しげだ。
少しだけ寂しい気がして、ペンを走らせると、追憶のように、呼びたくなる
何度も、何度も、母さんと
叱ってくれた大きな手が、頭を撫でてくれた優しい手が、遠ざかる日を想像すると、僕は、居ても立っても居られない
あの日、生まれた日から、何度も祝ってくれた日を、当たり前だと言えるのか
通り過ぎる車の車窓から、母が遅刻した時僕を送ってくれた日
泣いている僕を励ましてくれた日
意味もなく母の布団に入って、ぐずって困らせた時
母はそっと困った顔をして、僕をあやしてくれた
今こうやって、振り返ると、一杯、傷つけた気がして、申し訳ない
いつか、永遠の別れがやってきて、僕は、どうすればいいのかと問いかける
そんな悲しみさえ、母の声がかき消していく
ありがとう、母さん
精一杯生きている
僕をいつも、支えてくれてありがとう
これからと言う言葉を僕は嫌いで、今を生きるという言葉がきっと好きな母は、この人生という中で、胎から生まれた時、離れていくということを知りたくないという僕を、ずっと隣で見ている
そんな夢路の中で、床に就くベッドの上で、大人になりきれない僕の、この歌をどうか受け取ってください
あなたの声が愛おしい
あなたの老いた手も愛おしい
あの美しい夕日よりも、気高いんだと言えるという僕の愚かさを叱咤するあなたの皺は、僕をつなぎ止める
この悲しい優しい気持ちのまま、母さん、木洩れ日が、見えないなら、僕はあなたの瞳を永遠に思い出すよ
もう一度、こんな僕を支えてくれてありがとう
詩人として、言葉を抱きしめるなら、僕は、あなたの遠く近くで、そっと吹いている風を知っている
それからね母さん
あなたの手が、忘れられない
心配しているあなたを見ると、どれだけの想いが、心に過ぎ去るのか
僕は、この詩の中で、あなたがいつか逝ってしまうなら、静かな晩に、そっと追憶の夢路を抱きしめる
その意味をいつか知る時、僕はあなたのくれたすべてを留めるのかもしれない
この心に、
そして、湖の畔で、孤独の影が来ても、水鳥の飛翔にあなたの夢を見ているのかもしれない。
帰れないから、こうして、詩を描くんだ。
絵が下手だから、僕は言葉を紡ぐんだ
でも
言葉よりも絵よりも、あなたの強さ優しさは、僕の瞼の裏にある
庭で遊んだ日に、そっと、子供は、ボールを庭に置き忘れる
もし、母さんがいなければ、僕はボールを無くしていた。
いつまでも、永遠に、あなたが、僕の指に宿りますように
つないでくれた手を忘れませんように
詩人はここにいます。
そして、この詩を送ります
ありがとう
と言う言葉の意味を理解できない
僕は永遠の迷子なんだ。




