〜英雄とは〜炎属性について 前編
神様に殺された僕、トレイが寿命を延ばすため異世界に転生する物語
前回までのあらすじ
トレイは体育の授業を受けていた。そして一緒にベアを組んだバルトと遊ぶ約束をした。
僕は元の世界に帰れるだろうか?僕、トレイはあの夢を見た後またそんな不安に襲われた。サタンはどこにいるかわからない。また、もしサタンと戦ってもう今の状況では勝つどころかHP を削ることすらできないだろう。そんなことを考えて、より不安になる。ふと窓を見ると外から光が入ってきたいた。ちょうど日の出の時間だったのだろう。どこからか鳥のさえずりも聞こえてくる。そうだ、現実世界の僕の時が進むことはない。いくらここで時間をかけてしまってもあちらの時間が動いていることはないのだ。そう僕は僕自身を奮い立たせた。とは言え僕だって早く前の世界に戻りたい。まだ彼女すらできていないのに。なので多くのスキルを覚えて早くサタンを倒そう、そう決めた僕はいつもより勢いよく布団から出た。
まだ早い時間なので二人とも起きていない。僕は洗面所に向かった。いつもポールとカーミユが使っているため必要最低限の時間しか使っていなかったが、今日は二人ともまだ寝ているのでゆっくり使っても問題ない。そう思い、僕は久しぶりにキチンと身支度を整えようと思った。そして前にある鏡で自分の顔を見た。そこには30年以上前から見続けている顔があった。今の僕の顔は前の顔と同じなのだ。おそらく神様がそのようにしたのだろう。そんなことを考えながら僕はゆっくりと準備した。そして洗面所での準備を終え、扉を開き部屋に戻ると、そこにはすでにポールがいた。そんなに長い間洗面所にいたのかと思って部屋にある時計を見た、がまだ洗面所に入ってから10分も経ってなかった。そのタイミングでポールが
「おはようございます、トレイさん。今日はとても早いですね。」
「おはようポール、君はいつもこの時間に起きているのかい?」
「もちろんです、召使いとして主人より2時間くらい早く起きておかないと。」
前の世界で召使いなんて言う職業はまるで別の世界の方々の家にしかいない物だった。なので召使いがこんなに大変な物と言うのを知らなかったのもあるだろう。しかしその事による驚きよりも僕は感情を一部無くされてしまって、まるで前の世界のロボットであるかのように働かされてつことから来る恐怖の方が勝ってしまった。僕も彼の家系に生まれていたら感情を無くされていたのだろうか。そんなことを考えてしまったのだ。
「どうしたのですか。早くどいてください。」
彼の感情のない言葉でハッとさせられる。僕は慌ててどいた。彼は中に入っていく。そしてパタンとなった。僕はさっきの言葉にも普通ならある怒りと言う感情が感じられなかった事でより一層恐ろしく思えてきた。
そして部屋の方に戻った。カミーユはまだ寝ているので起こさないように静かに自分の机へ向かった。そして配られていた今日の授業の時間を見た。今日も基礎の授業はなく、代わりに炎の属性の先生による1年生向けの授業があるらしい。前までの僕なら別の属性の授業になんて出ていなかっただろう。しかし今日僕はサタンに早く勝つために多くの事を学ぼうと決めたのだ。そう考え、僕はこの授業を受けることにした。
そして僕はその授業に出るための準備を始めた。と言っても準備する物なんてたいしてなかったが。そして準備を終え、部屋を出て行く前にポールから声をかけられた。
「今日はどこの授業に行くのですか?」
「今日は炎の属性について教えているピエール先生の授業を受けに行くんだ。」
「そうなんですか。私たちもその授業を受けるんで、ご飯を食べた後待っておいてくれませんか?」
そう言われた。断る理由もない。
「わかった。ただ授業終わった後ちょっと用事があるから一緒に動けないよ。」
「別にそれは問題ありません。」
そして僕は先に1人で食堂に向かった。いつもだったら混んでおり、座れるかすら危ういのだが、今日はいつもより早い時間だった事もあってか、食堂に座っている人はまばらだった。そして僕はそれが早起きした特権かと少し優越感に浸りながら決められた席に座った。そしてその後、ランチをもらいにいった。そして列に並んでいるとそこに見たことあるような顔が見えた。今日の夕方にまた会おうと言ったパルトだ。彼も気づいたらしく、おはようと言ってきた。僕もおはようと返した。そして列に並んでいる間、僕は改めて昨日の約束を確認した。
「今日の夜ご飯の前の5時くらいに部屋に行けばいいよね。」
「もちろんそれでいいよ。けどよかった。仲良い友達ができるか不安だったんだ。」
「僕もそうだよ。友達ができてよかった。」
そんなことを話していると、すぐに列の最前列にいた。そして僕らは朝食を受け取り、 それを食べ始めた。今日は洋食らしくパンと牛乳、ハムエッグであった。そして残すは牛乳となった時、ポールが来た。そしてついてすぐに彼が
「トレイさん、もし早く食べ終わっても部屋に入らないでくださいね。カミーユさんが着替えていらっしゃるので。」
と言ってきた。もちろんこっちもその気だ。なので図書館から借りてきた本をリュックから取り出して読み始めた。そしてそれを読み始めて7、8分くらいするとポールがご飯を抱えて持ってきた。そして決められた席、つまり僕の横に座った。そして彼が話しかけてきた。
「突然ですがカミーユ様のことどう思ってますか?」
僕は突然のことに驚いた。
「いい人だと思うよ。ただ初めの時以降あんまり話せてないかも」
「そうですか、実は伯爵様、つまりカミーユ様のお父様に一ヶ月に一回、上手くいけてるか、報告しなければならないのです。確かにカミーユ様は召使いにも笑顔で対応してくださるくらい優しい人なんですが、あまり考えていることがわからないのです。なので同室のトレイさんに聞けば多少わかると思ったのですが…残念ながら無意味でしたね。」
彼がカミーユのことをすごく考えている事はわかった。まるで好きな人の事を考えているかのように。
「本を読んでる途中に邪魔してすいませんでした。」
彼は本当に困っているように見えた。その時僕にある一つの案が思いついた。そしてその案をポールに言ってみた。
「今日、昨日体育でペアを組んだパルトの部屋に遊びに行くんだ。さっき言った予定ってこれなんだけど…、一緒に来ない?そうすれば少しはカミーユの考えていることが分かるかも知れないし、報告するための材料にもできるんじゃない?」
彼はこの言葉を聞いた後少し考えこんでいた。そして2,3分後、彼は
「それはいい考えですね。けど邪魔にならないですか。」
「多分問題ないと思うよ。」
「じゃあお願いします。」
と言ってきた。 そして僕は彼と集合場所と時間を決めた。
そしてそれが決まった瞬間カミーユが来た。
「ごめんなさい、待ちましたか?」
「そんなことないですよ。」
その頃にはピークの時間も過ぎ、列は短くなっていた。なのでカミーユはサッと並びすぐに朝食を持ってきた。その後カミーユにポールと話した事を言った。彼女は少し驚いた表情をしたが了承してくれた。
そしてカミーユが食べ終わった後、僕らは炎属性の授業を受けるため校舎へ向かった。さっきのカミーユの表情が少し気になった。
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