〜催眠〜国の歴史
寝てしまったら時間が経つのなんてあっという間だ。太陽の光によって起こされた僕はそんな事を考えていた。普通は早起きする事は苦手だが、昨日は一日で多くのことが起きすぎてまだ理解が追いついていないこともあり早く目が覚めてしまったのだろう。しかし一晩中考えたが何も思いつかなかった。それよりもなんで僕はこんなにも運が悪いのだろうと考えてしまう始末だ。前の世界から思うが僕はかなり運が悪い。運が悪くなかったら交通事故で死んでいないだろうと言われてしまうかもしれないが、僕の運の悪さはそれだけではない。相対的に見て弱そうで炎などと比べると地味な自然属性になってしまったし、6歳の誕生日が過ぎ、7歳の年度まで訓練などできない庶民に生まれてしまった。トドメは知ってはいけない事を知ってしまったことだろう。彼女が言うにはもし僕が彼女の秘密を知ったと彼女の父に知られると僕は殺されてしまうらしい。やはり権力は怖いと思った。絶対に言わないと心に決め、布団から出た。寮は一部屋だが意外に大きく、普通の教室くらいの大きさがあった。そしてそこに2段ベッドとベッドがある。カミーユとポールが二段ベッド、僕が1人用のベッドだ。一応物置や本棚もあり、もちろん洗面所やトイレなどもある。普通に暮らす分には問題なかった、そう普通に暮らすには。僕はカミーユよりも早く起きて動かなければならない。なぜなら寮は一つの部屋しかないので彼女が着替える間、僕は部屋入れないからだ。洗面所にはすでにポールがいるらしく中から音が聞こえた。そして出てきた彼はすでに着替え、髪も整えた状況だった。そう思っていると彼が声をかけてきた。
「おはようございます。トレイさん。カミーユ様が着替えるまでに準備を終えてくださいね。」
「おはよう、ポール。あとどのくらいの時間がある?」
「そうですね、20分くらいですね。」
「わかった。ありがとう。」
そして僕はその日の準備を始めた。元々そんなに服も持っているわけでなく、また今日の予定はアンビア先生の基礎の授業に出るだけなので準備はすぐに終わった。その頃にはカミーユは起きて髪を整え始めていた。ポールが
「トレイさん、もう出てください。」
と言う頃には準備はすでにできゆっくりしている状況だったので、すぐに動くことができた。そして僕はポールと一緒に食堂へ向かった。やはり彼もカーミユの着替えを見てはいけないのだろう。そうして僕らは食堂の方らからご飯をもらい食べ始めた。そしてちょうど食べ終えた時にカーミヨがやってきた。と言うことは僕らは部屋に入っていいと言うことだ。
そして僕の授業は3時間目からだったので上に上がりもう一度寝ようとした。そしてベッドに横になってうとうとしていると扉の音がし、ポールとカミーユが入って来た気がした。そしてポールが洗面所に行った時、カミーユが近づいて来て、ベッドの近くに来たと思った。そしてトレイと小さな声で呼んだ瞬間、ポールが洗面所の扉の鍵を開ける音が聞こえた。そしてポールが洗面所から出てきた時には彼女は慌ててこちらから離れ、ポールに何事もなかったように話しかけていた。もちろんその時には僕も眠っていたからだ。そんなことが起きたのか、それとも夢だったのかすら2度寝から起きた僕には判断できなかった。しかし本当にカミーユが僕の名前を呼んだとしたならポールがいない時になぜ僕の名前を呼んだのだろうか?
しかし起きた後、僕にそのことをゆっくり考えている時間はなかった。もう授業の開始の時間が迫ってきたからだ。僕は慌てて準備してたリュックを持ち、授業へ向かった。
教室に入るとすでに多くの人がいた。やはり多くの人が基礎は大事なので受けておこうと思っているのだろう。 その中にはポールとカミーユの姿も見えた。そして僕が入り、席に入るとすぐにチャイムがなり先生が入って来た。 「今日はこの国、そして歴史について教えようと思います。」 そして彼女はプリントを配り始めた。そしてプリントが後ろまで回った時彼女は話し始めた。
「まずこの国、土の国には王がいます。みなさん知っていると思いますが、茶象様ですね。彼は50年前、この国にいたサタンと思われるような大きなメッシャンも倒したことで王になりました。そして王の下に貴族と呼ばれる方がいます。その中にも位があり偉い人から青・赤・黄・白・黒の紋章が付いています。貴族は全員ブリーブであり、その中には特殊なスキルを生まれながらにして持っている人々もいます。それで元々あるスキルを血継限界と言います。」
そして彼女は一度話を切った。
「ここからは王について話しますね。王、また王の親族は紫の竜の紋章をつけております。そしてここからが注目です。王には2通りのなり方があります。一つは普通に王が亡くなった時、元々の皇太子であったものがなるなり方です。もちろん皇太子は前の王の子供です。なので王を世襲すると言うことですね。そしてもう一つ特殊ななり方があります。もしサタン、もしくはサタンと思われる物を倒し、そして7王会盟で過半数を超える者がそのブリーブが王になることを賛成した場合自動的にそのブリーブが王になります。これを禅譲と言います。今の茶象様後者のなり方で王になられました。しかし特殊ななり方もありました。この国の最初の王は約800年前のフィリップ様です。フィリップ様は初めてサタンを倒したと言われている伝説の男、フラム様の子孫だったと言われています。元々はフラム様の子孫がこのアテネアンビラ全てを収めていたのですが後継者争いが起き、5年間内部争いが起こりました。最終的に7つの国に分けると言うことで合意しました。その時大国の7国だけでなく、小さな国も多数できました。そして真ん中のアテネで初代の王たちは2度とこの七国が戦争をすることを禁止すると決めました。アテネで決めたことは必ず行うと言うしきたりでした。なぜならもし行わなかったらその人は死んでしまうと言う呪いがあるからです。それ以降大事な会談はアテネで行われることになりました。そして今までの800年間は戦争が起きたことはありません。」
そしてその日の授業は終わった。そしてその後は図書館に行き小説を読んでいた。やはり楽しむ物がなければ頑張れない。前の世界のようなゲームやSNSなんてないので本くらいしか娯楽がないのだ。
そして何冊楽しんで読んでいたら。すっかり当たりは暗くなっていた。そして寮の部屋に帰ってきた。部屋に入る前にノックをした。これは昨日ポールがやれと言っていたからだ。中には2人ともいた。カミーユはポールと一緒にリーブルを読んでいた。そしてそれが解読し終わった時、3人で食堂に向かった。 そして食堂で食事を食べた。食堂のメニューのレパートリーは多くあるらしく、中には前の世界の日本食なんかもあるらしい。今日は普通のパンとシチューであったが。 そして帰ってきてポールがお風呂に入っている時、カミーユが小さな声で話しかけてきた。
「大切なこと小さな声で話すから聞いて。実はポールは可哀想なことに一部の感情が無くされてるんだ。」
僕はこのことに一瞬頭が真っ白になった。誰がどうやって何のためにそんなことをやっているのか検討もつかなかったからだ。彼女は言葉を続ける
「彼は僕の父にそういうスキルを掛けられているの。簡単に言うと催眠スキルね。だから彼に悲しいや嬉しいなどと言う感情がないの。ただ僕を支えるだけの機械ような感じなんだよ。」
その言葉に僕は驚かされしまった。人間を機械のようにするなんて何て悪質なスキルなのであろう。怒りで拳が震えた。彼女が言葉を続ける。
「それじゃ彼が可哀想なんだ。だから元々の人に戻してあげたいんだ。けどポールにこんなこと聞かれたら父に報告されてしまうからいない時にしか相談できなかっただ。君には僕の一番大事なことがバレてるから大丈夫だと思ってるから協力して欲しいんだけど、お願いできる?」
僕はこの話を聞きポールに同情した。なので
「わかった。協力する。」
と言った。そして離れた時ちょうど洗面所からポールが出てきた。彼を見るとさっきの話で涙が出そうになった。がそんなことをすると何かあったのかと心配されるので我慢した。そしてその後風呂に入り布団で寝た。夢にはポールが楽しそうに笑って遊んでいるような夢を見た。