ある、かけがえのない日常
なんで明かりが?
まさか‥
「っ‥」
いないでほしいと思つつ‥嬉しい、だなんて…
「また、待ってたのか?」
「はい、待ってました!」
満面の笑みで答える彼女を見る。
「はぁ~」
笑っちゃってないといいなぁ‥
「心臓に悪いから、止めてほしんだけど」
「だめで~す!」
そんな笑顔も好きだよって、言えたなら‥こんな所で待ったりしないか?
言えてたらこんな苦労、しないんだろうけど。
二度目の溜息は、気づかれないように、そっと息を吐く。
「また、送っていく」
「はい!よろしくお願いしますっ!」
あぁ‥その笑顔は、どうか俺だけにっ‥!
「なんで、いつも待ってるんだよ?」
「それは‥」
俺はこの先に進めない。
だって、この先は聞いていないのだから。
***
「っ‥はっはぁ‥」
所詮夢だ。
だけど、そう言い切れない。
「本当に‥人間って脆いなぁ‥」
俺の大切だった日常は、いつも突然に壊される。
「見つかんないな」
魂と呼ばれる光、沢山の光から一つをつかみ取る。
「こんな記憶、忘れられないよな」
そっと放すと、ふわりと離れていく。
「さて、仕事でもするかね~」
ある、かけがえのない日常が壊れた日から始まった‥
「ちょうどだな、行くか」
辛い悪夢の話。