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私がいない世界  作者: emi
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8

告別式を終えると、そのままお盆に入った。


漸く、彼らは休むことが出来る。


明日は、彼の実家の地域で行われる花火大会だ。




「今年も来たら?気分転換にもなるかも知れないしさ。」


遠慮がちに、彼の家族が声を掛ける。




少し迷った顔をした彼は、あの子の顔を見ながら答えた。


「行こうか。」






今年の花火大会は、例年よりも随分と混んでいる。




確かに、ここの花火大会は、打ち上げ数も多く、評判ではあるけれど、


それにしても、今年はちょっと混みすぎだ。




それなのに、彼らは、上手にスイスイと歩いて行ってしまうから、


ついて行くのが大変だった。




毎年と同じ場所へ席を取ると、間もなくに、花火が打ち上がった。




花火を見上げた彼は、無表情のまま、空へとカメラを向けた。




あの子の側には、今、3歳年下の従兄弟が、ピッタリと寄り添っている。


従兄弟に笑顔を向けているあの子の姿に、安堵しながら、


私は、彼の側に寄り添った。




何度、彼の顔を覗き込んでみても、彼は、ひとつも笑わなかった。




『ねぇ、あなた?』




彼には届かないことを知りながら、


声を掛け続けることしか出来ずに、


彼の顔を覗き込みながら、話し続けようとしたその時だった。


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