表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私がいない世界  作者: emi
5/13

5

この姿になってから、私が声を上げて泣いたのは、


自分が息を引き取った、あの日の夜だけだ。




あの日の夜に、テレビから聴こえてきたのは、


あの子が好きなアニメの主題歌だった。




あの日は、このアニメの映画公開日だった。




静かに流れる音楽も、歌詞も、


何故だか、私の気持ちを彼らに伝えてくれているような、


不思議な気持ちがした。




側にいたいよ




そんな内容の歌詞に、彼らは聞き入り、2人で泣き出した。




そんな2人の側で、私も一緒に泣いた。




私も側にいたい。


ずっと側にいたかったよ。




家族3人、たくさんの涙を流したけれど、


一番大泣きしたのは私だった。




彼らに気付かれることなく、


私は2人の側で、声を上げて泣いた。




この映画、3人で観に行こうねって約束していたんだ。


映画を観に行く約束をした時の、あの子の嬉しそうな顔を思い出す。




ごめんね。


約束守れなくて。




ごめんね。




当たり前に、続くと思っていた日常生活は、


死という形で、突然に終わりを告げ、


私は、もう、


彼らと一緒に、当たり前の日常を送ることは出来なくなってしまった。




こんなに側にいるのに、私だけが、此処にいない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ