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戦局

前作までの話の流れを忘れてしまった人の為に

 第二次大戦末期に一人の自殺願望の強い少女が居た。

 ある日の朝、戦況の悪化に伴い母から叩き起こされるも、忽然と彼女の前から姿を消してしまった。

 そしてそれと入れ替えるように、一人の紳士が家の中に現れる。

 紳士はアイラにゲームをするよう提案し、二人は絵を描き始める。

 しかし紳士の発言には不可解な点が多々見受けられ、少女は、この紳士とは見ているものが違うのかと疑問を持ち始める。


ゲームのルールを忘れてしまった人の為に

双方が絵を描き、交互に質問をして当てることが出来れば勝ちとなる。

負けたものは勝ったものに命令を出せる(常識の範囲内)

ゲームを何回かし、負けの多いものは命を落とさなければならない。

特別ルール

アイラの提案により追加された。

ハンデを使うことを明言すれば、

アイラの質問に、5分以内に紳士は答えなければならない。

もし答えられなければそのゲームは負けになる(回数と内容は自由)


 私はやっとこのゲームを開催した、紳士の事を思い出した。

 今から2年前の1943年の秋に、私の父は戦場に赴く様徴兵令が出されていた。当時の戦局は、ドイツ軍が破竹の勢いで赤軍を押していて、キエフとミンスクは陥落。レニングラードの包囲も完了し、モスクワまで数十kmの地点まで進撃を進めていた。

 父はこの戦争の勝利を確信し、私も母もそれを疑わなかった。

 しかし戦局の悪化に伴い、父はボルガ川近郊の都市スターリングラードで消息を絶ったと、私たち家族の元に電報が入る。

 私は父が行方不明となったことに、言葉では言い表せないほどの衝撃を受けた。それ以来感情が希薄になり、何事にも関心を見出せないでいた。

 それだけ私の心の中では、父は大きな存在だった。

 私の記憶では戦場に向かった父はまだ30にもなっておらず、この紳士とはあまりにも年が離れすぎている。しかしその鋭いような細い目や、整った頬のライン、褒める時に見せる優しそうな笑顔は、2年前に戦場へ飛び立った父とそっくりだった。

 そんな時、玄関の扉が再び来訪者を告げた。見た限り私よりも幼い、2人組みの女の子だった。

 一人は三つ編みに透き通るような白い肌で、背は私より少し低いぐらいの、とても可愛らしい子だった。

 しかしどういう訳か、もう一人の少女は顔が黒く塗りつぶされていて、表情が見えなかった。まるで顔だけ影がかかっているようで、あまりの薄気味悪さに直視する事が出来ない。

 その二人は私と紳士の所まで歩いてくる。

可愛い笑顔の女の子が紳士の横に立ち、顔が影のように黒い女の子が私の横に立った。まるでこの先のゲームの展開を予知しているようで、不安や恐れが一層、心の底から込み上げてくる。

「ハンデを使わせてもらうわ。一つ質問を良いかしら」

「どうぞ。好きなように質問したまえ」

 紳士は余裕があるのか、随分とご機嫌な様子だった。私はこの紳士の憎たらしい笑みを、今直ぐにでも切り裂いてやりたいと思った。

「私と母が見えるのよね? 特別に貴方のお遊びに付き合ってあげる。他に何人見える?」

 すると男は口を緩ませ、私の目の前に一本の指を立てた。

「それは男? 女?」

「わからないね」

「服は女の子だけど、顔がないから分からないって事?」

「ほぅ、それは見ることが出来るのかね」

 紳士は感心しているようで、満足そうに微笑んだ。私はこの紳士が言っている事は妄言ではなく、事実なのではないかと思い始めていた。

「お母さん、私の傍にいるの? いるなら私を助けてよ」

 不安に押し潰されそうになって、思わず叫んでしまった。しかし、答えてくれるものはなく、静寂が嘲笑うかのように、私を包み込む。私の精神状態はすでに限界を超えていた。

「さて、次はワシがアイラちゃんに、その絵について質問する番だね」

 紳士が目を細め、私の書いた紙を見やる。その目は真剣で、自分の描いた絵が見透かされているような感覚だった。

「ほぅ、なるほど」

 紳士は10秒程眺めてからそう呟くと、絵から私の方に視線を移した。私は動揺しているのを悟られないよう、出来る限り平然を装った。

「その絵についての質問は、するまでもなかろう。ワシの絵を描いたのだろう」

 私はそれを聞いて目を大きく見開き、はっと息をのんだ。質問されずに当てられた? 

「どうして、どうして分かったの? 何で何も質問をしないのよ」

すると紳士は滑稽なものでも見るかのように、私に一瞥を与えた。あまりにも威圧的な態度に、私は思わず言葉が出なかった。

 体をガタガタと震わせ、冷や汗が頬を流れるように伝う。目の前の男を睨みつける気力もなく、ただ呆然として、ショックで視点が定まらなかった。



 たった今初めての長編を書き上げ推敲も2,3回通しました。

正直に今の気持ちを話します。新人賞に応募すると決意したものの、5年10年書き続けているベテランの作家達と戦う事を考えれば、心の中に怖いという気持ちがある、というのが本音です。

 しかし諦めたらそこで終わり、私はそう思っています。

 白夜行でも有名な東野圭吾さんも、10回以上文学賞に落とされても、書き続けていたから今があるわけですし、ひぐらしのなく頃にの竜騎士さんも、0の状態から同人活動を始めて今があるわけです。

 私も何十回と賞に落ち続けるかもしれません。つまらないから諦めろと言われるかもしれません。ですが必ず、栄光を掴み取って見せます。


 近いうちに自分の書いた原稿を郵便局に持って行きます。

 倍率を見れば十中八九ダメかもしれません。でも、200枚を越す長編を書き上げる事が出来たのは、他ならぬ読者の皆様のおかげです。結果については出次第、報告いたします。そしてこの場を借りて、感謝の言葉を言わせてください。

 本当にありがとうございます。明日から気持ちを切り替えて、また1から作品を書き上げていきたいと思います。

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