憶測
私はこのゲームで何を描いて、何を質問すれば勝てるかを考えた。確かに自殺願望はあったが、いざ死ぬとなるとどうしても抵抗がある。
それは人間として至極当然の心理である。
それならばこのお爺さんの思いつかないものを描き、その間にこの人の描くものを当てれば良い。何も難しい事ではない。
それに先程、ゲームの途中で質問をして5分以内に答えられなかった場合、無条件に勝てるというハンデも得る事が出来た。しかもこの質問については内容も回数も明言していない。
つまり、この状況を詳しく知る為の手掛かりとして活用する事も、お爺さんのゲームの妨害をする事も可能という事だ。それを考えれば安易に私の条件をのんだこの紳士は、完全に失態を晒した事になる。それだけにこのハンデは、このゲームの戦況を大きく変える切り札といえる。
「ワシは描き終えたが、お譲ちゃんはゆっくり描いて良いからね」
紳士は筆と紙をテーブルに置き、背筋を伸ばした状態のまま私が描くのを待っていた。
私は初戦からこの紳士の裏をかくことに決め、紳士の似顔絵を描く事にした。
通常人間は、他人の方にばかり目を向けており自分の事を疎かにする傾向が強い。これは自分の事しか考えていない自己中心的な人間ほどその限りではない。
例えば、Aさんは自分が可愛くなりたいと思い化粧や流行の服を買い揃えたとする。一見、Aさんは自分を中心に物事を考えているようにも思えるが、それは大きな間違いである。
可愛くなりたいと思ったのは、自分の自発的な意思というよりも、他の友達が化粧を始めたからまたはアイドルがあの服を着ているからなどと真似ているケースが多く、そこに自分の個性と言うものは見出せていない。
分かりやすくもう一つ例を出そう。
高校3年生のB君は東京大学理科三類を目指し始めたとする。
東大の理三といえば、全大学学部の中で頂点であり入り口は非常に狭く、名門として名が知れ渡っている。この場合もB君は自分の意思で東京大学を目指しているようだが、それも大きな間違いである。
通常、高校生の時点で自分がどうあるべきかなどと、悟りを開いている学生などまずいないと考えてよい。つまり、B君は自分に目を向けて医者になろうとしているというよりも、地位や名誉に左右された社会や教師の勧め、両親の職業による影響を受けて志望校を決定していると見る方が自然である。
中には本当に自分の意思で進路を決定していると言う学生もいるだろうが、大学のパンフレットや先輩の情報で実際の学校を完全に把握する事は非常に困難である。そのような情報が乏しい状況下で志望校を決めた所で、果たして周りに流されず本当に自分の意思なのかといえば、疑問符をうたざるおえない。
長くなったが、本当の意味で自分に目を向けていると言う人間は非常に少ないのである。だから私はそれを信じてこのお爺さんの絵を描く事にした。
勿論、似顔絵を描いているとは悟られないよう、お爺さんの顔を見るわけにもいかない。私は今まで見てきた印象を思い出しながら筆を動かしていった。
「描き終わったわ」
するとお爺さんは窓の外から私の方に視線を移し、手に持っているコーヒーカップをテーブルに置いた。
「お嬢さんから私の描いた絵について質問をどうぞ。あ、後ハンデを使う時はちゃんと宣言をしておくれ。会話の中のどの質問が時間内に答えなければならないか、分かりにくいものでね」
「分かりました。では質問させていただきます。その絵を描いている時、お爺さんは何を考えていましたか?」
実はもう一つ作品を書いてるんですが、ライトノベルの新人賞に応募しようと思います。
普通に考えれば、1次落ち頑張ったで賞受賞予定ですが、何事もチャレンジ精神が大切だと思い、応募を決めました。
語彙力に乏しい残念な私ですが、ヤル気だけは他の作者様に負けないように頑張ります。
結果については6月頃に報告いたします。では




