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セイヴァーソウル 魔族討伐隊  作者: ペンギンマン
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序章 ある日魔族がやってきて

 小説初めて書きます。文章、設定、構想ともにひどいです。 趣味と、自己改変のために書いております。作者が遅筆のため、月一連載になると思います。   


コメントや評価受け付けております。

 

 ある日、それらは突然現れた。魔物や魔獣、天使や精霊といった存在。それらは伝承上の姿のまま、現実世界に現れ、人類に襲いかかった。

 科学では説明のできない存在、事象―――それはれ空想上の存在で現実には存在しないはずだった―――。


 あるものは人々を捕食し、あるものは街を焼き払い、またあるものは文明を破壊した。


 世界に突如として現れた魔物、魔獣達は、のちに()()()と呼ばれ、世界の全てを覆い尽くした。


 純魔族達から発せられる瘴気(ヴァイス)は、生物を凶暴化させる性質があり、瘴気を吸った生物は次次と凶暴化し、のちに危険種と呼ばれるようになった。


 かくして世界は瘴気に汚染され、このまま魔族と純魔族に人類は滅ぼされると予言するものもいた。  

 

 ―――しかし、そうはならなかった。人類はすぐに反撃を開始し、ありったけの科学力、軍事力を導入して魔族たちを逆に蹂躙しだした。


 正面から突撃した危険種達は人間の重火器の前に為すすべもなく肉片になり、上位者である純魔族達も半分以上消滅させられ、撤退した。撤退する中で聡明な純魔族たちは思い出した。そうだコいつらは(人間は)争いを好む種族だと―――。

 

 上位者の純魔族達は、都心進出を諦め、支配地域を田舎や集落などに絞った。そこを拠点にした純魔族は、もう一度人類を支配する野望を叶えることを諦めていなかった。


 同族を復活させるための多量の瘴気と血肉、そして人間との間に自らの分身を産ませた。

 

 名を禍月終夜(まがつきしゅうや)


 人間と魔族のハーフである禍月終夜は、自分を産み出した純魔族である父親からこう告げられた。


 「いいか、終夜。我々はかつて人類に破れたが、まだ世界征服を諦めていない。いつか世界が瘴気に満たされるその日まで。だがらお前は人間社会から瘴気を集めて我らの同胞を復活させるのだ」


 「御意」


 その命を受けた魔族復活のための瘴気と血肉を集めるため今日も人間社会に紛れ込み、暗躍する!

 

 (あの乗客かなりいきりたってるな。)


 自分が座ってる座席から、右斜め前でつり革に掴まってる人物を見て、()()そう思った。さっきからぶつぶつなにか言ってるが、どうやら正面に座っているサラリーマン風の男が気に入らないらしい。


 「なんやてめえこら!」

 そう思った瞬間、車内に怒号が響き渡った。言い忘れていたがここは電車の中。学校や会社の帰りで電車に乗っているあらゆる人々が座っている。運悪く座れずつり革に掴まって立っている人もいるが。ちなみに俺はちゃんと席につけた。


 「てめえ、俺の席獲っただろ? どけよ!!」


 「そ……そんなことしてませんよ……」


 見ると、強面で大柄な男にサラリーマン風の小柄な男性が絡まれている。 


 「どけよ!! てめえおい! 俺が先に見つけた席だぞ」  


 「……そんな、僕が先に座ってたんですよ……後から来たのはあなたじゃないですか?」

 

 絡んでいる男は、どうやら席を横取りされたと思って怒ってるらしい。しかし、電車の席など早いものがちが基本だ。相手がお年寄りか妊婦でもない限り譲る義理などない。


 周りに座っている乗客は何もしない。やれやれ、面倒ごとは好きではないのだが場を静ませるためには俺が動くしかないようだ。


 俺は折角手に入れた優先席から腰を上げ、絡んでいる中年のおっさんに対して

 「もしもし、そこのおじさま」


 揉める二人の中に俺は割って入っていった。


 「失礼ですがここは通勤者もいらっしゃる電車の中、騒ぐなら次の駅で降りてもらえますか?」


 「なんやお前には関係ないやろ。ひっこんどけ」


 絡んできたおっちゃんのほうは、俺に静止されても怒りを抑える気はないらしい。


 「怪我したくなければひっこんどけや……って痛てててて!」

 

 俺は話も禄にきかず、おっさんの手をつかんで握りつぶした。その瞬間、柄の悪いおっさんは眉を顰めて苦悶の表情を浮かべた。


 「優しく話してたら調子乗りやがって、てめえが悪いってことは分かりきってんだよ。クソボケ」


 「てめえ……このガキっ! 離せ! 離せ! 離せってんだよ!」


 おっさんは必死になって、俺の体を無我夢中で蹴るが、痛くもなんともない。俺より10センチ以上も体格差のある男の攻撃は一切通じず、怯むどころか、衝撃で体が揺れることもない。

 

 俺は今度はおっさんの胸倉を掴むと天上に届く高さまで持ち上げた。


 「おおおっ!?」


 丁度その時、電車が付近の駅についたようだ。アナウンスとともに電車のドアが開かれる。


 「ちょうどいい。あんたの降りる駅かどうか知らないが、ここで降りてもらおうか」

 

 「てめえ! ちょっと待ちやがれ!」

 

 俺は無視したまま、開かれた扉めがけておっさんを片手で投げ入れた。


 おっさんは開かれたドアの間を通過し、ホームの壁に激突した。駅の人々のどよめく声が聞こえたが、すぐに扉はしまって聞こえなくなった。


 「やれやれだ」


 「あ、あのう」


 暴漢に絡まれたサラリーマンの男が恐る恐る俺に話しかけてきた。


 「助けてくれてありがとうございました。あのう、なんとお礼申し上げればいいか……」


 「別にあんたのためじゃない。お礼なんていらないよ」


 そういうとそのサラリーマンは目を見開き驚いた声をあげた。


 「あなた悪能力者ですか?」

 

 「ふむ、いかにも」


 「悪能力者の方には仕事上何度も会いますが、貴方みたいな正義感溢れる人は初めてだ。感動しました」


 どうやら、この人にとっては俺は正義感溢れるいい人間に見えるらしい。俺はただ、自分にとって害のある人物を排除しただけなのだが。


 「それはどうも」 

 

 俺は男性から謝礼を受け取ると、()()()()()()()()()()()


 懐からライターを取り出し、親指で側面を擦った。しかし、火はつかない。それもそうだ。これは瘴気を集めるためだけに作られたライター型のアイテムだからだ。


 何度も指で擦っていると、その男性は不思議そうに首を傾げた。


 「あのう、それはさっきから何をされているんですか?」  


 「いや、お構いなく」


 俺は特に説明することもせず、ライターをポケットに仕舞った。


 「それでは頑張ってな。名も知らぬ青年よ」


 俺はその男性に唐突に別れを告げた。男性ももう一度お礼の言葉を述べた後、軽く頭を下げた。それを受け取ったあと、俺は乗っていた各駅電車から踵を返した。


 この駅から歩いて10分ぐらいのところに俺が住んでるマンションがある。歩いて10分といってもそれは普通の人間の身体能力ならそれぐらいかかるというだけであり、俺の場合にはそれは当てはまらない。


 「トゥ!」


 俺は跳躍し民家の屋根の上に飛び移った。そのまま別の屋根の上に飛び移るを繰り返して屋根伝いで移動した。


 その姿をみて歩道を歩いている一般人がこちらに視線を向けるが、所詮興味本位で見ているだけで、とくに声をあげたりなどはしない。


 当然だ。悪獣や悪能力者、純魔族などが跋扈するのが当たり前の世の中において、脚力だけで屋根を伝いながら移動する俺の存在はさして珍しいものではないからだろう。


 まぁどちらにせよ、俺には関係のない話である。俺は自分の住んでるマンションを視界に捉えると、屋根を蹴って跳躍し、俺の部屋がある4階の411号室にそのまま飛び移った。


 いつも特殊な身体能力に任せて移動しているため、下の玄関から登ってくることはない。


 俺はマンションのドアの鍵をあけて、中に入った。靴は玄関に放り投げた。


 部屋に入った俺は椅子に腰掛けてテレビをつけた。つけたテレビの画面にはニュース映像が流れていた。


 「今日、無法都市で殺人事件がありました。女性が刃物で刺されて死亡。犯人と見られる男は逃走している模様です」


 またか。毎日連日朝のニュースが殺人や凶悪犯罪で埋め尽くされることは珍しくない。そのほうが人の注目を浴び視聴率がとれるからである。


 この都市の犯罪加害者のほとんどは瘴気に侵されて凶暴化したギャングと、悪能力者が占める。そしてそんなやつらに襲われ、傷つけられるのは殆どが女、子供、老人など力のない非力な一般人だ。


 彼らは悪能力者や武装ギャングの気分次第で、奪われ、殺され、犯される。警察は役に立たない。彼らも人間だ。自分が傷つけられる可能性のある事案には関わりたがらない。そして動いたとしてもそれは事件が起こった後の話だ。その頃には被害者は殺されているか、心身に再生不可能な傷を負わされているのだ。


 力こそが全てを支配する場所で、心能力者でもない一般人はただの獲物である。


 理不尽だが、これが現実なのだ。


 俺自身は悪能力者であるが、奪う側にはたたない、しかし奪われる側に立つつもりもない。

 そういった奪う奪われるという概念のない楽園都市に移住することが俺の目的なのだ。向こうに行く準備は整った、後は金を集めるだけだ。

 

 ふいに俺のスマホから着信音がなった。俺がスマホを手に取ると電話越しから女性の声で「終夜ヘルプミー!」と助けを求める声が聞こえた。


 「摩利か」

 「一人で任務やるっていったけどよ。敵が思ったより強くてよ。どうにもなんねえんだよ。助けてくれよ」


 「一人で行くっていったのはお前だろ? なら自業自得だ」

 

 「そう言わないとさぁ、今すぐ助けに来てくれよ。じゃないと摩利ここで死ぬかもしれない」

 

 「はぁ……」


 俺は呆れて溜息をついた。


 「場所はどこだ?」


 俺は摩利から現在地を聞いた後、通話を切った。


 「まったく世話のかかるやつだぜ」


 ここから距離は開いているが、()()()を使えば問題ない。仕事帰りだが、仲間のピンチとならば助けにいかない訳にはいくまい。

 俺は玄関のドアを開けて指定された場所まで向かうことにした。

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