収集癖さん
「はぁ〜〜彼氏君かわいいなぁ……燃やしてしまいたい……!」
あぁ…この気持ち……どうすれば……。でも、彼氏君に嫌われたくないし、燃えて消えて欲しくないし……
「あっ!あんなところに燃えやすそうな物発見!」
そこには、カップ麺の器や食品トレーなどの発泡スチロール類が。
これで、この抑えられない欲求を…!彼氏君だと思って…!
携帯用灯油を掛け、チャッカマンを近づけ……
と、1人の女子生徒が駆け寄ってくる。
「ちょっ!ちょちょちょ!何しようとしてんですか⁉︎」
「っち。邪魔が入ったか……」
「いやいやいやいや!人として当たり前の事をしただけです!」
「なに?私が燃やされたい?いいわよ?コッチに来なさい……」
「いやいつそんなこと言った⁉︎スーパー難聴か⁉︎えぇ?」
「スーパー銭湯……燃やしがいがある……!」
「やっぱ難聴かよ!てか燃やしがいがあるってなんだよ!あり得ないでしょ普通!」
「あり得ないと、言切るのは早いよ……?」
「まさか……⁉︎あんたが囲碁部の……?」
「通称放火魔と呼ばれてるの」
「うそでしょ……いきなりヤベー奴と出くわすなんて……」
「作者を恨むことね」
「メタい⁉︎」
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この子は大学一年生、彼氏君と同期で実は囲碁部なんだとか。私はあまり部室に行かないので知らなかったけど。
通称「収集癖」と呼ばれてるらしい。
あの発泡スチロール類も収集癖さんが集めたものらしい。
基本的に性癖のあだ名を付けられるのは入部してから半年くらいなのだけど……この子は入部してすぐ付けられたそうだ。
なんと、この子は入部した次の日に発泡スチロール類を収集してるのを部長に目撃され、その様子が明らかにおかしかったので収集癖疑惑が出て、そして、案の定そうだったと。
「だけど、私には勝てないね!」
「いや、張り合ってないですけど」
「君、無機物君みたいだね」
「そう、ですかねぇ?」
「うん、とても!」
その、積極的に突っ込みに回る感じとか!
「いや、放火魔先輩は入部当日なにしたんですか」
「私?私はねぇ……それなりにする囲碁の碁盤を全部燃やしたよ!」
「oh……」
「いや、燃えやすそうだったから……つい!」
「ついじゃ済まないですよ⁉︎その後どうなったんですか……?」
「部長と副部長と後何故か無機物君が泣いてたよ……そいえば、無機物君が突っ込むようになったのってあれからか」
「聞きたかったのはそうゆう事じゃないんだなぁ……まぁいいや。……無機物さんの泣き顔……フヘへ」
「収集癖ちゃん?どした〜〜?」
「ん?……あっはいなんでしょう!つい自分の世界に!」
「なに?収集癖ちゃんは無機物君が……好きなの?」
「いや、いやいやいやいや!まさか、いやまさかそんなこと!入部したばっかですよ?あり得ないですって!」
お?これは……!もしや気があるのか?まあ無機物君イケメンっていやイケメンだし、フェチ抜けば優しいしね。
「だよね〜〜。あんな無機物フェチなんて好きになる訳無いよね〜〜」
ちょっと餌を泳がせてみる。
「……それは言いすぎかと」
キターーーーーー‼︎
HIT‼︎HIT‼︎
「ん?なんで?これは事実だよ?」
「ん……まあ。確かにそうかも……しれませんが」
あ、この子……かわいい!よく見ればかなり……コレはもしや無機物君どストレートあり得るのでは?
いや、あいつ無機物以外興味ないからねぇ。
でも、私は頑張る!
無機物君とくっ付けて、新感覚おもちゃの完成……‼︎
「放火魔先輩……顔が悪い顔してますよ」
「うふふ、収集癖ちゃん。私のことは放火様って呼んでいいよ?」
「何故様付けなんだ……?放火ばかりしてる神様みたいな感じする……」
「おっそうだね!じゃあ、放火しに行こうか!」
「いやなんでそうなった⁉︎って力強っ⁉︎痛い痛い痛い痛い痛い痛い‼︎」
「イェーイ‼︎ゴーゴーゴー‼︎」
こうやって無理やり連れてけばきっと収集癖ちゃんは助けを求める。そしてそれに反応して心優しき無機物フェチが来て……フヒョォォォォオ‼︎
「なんで……お話してたら……こうなった?……誰かお助けぇぇぇぇぇ‼︎」
予想通り!いいぞ無機物ちゃん!もっとやれ!もっともっとって……
「あれわっ!」
収集癖さんの叫びに反応し助けに行った無機物先輩が、
放火魔先輩が我慢できなくて放火した放火現場に鉢合わせし、警察官に職質されたのは別のお話である。