放火魔先輩
「ヤベー奴?嫌、そりゃないでしょうよ。あんな、あんなかわいい人が⁉︎嘘はホモの始まりですよ⁉︎」
「まぁ、あんなかわいい顔してるが…いや、嘘はホモの始まりって。全国の嘘吐きに謝れ」
「人外娘先輩、ホモの方々にも失礼ですよ…」
「お、おう。そうだな、無機物」
「でも!俺は認めませんよ!彼女がヤベー奴とか悲しいじゃないですか!初ですよ?初彼なんすよ⁉︎」
「……うん。でもヤベー奴ってのは拭いきれない事実だし……」
「後輩君よ……この部活に所属している時点で察するべきなんだよ……」
「あっ……」
その時
「おっ久しぶりぃ〜〜!んぉ?あ!彼氏君じゃん!」すりすり
「あっ、先輩〜〜!」デレデレ
「先輩じゃなぁ〜い!か・の・じょでしょ?」ギュッ
「アハハァ!そうだね!彼女さんっ!」アヘアヘ
「「ちっ…リア充が……」」
俺と無機物が顔を見合わせ、爆散しろい!とゆう心情を2人とも持っている事を確認する。
本当、これだからリア充は……あれ?
「なぁ、無機物焦げ臭くね?」
「えぇ、もう嫌な予感がしますよ……」
「あぁ!うんそうそう!そこにね、燃えやすそうなダンボールがあったからね!」
「もうおまえが言う事は分かってる…だが」
おもむろに俺は消火器を持つ。
「せめて…後輩君。彼氏の夢を壊さないであg「燃やしちゃった☆」テヘッ☆
「へぇ〜〜はぁ〜〜ふ〜〜ん……え”っ⁉︎」
「「おぃぃ……」」
俺は、そこに当たり前のように燃えるダンボールを消火器で消し、無機物はいつものことですよと窓を開けた。
後輩は……触れないであげておこう。
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この女は通称「放火魔」呼ばれている。俺の後輩であり、無機物と同期、大学二年生だ。彼女は朝でも昼でも夜でも町を徘徊し、本能に任せ放火する。
こいつのおかげで放火の多い町ランキングぶっちぎりの一位だ。
だがこいつは未だ捕まっていない。なぜか?それは、
「まさかこんなかわいい子が放火する訳ないない!」
とゆう謎の固定観念によるもの。大体、人生に疲れた人がやってそうだけど。
警察仕事しろ。
俺達が、こいつが放火魔だと知っているのは、さっき起こった通り、日常茶飯事部室の中の何かを燃やしてるからで……余談だが、こいつからみんなの部員の呼び方が性癖なったのだ。無機物が伝説なら、こいつは歩く混沌だ。
「で……だが…」
「ヒイャァァァァァァ⁉︎助けて?助けてぇぇぇぇぇぇ!」
「無機物燃やすな馬鹿者!無機物が燃えるとか矛盾の極みだろ!」
「そこぉ⁉︎いや俺人間!無機物はあだ名!俺自体は有機物だぁぁぁぁぁ!」
「「よくツッコめるな(ね)」」
「いや燃やしてる張本人もハモるなや!はよ消せ!はよ助けろぉぉぉぉおお!」
「あっはい」
と俺は燃える無機物が助けを求めているので消火器を発射した。放火魔はとっさに後ろに下がる。
「ぶぶぶぶぶぶ!……ヴォホッ、ヴォホッ!……いや、まぁ助かりました」
「まぁ無機物……シャワー借りてこい」
「はい…お言葉に甘えます……」
と、無機物は出て行った。大体、人が燃やされる時は無機物が狙われるので俺は大体無機物の消火にあたっている。
ここだけの話、無機物は水泳部のマスコットキャラ的存在になり始めている。
顔面偏差値は多分平均以上だし……無機物フェチを除けば……ね?
「で、この部屋に取り残されたのは…」
俺と、チャッカマンと携帯用灯油を眺めながらほわほわしてる放火魔と……
「いつまでトゥリップしてんだ……後輩」
目の前で同じムッチ好きの先輩が燃やされてるが、それでも放心し続けるていた、後輩だ。
「じ、人外娘先輩……俺、人の形が保てません…」
「保て!頑張れ!あぁっ……本当にドロドロに……いいなぁ…」
いやいやいや、待て俺!人外ぽいっからって!溶けた後輩だぜ?娘じゃない!そう理性を保て……俺ぇ俺ぇ。
「あれ?彼氏君、どうしたの?ドロドロになっちゃって」
「ッハ!……多分…いや、九割九分九厘おまえのせいだよ……せめて後輩をなでなでしてやってくれ……」
放火魔がなでなでするとみるみるうちに後輩は復活する。リア充って……凄い。
「……いや…人外娘先輩…これは悪い夢ですよね…ね?」
「残念だが…後輩これは夢じゃn「ガラガラッ‼︎」
セリフの途中て邪魔が入る。もちろん無機物だ。あいつ…俺、いいこと言おうとしてたのに……。
だが、無機物の様子がおかしい。
「……後輩君…悲報だ…」
「よりによって……」
今かよ……分かるぞ。分かるぞ後輩。これ以上どん底には突き落とされたくないよな……。
「無機物の人でなし!」
「人外娘先輩俺なんかしました⁉︎」
「いいや……」
ヴォホッン、と無機物。案外真面目モードだな。流石次期部長候補に上がる訳だ。二年なのに。
「…後輩君…きみはどこに住んでる?」
「どこって……先輩前来た……まさかおいぃぃぃぃぃ⁉︎」
後輩が窓を開け、家のある方向を見る…すると……
ばちばち燃えてる。こっからでも分かるくらい燃えてる。
「嘘っ、だろ?嘘って言ってくれ彼女ぉぉぉおお!」
がっくりと崩れ落ち必死で放火魔に質問する後輩。うわぁ…見てて苦しい。
「あぁ、雷丸荘だっけ?なんか燃えやすそうな部屋があったから、つい……ね?」
後輩君の家は……雷丸荘です、はい。
「だから『つい』は無機物だけでいいって…」
「だからなんで⁉︎」
なんだろう……このいつもの流れ……。落ち着くわぁ〜〜。
「あのゴミ屋敷ジジイがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
落ち着かない人が1人。だがあくまでも、責めるのは放火魔じゃなくてゴミ屋敷ジジイ。菩薩かな?こいつは。
だけど…
「なぁ、後輩。言った通り……ヤベー奴だったろだから……別れ「断固拒否します(食い気味)」
「「マジかよ⁉︎」」
俺と無機物がハモる。
絶対にこいつと付き合っていいことなんてないと思う。
放火デートに付き合わされて捕まるくらいか。
放火魔は後輩に「えへへ❤️」すりすり。
後輩の方は複雑そうな顔をしているが……うん、デレデレしてるのには違いない。
「なぁ、無機物」
「言わんでください、人外娘先輩……」
「あぁなんか……」
「「虚しいなぁ」」
リア充って凄い。とも思った2人だった。