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 王国歴千八年春の終月第四週風の日

 今日もいつもの朝ご飯。その後には赤い竜と、少し小さな水色の竜が一緒に飛んでいくのが見れた。あの竜のことは知ってる、竜の中で一番偉い古竜様だ!いつもは竜の里にいて何かあった時にはドラグニールの王城に飛んで来たりする。三年前に王女様が重いご病気になった時、治しにやってきてくれたのを見上げてたっけ。今度は何があったんだろうって思ったけど、外掃除をしてたら街の人たちがおしゃべりしててすぐにわかったの。

 王様に新しい子供が産まれたんだって、それも王子様!今までずっと王女様ばかりだったから街中が浮かれてるみたいだった。

 でも、アリーお姉さんはちょっと残念そうだったの。だって、街の衛兵さんが忙しくなっちゃってあんまり長い間は一緒にいられなかったから。

 でもね、私聞いちゃった。次の竜の日に一緒にお出かけするんだって!

「あれはとうとう覚悟決めたな〜」ってトーイが言ったらアリーお姉さんは顔を真っ赤にしてた。

 覚悟決めたがわからなくて後でこっそりトーイに聞いたら、結婚を申し込むつもりなんじゃないかって!そうしたらアリーお姉さんも居なくなっちゃう!!寂しいけどアリーお姉さんが嬉しいなら我慢しなくちゃね。


 年長組に仕事が残ってる時は年少組を寝かしつけるのは私達の役目。

 一番いいのは創世記を読んであげることだ。覚えてる子は退屈だし、覚えてない子は書き写しがしやすくなるから。

 私もすっかり覚えちゃってるからベッドの間で両側の子達にお話ししてあげたんだけど、なぜかいっつも寝てくれないの。今日も途中でオランが変わってくれたから良かったけどずうっと続きを聞きたがるから私の方が眠くなっちゃった。

 年中組でも下の子達がその後で他のお話を聞きたがったから、今日は古竜にしたの。

 あのね、始めの古竜は暴虐竜で、始祖竜が滅ぼしたって神官様は言ってたけど、私は違うと思うんだ。だって、世界中に火山を噴火させて焼き尽くしたって言うけど火は暖かくて夜に道を照らしてくれるもの。お日様が隠れても道に迷わないようにって。

 だから勝手に火の古竜について考えた話をした。思い込みの激しいおっちょこちょいな焔竜。最後はやっぱり死んでしまうんだけど、創世記とはちょっと違って始祖竜に滅ぼされたんじゃなくて、不安定な地面の底を抑えるために世界で一番大きな火山に溶け込んだことにしておいた。

 あ、年長組が戻ってきたからもう寝なくちゃ。また明日ね。

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