3
何でって言葉、私もよく使ってるけど言われる方になると疲れちゃう。
「何で竜の日は月に一度なの?」ってそんなのわからないよ。
五つになったばかりのシエルは何で何でって、多分知りたいこともそうでないことも全部とりあえず言ってるんだよ。
お姉さんたちに聞いてきてって言ったら私がいじめるって言いつけるんだから!もう、あんな子嫌い!!
ヒィが私は悪くないって言ってくれてよかった。
この孤児院の中で一番、は院長先生だし、二番!はアリーお姉さんだし、三ば……うーん、八番目くらいにヒィが好き!
昨日が竜の日だったから今日のご飯はいつもより美味しいものがたくさん並ぶの。ヒィはチーズが好きだからもしあったら少しあげちゃおう。
あ、洗濯物を取り込む時間だ。残りは晩御飯の後で書くね。
嬉しいお知らせがあるって院長先生が言って、ローラの肩を抱いて皆の前に立ったの。
お父さんとお母さんが出来るんだって。昨日、ローラと一緒に長い間お話ししてた人たち。半年前から竜の日には必ず顔を出して、皆も顔なじみになって、特にローラと仲がよかった。
そっか、あの人たちなら良かったね。
来月の一番初めの風の日に迎えに来るって、それまでに何か渡せるものを考えよう。
私はおめでとうって言ってギュッと抱きしめた。私と同い年のローラは六歳になるまでは同じベッドで隣同士寝ていた。ローラは嬉しい様な寂しい様な、難しい顔をしてうつむいてたから、私は「こらっ!」ってほっぺを引っ張った。
「おめでとう、なんだよ?この街の人なんだからいつでも遊びに来れるでしょう?寂しいことは無いんだから、嬉しいことだけなんだから!」
そう言ったらローラは泣きながら笑った。
「うん、絶対に来るから。来たら私と遊んでくれる?」
皆は呆れた顔をして口々に応えた。
「あったりまえだろ?」
ってヒィが、
「来なかったらこっちから行っちゃうわよ!」
ってアリーお姉さん、
「北地区ならトット兄ちゃんが住んでるからついでに押しかけようぜ!」
一番年上のラインお兄さんがこんなことを言ってあっという間に遊びに行く計画が出来上がった。
何だかローラがいなくなっちゃうというより遊びに行く先が一つ増えた感じになって、皆嬉しそうだった。
あ、後、チーズはなかったけれどハムがあったから一枚をローラに、もう一枚をヒィにあげたの。
今日はなかなか眠れそうに無いかも、じゃあ、また明日。