17
春の終月第六週水の日
今日は、とっても、忙しかったの。
アーチお姉さんの作ったタルトの匂いで気づかれないようにってみんなで孤児院中の窓を開けて大きな葉っぱを持ってあおいで回ったり、年長組が採ってきてくれたお花が萎れないように桶という桶を引っ張り出して井戸から水を汲んだり、年少組がおじゃましないように見張ったり、
さっきまでは味付けのし終えたオオキバオニネズミを木の板に乗せて火を落としたばかりのかまどに入れるのを手伝ってた。
これで中までゆっくり火を通して、明日表面をこんがり焼くんだって。
匂いがなるべくしないようにってラインお兄さんが町のご飯屋さんで聞いてきた焼き方なの。
その時にね、ラインお兄さんは孤児院をでたら店で働かないかって言われたのよ。
前からそこのお店のおじさんにお料理のこと聞いてたみたい。
他にも、ローラへのお手紙書いて、年少組が寝た後に食堂の隣の大きな部屋を綺麗にして、朝のご飯の準備もちょっとお手伝いして、途中で起きちゃった年少組の子達にお話しして、ようやくぜーんぶ終わってあなたを開いたの。
明日はお日様がてっぺんに来るまでに片付けた大部屋で準備をして、お昼から夜までがお別れ会。
ローラは小さい子と一緒にお店へお使いに行かせるからその間に全部済まさないとね。
あ、コッコさんが一羽卵を温め始めたの。他の子の卵もみんなお腹の下に入れて卵があふれそうになって困ってた。
でもね、とっても大事そうに温めてるの。
少しでもお腹の下からはみ出た卵があると、くちばしでそうっと優しく押し込めるのよ。そうすると他の卵が押し出されちゃうからそれの繰り返しをずうっとやってる。優しい声でととと、とととって鳴きながら温めてるのをずっと見ていたかったけど、今日は忙しかったから。
明日 は はや く お き……
(次第に文字の大きさ、形が崩れ判読不能。隅にはシミのような跡がある)




