表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パネ子ちゃんの憂鬱  作者: 鬼影スパナ
廃村宣言
14/50

第10話 エルフの村にて

 エルフの村についた私たちですが、ここの村の人が見知らぬよその勇者を出迎えてくれる訳もなく。

 とりあえず酒場に向かいます。

 酒場や交易所では旅人向けの宿があるからです。

 施設のレベルにもよりますが、大抵は酒場のほうが上級です。

 このエルフ村は結構規模が大きく、交易所も酒場もそれなりのレベルがありました。


「パネちゃん、お代がもったいないから一部屋にしましょうね」

「お代がもったいないなら、交易所なら二部屋とれそうですよ?」

「さ、酒場じゃないと荷物預かってもらえないと思うわ!それに調理場も借りたいもの!」

「ああ、なるほど。さすがシャロさんですね~」


 やっぱりシャロさんのおやつやお弁当があるとないではやる気がずーんと違いますからね。

 一応勇者だからごはんが無くても平気ではありますけど。


「あ、でも交易所で一部屋のほうがいいかも?」


 と、シャロさんがぽつりと呟きました。


「倹約家ですねぇ。でも今回は酒場にしましょう。こんなに遠出するのは初めてですし、せっかくのシャロさんとの旅行だもん」

「それはとても素晴らしい考えよ。そうね、初めては大事だもの」


 シャロさんも喜んでくれているようでなによりです。

 というわけで、酒場につきました。

 酒場はボヤージュにトレジャーハンター、そのほか旅人で賑わっていました。

 ううむ、うちの村もこのくらい賑わうような酒場だったらいいのに……

 まぁ、廃村にしようって村に好んでくる物好きがそれほど多いわけないですよね。レベルも低いし。


「マスター、旅人二人、一部屋一泊できる? できれば防音がしっかりしてる部屋で」

「へいまいど。一部屋で二人で防音の部屋となるとベッドは一つしか無いけどいいかね?」


 と、エルフのマスターが応えました。


「し、しかたないわね。その部屋がいいわ」

「別に防音じゃなくてもいいんじゃないですか?」

「私、普段寝るとき静かだから静かにしておかないと眠れないのよ。ごめんね?いいかしら」


 初耳ですが、そういえばシャロさんの村は廃村。となれば静かなので自然のはず。

 まぁ、そうことなら仕方ないですね。


「じゃ、それでお願いします」

「あいよっ。それじゃこれ、鍵ね。階段上がって一番奥の部屋だから」


 マスターから鍵を受け取り、部屋へ向かいます。

 階段を上がって一番奥の部屋。鍵を開けて、はいります。

 窓はひとつで、ベッドはそれなりに大きいものが一つ、それとイスとテーブルに、簡易ながらシャワー室までありました。


「流石、結構いい部屋ね」

「ベッドも大きいし、これなら二人で寝れそうですねー」

「……そうね」


 あれ、シャロさんがもじもじしています。


「恥ずかしいなら私が床で寝ますよ?」

「いやっ、そうじゃなくてっ、一緒に寝ましょうっ」

「そうですねー、今日は村を見学して回るにももう遅いし、明日も歩きますし、しっかり休みましょう」


 ぽふん、と私はベッドに腰掛けます。


「……」


 何もいわずにシャロさんもぽふっと横に座ります。


「あ、そうだ。先にシャワー浴びますか?」

「えっと……じゃぁ、お言葉に甘えて私が先にいただこうかしら」


 そういって、シャロさんはそそくさと簡易シャワー室へ行きました。

 私は、ベッドに横になって待ちます。

 さらにぽふぽふごろごろと、うちの村では滅多にないくらいのふかふかさの上質ベッドを堪能します。


「……うん、いいベッドですねぇ。ふかふかで、お日様のにおいがして」


 なんかここまで歩いてきた疲れがどっと出てきました。

 まぶたが重いです。


「シャロさん、まだかなー……?」


 んー、私もシャワーを浴びてから寝たかったのですが、どうやら睡魔にこれ以上抵抗できそうもありません。

 なるほど、確かに防音の部屋は静かでよく眠れそうです。

 シャロさんも、シャワーから出てきたらまぁ起こしてくれますよね。

 と、そう思ったとたんに私の意識は眠りに落ちていきました。


 目が覚めたら、となりにシャロさんが寝ていました。


「……ん、あれ……?」


 目を動かして窓の外を見るともう明るくなっています。どうやら、朝までぐっすり寝てしまったようです。


「あ、パネちゃん。おきた?」


 と、シャロさんも起きてたみたいですね。


「起こそうかと思ったんだけど、というか起こそうとしたんだけど起きなかったし、ものすごく気持ちよさそうに寝てたからそのまま一緒に寝ちゃったわ」

「あー……そうでしたかー、ごめんなさい」

「……寝顔、とても可愛かったわよ?」


 そう言ってクスッと微笑むシャロさん。可愛かったとしても寝顔見られてたのはちょっと恥ずかしいです。


「はぅー……シャワー浴びてきますね~」


 私がベッドから出てシャワーを浴び、戻ってくるとシャロさんはすやすやと寝息を立てていました。

 ……

 もしかして、私のいびきがうるさくて眠れなかった、とかでしょうか?

 私は、シャロさんをそのまま寝かせてあげることにしました。

 ついでにおまけにシャロさんの寝顔を覗いてみましょう。

 ……うん、シャロさんの寝顔、非の打ち所がない程度に可愛いですね。

 一方きっと私はよだれやらいびきやらで散々だったに違いないですっ。

 うーん、今度から気をつけましょう。どう気をつければいいのかわかりませんが。



 とりあえず、シャロさんが起きて支度を整えるまでを考えたら出発はお昼ごろになるでしょう。その間、私は村を見学することにしました。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ