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パネ子ちゃんの憂鬱  作者: 鬼影スパナ
廃村宣言
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第9話 散策道中


 私たちは平地のなだらかな道を歩いています。

 基本的に、最短距離の中で歩きやすい場所を選んで移動するのが散策のセオリーです。なので、最短距離に平地でいけるルートがあればそのルートで移動します。


 それにしても、散策なんていつ以来でしょうか。

 うん、たしか保護期間あけてからはほとんどずっと闘技場にいってて、散策は兵士さん任せになってました。

 それ以前、つまり保護期間中は散策に忙しかったですけれど。

 久しぶりの散策なわけです。


 しかも、行き先はいままで二本の木がある平地だけ。そこが一番エレメントが取れるからという理由らしいのですが、他のところにも行ってみたかったのです。

 なので、湖畔に行くのはとてもうきうきしてます。初めての湖畔です。

 それに、今回はシャロさんも一緒なのです。


「はぁ、はぁ……ぱ、パネちゃん、ちょっと待って……」

「っと、大丈夫ですかシャロさん」

「……さ、散策って……結構大変なのね」


 そういえばシャロさんは散策に行ったことがなく、初めての散策だったのです。


「んー。ちょっとペース速かったですね、そろそろ休みましょうか」


 戦闘不能状態のシャロさんは本来そもそも散策にいくことはできません。

 そこを無理してさらによその村の散策についていってるんだから、疲労も多いのでしょう。


「ふー……」


 おやつのアップルパイが入ったバスケットをおいて、シャロさんは座り込みました。


「お茶の用意するわね」


 ティーセットを出して、あっというまに休憩空間のできあがりです。


「ティーセット、もってきちゃったんですか。重いでしょうに」

「……勇者だもの、これくらい平気よ?」


 目をそらしつつ、アップルパイを切り分けるシャロさん。

 まぁ急ぐ旅でもないですし、のんびりいきましょう。


「それに、おやつはこれしか用意してないし。プレイヤーさんも途中の村で預かってもらって帰りにとりにいけばそれほど荷物にはならないから大丈夫だって言ってくれたもの」

「なるほど、プレイヤーさんもたまにはいいこと考え付きますねー」


 私は、アップルパイを口に運びます。

 リンゴの風味がじんわり口の中に広がり、疲れをとろけさせてしまうようです。


「ん~、美味しい。冷めても美味しいなんてさすがシャロさんです」

「出来立ても美味しいけど、冷めても美味しいのがアップルパイよ」

「いえいえ、これはもうなんというか……交易所で取引されるレベルですよー♪」

「パネちゃんにそこまで言って貰えるなんて……嬉しいわ」


 シャロさんは手をほほにあてて、恥ずかしそうに微笑みました。

 最近、シャロさんの仕草が素敵になってきた気がします。

 女として磨きがかかっているとでも言うのでしょうか。私も見習いたいところです。

 今度、お料理を教えてもらいましょう。


「さて、それじゃアップルパイも食べたし、そろそろ行きますかー」

「ええ。行きましょう。…えーっと、このまま歩いていけば、夕方には中間地点の村に着くみたいね」

「はいっ、それでは、暗くなる前に行って宿を探しましょうっ」


 というわけで、私たちは中間地点にある村に向かいます。

 そこで一泊して、目的地を目指すのです。


「あ、荷物は私がもってきますよ」

「そう?……嬉しいわ♪ ありがとう、パネちゃん」


 うん、やっぱり最近のシャロさんは笑顔が素敵ですね。



 そして空が赤くなり、日が大山岳の影に隠れるころ私たちはエルフの村に到着しました。



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