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パネ子ちゃんの憂鬱  作者: 鬼影スパナ
廃村宣言

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第7話 宝物

 そういえば、うちの村にもちゃんと酒場があります。

 酒場といえばお酒なわけですが、プレイヤーさんがパネ子は大人に見えないからお酒飲んじゃだめ、だそうです。いやいいんですよ? 別に飲みたいわけでもありませんし。少し興味はありますが。

 かといってプレイヤーさんがお酒を飲んでいるところを見たこともありません。

 酒場を作った理由は、他にあるようです。

 主にこの酒場を利用しているのはうちの村の兵士と、通りすがりの旅人さん、

 そして、トレジャーハンターさんです。

(それとプレイヤーさん曰く、たまーにオフィサーという秘境の管理をしてくれる人が来るらしいのですが、まだ見たことはありません)

 あ、ちょうどお酒飲んでますね。


「っぷはぁー! この一杯のために人生生きてるー」

「いったいそれ何杯目の人生ですか?」

「今日のところは10杯目かなー? あははは」


 トレジャーハンターさんは、お宝探しを生業としている人です。

 お酒が好きで、酒場のある村でないと来てくれないそうです。

 プレイヤーさんはトレハン先生と呼びます。なんで先生なのかを聞くと、虚弱体質のくせに宝探しをする有名な探検家にちなんで先生をつけているとのこと。よくわかりません。

 しかしトレハン先生の主な仕事は、別にあります。

 お宝探しは実は趣味であり、メインは資源の交換といわれています。

 そう。それこそがプレイヤーさんが酒場を建てた理由でもあるようです。


「先生ー、ちょっと肉があまり気味なので、他の資源に換えてきてもらってもいいですか?」

「えぇー。しかたないなぁ。何個を何時間?」

「肉6000個を22時間でお願いしますー」

「肉だけだと交渉しづらいんだけど……しょうがないなぁ。じゃ、いってくる。期待しないでね」


 しかし、22時間もあるとトレハン先生ならなんとかしてくれます。


「あ、それとすみません、個人的なお願いなんですがー……」


 私はへそくりのエレメントを渡して、トレハン先生にあるものを探してきてほしいと頼みました。


「うーん? そんなの手に入るかなぁ」

「えへへすみません。交易所では取り扱ってないみたいでー」

「んー、わかった。それも期待しないでね」



 そして翌日。私はシャロさんのところに遊びに行きました。

 手にはトレハン先生の見つけてくれたあるものを持って。

 期待しないでねといいつつも、結構期待にこたえてくれる、それがトレハン先生なのです。すばらしい。


「今日はアップルパイを作ってみたの」

「えへへー、今日は私もシャロさんにプレゼントがあるんですよー」


 私は、シャロさんに小箱を渡しました。


「あら。何かしら?」

「あけてみてください♪」


 シャロさんが箱を開けるところを、ついついじーっと見つめてしまいます。

 どういう反応をするのか楽しみです。 喜んでくれるでしょうか? どきどきです。


「これは……ブローチ……?」

「はいっ! トレハン先生にお願いして探してもらっちゃいました♪」


 プレゼントは、青い石で作られた蝶のブローチです。

 ちょうちょ好きなシャロさんに、とてもとてもよく似合うに違いありません!


「いつも美味しいお茶をご馳走になってるお礼にと思ってー……って、シャロさん?」

「…………」


 あれ、あまり反応がないですね。もっとこう、にっこり喜んでくれるかなと思ってたのですが。

 シャロさんは、ブローチを見てぴたっと止まっていました。


「ひょっとして……気に入りませんでしたか?」

「……私、こんないいものもらっちゃったら、どうしたらいいのか分からないわ……」


 よく見ると、頬がほんのり赤くなっていました。

 うれしさのあまりオーバーヒートしてるってやつなんでしょうか。


「えーっと、とりあえず付けてみてください♪」

「わかったわ。……き、緊張するわね」


 落とさないように慎重に、ブローチをつけるシャロさん。

 そして、胸元に、青い蝶がとまりました。


「すごく似合います! 思ったとおりですっ」

「……そ、そう? 凄くうれしいわ」


 シャロさんがにこ、と微笑みます。


「えへへ、喜んでくれて私も嬉しいです♪」


 私もにこっと笑顔で返しました。


「……た、大変。嬉しすぎて頬が下がらないわ。どうしましょう」

「かわいいからいいと思います!」


 その日、私が帰るまでシャロさんはずーっと笑顔でした。


「……そういえば、蝶のアクセサリーとかって羽が開いてるものが多いらしいけど、

 ……どこかにとまったときに羽が開いてるのは蛾なのよね」

「えっ!? じゃぁそのブローチ、蛾でしたか!?」

「蛾でも家宝にするから大丈夫よ」


 シャロさんは、嬉しそうに胸元のブローチをなでていました。



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