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第二章 サイボーグ娘覚醒 15

「ひかり、あんた無事だったの!」

 朝学校の校門前で敬子に会うなり、この第一声を浴びせられた。

 きのうはあれから大変だった。家に帰ると警察がいて、誘拐されたのではとしつこく質問されるわ、親には泣かれるわで弁明が大変だった。

 まあ、こっちは被害者のわけだから、本来ごまかす必要もないのだけど、誘拐されたとなれば、どうやって逃げ出したかという話になる。まさか中から車をぶちこわして逃げたとはいえない。それに親にこれ以上心配をかけたくはなかった。

 だからつい喫茶店でナンパされ、車に乗ったはいいけど、事故ったので、逃げ出したといっておいた。

 親はいちおう納得して、心配かけるなとしかっただけで終わったけど、警察はいまいち信用していないようだった。

 で、朝学校へ来るとこれである。

 そういえば、警察は敬子から110番通報を受けたといっていた。

「なんでもないって。警察にもいったけど、ちょっとナンパについていったら交通事故にあっちゃって……、まあ、体はなんともなかったんだけど」

 敬子は無言で疑惑のまなざしを向ける。

 ちょっといやな予感がした。だいたい敬子なら、ナンパについていったなんていった時点でマシンガンのようなつっこみが入ってもおかしくない。

「ねえ、ひかり、あんたあたしになんか隠してない?」

「な、なにを?」

「なんか得体の知れないこと」

「なによ、変な敬子」

「変なのはあんたよ、ひかり」

 ぎくっ。

「とにかくすっごい心配したんだからね」

「ごめん、ほんとごめん」

「あんたが車に連れ込まれるところ見たんだから。とてもナンパには見えなかったよ」

「ごめん。心配ないから」

「……もういい」

 ふうとため息をつくと、敬子は先に校門をくぐった。

 ひかりはあとに続くが、敬子は納得した様子ではなかった。

 あれ? そもそもどうして敬子は、きのうあの現場を目撃したんだろう?

 今はじめてその疑問にぶち当たった。偶然にしてはできすぎだ。

 跡をつけてきたとしか思えない。

 なんで?

 敬子はあたしに不信感を抱いている。なにか秘密をかかえていることがばれている。

 もともと好奇心旺盛な上、行動力抜群の子だ。それに親友としてあたしのことを心配してもいるんだろう。

 となると、今後もいろいろ探ってくる可能性が高い。

 気をつけなくっちゃ。

 もし、サイボーグだなんてばれれば、今の生活は続けられなくなる。

 敬子には悪いけど、この秘密は誰にも知られるわけにはいかない。

 そう、誰にも……。

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