第3章 繋がった悪夢と定
「んー。いい空気」
舞歌は大きく息を吸う。朱子はとても不満そう。
「今は…ありがと、六時四十七分」
「もうそんな時間。早いわね」
「ん?誰かがこっちに来る?」
確かに歩く音がする。だんだん大きくなっているのできっとこっちに来ているのだろう。
「……あなたなのね、華扇」
「その通りです。私は茨木華扇。山の仙人」
そして舞歌を睨みながら近ずいてくる。
「あなた、畑の妖怪と同じ姿ですが、気配が違いますね。外の世界の者ですか?それなら今すぐスキマ妖怪に頼んで帰りなさい」
とても長い間が空く。舞歌と華扇は睨み合う。
「嫌、というより無理ね」
「どうしてでしょうか」
「紫が私を幻想入りさせたもの。私は役目を果たさないといけない。これから起きる異変を私の手で終わらせる。それが私の役目」
華扇がため息を吐く。
「またあのスキマ妖怪ですか。いい加減にして欲しいですね。この間もですし」
「この間?」
疑問に思う言葉。誰もが思うだろう。
「どういうこと?朱子」
舞歌は朱子に問う。
「私も、数週間地底に居たから分かんないよ」
首を振る。
「そう。その子の名前は?」
「文霊架依です」
「っ⁉︎」
舞歌が一歩後ずさる。顔も驚いている。
「?どうかしましたか?」
「架依…どこ?」
「博麗神社です」
(お、落ち着いて、架依が本当に居たとしても…まずは)
舞歌は思う。架依は舞歌の幼馴染。いる訳がない。
「………朱子、今すぐ家に案内して、泊まるわ」
「確かに眠いしね。寝よう。こっち」
朱子が自宅に案内する。
魔法の森。人里に一番近い。というよりすぐそこに出口がある。
「おやすみ」
「おやすみ」
朱子が先に寝て、舞歌が次に寝る。
タッタッタッタ。
走る、走る。朱子はこの現実から逃れようと、走る。
(な、なんで……!)
朱子は後ろを振り返る。後ろには気持ち悪い怪物、怪獣が追ってきている。博麗大結界は壊されマスコミ達が押し寄せている。
「ねえ朱子?ここはもう無かったことにするのよ」
舞歌の声がする。
「⁉︎」
驚きが隠しきれない。涙も出てきている。
「全てはクトゥルフの元に」
前から眩しい光がする。
「なに!」
叫ぶ。
前を見ると舞歌が居た。
(殺される!)
目を瞑り震える。だがなにもしてこない。
「朱子!」
舞歌が声をかける。その声でなぜか落ち着く。
そして誰かが来る。それを見た朱子は絶望した。
「狂羅!」
「あなたが破月狂羅」
その眼はこの世の人物の色とは思えない色をしている。
「朱子。舞歌」
眼の色が輝いてくる。普通の人と同じ色になる。
「これから大事な話をする」
「う、うん」
なぜか信じられる。なぜか。
「もうすぐ復活しちまうのはわかってるな?それで、僕を操っているのは破月不壊。殺人鬼だ。あいつは明峰蜩っていう奴を乗っ取ってから幻想郷を破壊する」
「蜩!」
明峰蜩。舞歌の幼馴染。なぜ蜩が…。
「んで、関わってくるのが魔界の奴と、魅魔って奴だな。それで一回舞歌は外の世界に戻らないといけない。それで…舞歌はーーーーーーーーーーーーーー」
そこで二人とも目が覚める。
「……」
二人ともその夢の内容を覚えている。
「…ええ、起こすつもりだったわよ」
「え……なんで………」
狂羅は予言を言っていた。
次回
第4章 禁じられた再開