第1章 幻想入りと仲間たち
「あ………つい」
熱い、熱い、体が熱い。
「あら、やっと起きたわね」
だれかの声。
「その声は…八雲紫」
「そう、よくわかったわね。峰一舞歌」
「そちらもご存知のようで」
立ち直り紫と目を向き合う。
「ここはご存知の通りスキマの中。どうしてかしらね」
「しらばっくれても無駄よ」
ニヤリとしていた紫がまた真剣な顔に戻る。
「そうそう、あなたには少しの間幽香の姿で生きてもらうわ」
「……幻想入り、ということね」
「そう、それに今は異変の真っ最中。あなたにはまず地底に行ってもらうわ。それにこの幻想郷はあなたの知っている幻想郷ではないのよ」
「ならなんで私が選ばれたのかしら」
「それは自分がよくわかっているでしょう?」
「ええ、よおくね」
「それではまた会いましょう
運命という定めとともに」
紫が最後に言った言葉はよく知っている。舞歌もよく使うのだから。
「地底…旧都ね」
「誰だ」
突然赤い皿を持ったーーーーー勇儀が現れる。
「あら、勇儀じゃない」
「幽香じゃないか。でも気配が違うな。別人か」
「そんなことよりも」
舞歌が砂をはらいどこかへ行こうとする。
「待て」
勇儀がいきなり殴ってくる。舞歌はそれを簡単に受け止めた。
「『マーシャルアーツ』」
スペルカードを宣言する。勇儀に殴りかかり勇儀は倒れる。
「おもしれえな、だが今はそんな場合じゃない。名前は?」
勇儀が立ち上がりながら言う。
「峰一舞歌よ、星熊勇儀」
「へえ、そこまで」
「水橋パルスィに黒谷ヤマメ、あとキスメは?」
「小那姫の神社だよ」
聞いたことのない名前だ
「小那姫?」
「祟小那姫、怨念幽霊怨念妖怪、ついでに丑の刻参りだってさ」
それは舞歌の好奇心を揺する
「おもしろそうね」
「全然だよ」
勇儀は飽きれる。
「私は見回りだ。またな」
勇儀がどこかへ行く。
舞歌は歩いてそれらしい神社へ行く。自分の記憶では神社は博麗神社と守矢神社だけ。
「祟小那姫」
そう呟くと神社らしいところに着く。
階段を上っていくと勇儀、水橋パルスィ、黒谷ヤマメ、キスメ、それに見知らぬ人が3人。全員真剣な顔をしている。
「んあ、舞歌か」
「あら、さっきぶりね、勇儀」
「そんなにゆっくりするあんたが!妬ましい!」
パルスィが大声を出す。
「……………あなたが祟小那姫ね」
「そうだよ。ここ、怨念神社をやってるな」
やけにあっさりと自己紹介する。
「それで、そっちの二人は?」
「九十九真楽」
「え?弁々と八橋の?」
「二人は親友、苗字が同じなだけ」
それを聞いて驚く。
「そっちは?」
「……………教えない」
「あら、冷たいわね」
勇儀が口を開ける。
「鈴菜朱子だ」
「朱子、ねえ」
「ちょ、勇儀!なんで言っちゃうの!」
「舞歌は信じられるだろう。ほら、言ってやれ」
「……うん」
ふう
次回
狂気の白と黒の似た者同士