表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第2章-ツペェア-
97/503

この世界において自分の設定


 荷馬車に乗り込んでから、約一週間ほど経った。

 約というのも、四日ぐらいしてから面倒になって数えなくなっただけである。

 その間に起きた出来事は主に、盗賊殲滅。

 それを二日に三回の頻度。

 つまり、十回ぐらい襲撃を受けている。



 初めて襲撃されたときは荷馬車の人とその奥さん? らしき人と息子さんが同乗しており、ド素人かなーと思っていれば、護衛だったようだった。

 中々に強いが、しかし盗賊が多すぎた。

 多勢に無勢で、荷馬車の人も剣を片手に参戦しても、足りない。

 負けて奥さんがヤられて、荷馬車の人と息子さん殺されて、追加で俺たちのところへ来られると面倒なので、エルリネにセシルの子守を任せて俺も参戦する。


 荷馬車の人と奥さんらしき人と、息子さんは「なんで来るんだよ!」と俺を追い立てるが、俺としては荷馬車の人らを助けにきたつもりだ。

 だから、言葉より先に行動に移す。


――『吸襲風吼(フロギストン・エアー)』最低駆動。

 盗賊どもの首の地点から右斜め後ろに現象が発生する設置点を作成。 

 作成後、即座に現象を発生させる。


砂鉄の剣(サンドストーム)」とは違った切断音が一様に響く。

 それは「砂鉄の剣」のようなズパンというような音ではなく、ブチィという繊維ものを無理矢理引き裂くような音だ。


 その音の数瞬後盗賊どもの首が全員千切れ、空高く跳んだ。 

 隠れている盗賊がいないか「探知(ソナー)」を使用するが、周辺にはいなかった。

「殲滅したので、馬車の中に帰ります」と一言言って戻った。

 そのときの荷馬車の人一家は呆然としていた。


 その日の夕食は「君強いねぇ」から始まり、最後には息子さんと友達になった。

 獣人族と人族を両親に持つようで、童顔の割にはなんと上級の護衛役でこの人を雇うだけで、三食付きの宿を三ヶ月分泊まれるだけのお金を支払うことになるという。

 いやあ、とんでもないですねぇ。

 ちなみに息子さんと称しているが、荷馬車の人たちに血縁関係はないようだ。


 キュリア家の護衛のために雇われただけなんだよとは、息子さんの弁。

 その割には顔つきが奥さんとそっくりである。

 ちなみに奥さんと荷馬車の人とは夫婦だそうだ。


 いやあ、いちいち見せつけるような仲の良さ。

 壁はどこでしょうか。

「はい、あーん」ってどこの異世界の恋愛ものだよ!

 ……あ、俺もセシルにやってもらってました。


 セシルが俺のことを上気したような赤くなった頬と潤む目で見てくるが、俺はやらない。

 ええい、セシルこっちを見るな。

 

 今後「リア充爆発しろ」系のネタはブーメランのように自分に帰ってくるようになったことに気付いた。

 それはそれで「寂しいことになるな」と思った。


 ちなみに我が一家のオチ担当である、エルリネさんは微笑ましいものを見るような目で荷馬車の人たちをみていた。


 エルリネさんは邪念がないようだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 そんなこんなで盗賊どもは全部俺が殺戮した。

 殺した数はそろそろ三桁に届くのではないだろうか。

 そういえば、あの村ではそろそろ刈入れ時だ。

 だが、俺が大地を魔力汚染させてしまった。

 

 そろそろ餓死させてしまう家庭もあるだろう。

 ……その人達も含めると、もう三桁行っている可能性がある。

 今更だが、俺の両手は真っ赤だ。

 いや、全身に返り血を浴びて血が落ちる前に新しい血を浴びているから、最早真っ黒だろう。


 浴びたくはない。

 だが、浴びないとやっていけないのもまた事実。

 俺の周りは最早死体だらけだ。

 生前では考えられない生活だ。

 平和に黒歴史ノートを描いていたときは、こんなことまで描いていなかった。


 ミリエトラル……。

 学園でその後の人生を左右する事件が起きて、真の力に目覚めたついでに改名する。

 改名後、学園で友人だった筈の主人公らと敵対し最後には死ぬ脇役。

 いろんな意味で主人公組とライバルだった。


 主人公はいわゆる貴族の転生者。

 対してミリエトラルは、一般家庭で育った。

 学園に入学してお互い初めての友達で「二人で魔王を倒して有名になろう!」という志のなかで、友情を育んでお互い切磋琢磨しあい、ある時は共に笑いある時は共に泣く。


 主人公はいわゆるご都合主義でひたすらハーレムを形成し、女性陣同士の仲がよく俺TUEEEEEして、国の騎士になって更に俺TUEEEEEするという主人公だった。


 対してミリエトラルは、描写しない内にいつの間にか主人公から離れて、最後には敵役になった。

 その際の描写が「人生を左右する事件」があり「改名した」という結果。

『十全の理』の力で主人公勢を圧倒する。

 その際にお互いの本音をぶつけ、人生を諦めたミリエトラルが主人公の剣にわざと刺さり死ぬというお涙頂戴のよくある展開、人によっては食傷気味の物語だった。


 だが現状、俺の歴史(ものがたり)に設定が反映されていない部分がある。

 姉がいたり、父親の立場が貴族級だったりとか。

 セシルもいるし、この物語にはいないはずのエルリネもいる。

 エルリネがいるということは、あの設定が間違いなく来る。


 ほぼ間違いなく、人生を左右する事件は起きると見ている。

 学園の中で何が起きるのか。

 あの村で起きたことがまた起きて、『魔王化』するのか。

 また、改名についてもどの場面でするかが分からない。

 だが、これが間違いなくトリガーになる。


 出来うる限り、低度な事件にさせたい。

 学園が襲われたとしても、どうにか対象除外させた「電磁衝撃(エレクトリックショッカー)」を当てるとかすれば、きっと『半魔王』をしているとは思われない筈だ。

 よし、とにかくそうしよう。


 学園に行ったら俺TUEEEE系ハーレム形成してしまう他に、この事件が起きる可能性があるから行きたくなかったが、どうやら現地に行ってしまった"作者(げんざい)"の思惑よりも、設定を施した"作者(せいぜん)"の方が強いようだ。

 まぁどっちも(さくしゃ)なんだけどな。


 さて、そんな思考ループをさせながら、身体は自然と朝昼夕と食事を摂り、名前が不明なので便宜上"息子さん"と剣の構え方などをレクチャーして貰いつつ、約一週間。


 ツペェアが見えてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ