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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第2章-旅立-
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いざ、ツペェアへ

今回も短いです。

 翌日の出発日前日も特に何事も無く、旅装で一日過ごした。

 但しイベントはなくとも、新しい発見はあった。

 それは、この世界に回復薬(ポーション)なるものがあったということだ。

 ステータスなるものがない異世界だ。

 回復薬なんてものも無いと思っていた。


 しかし、この世界にはあった。

 どのように回復するのかと期待していたが、荷馬車の人が言うことを要約すればただの回復魔法(ヒール)の力が魔力装填された水分だった。

 まあ、体内から回復魔法が掛かれば、さぞかし回復はするだろう。

 だが、なんだろうかこの肩透かし感。


 しかし、回復魔法を使う事が出来る人が一握りしかいない、ということを踏まえると、この回復薬は旅人や騎士団の必需品だろうなと思う。

 俺には属性回復魔法があるので、一見要らなさそうだが俺がいないときとか当然あるだろうから、おっさんから前報酬として貰った資金で購入しようとしたが、ただでくれた。

 曰く、こんなものを買うより今後贔屓してくれればいいようだ。

 つまり、高いものを買えということか。


 贔屓することを約束した上で、更に子ども用のバッグまでおまけでくれるという。

 わー欲しい! って、お前は『ジャパ○ットた○た』かよ。

 これもセットでって要は抱き合わせ商法……。


 ここまでされたら、「何かあったときは贔屓してやろう」と思ってしまう。

 一先ずお礼を言ったところで、荷馬車の人が俺とエルリネの実戦を見てみたいという。

 別に断る理由もないので、体感二時間ほど見せたら興奮していた。

 曰く、闘技場で見るような内容だったらしい。


 この世界にも闘技場なるものがあるのか。

 うん、絶対参加しない。

 参観はするだろうけど。


「明日は宜しくお願い致します」とエルリネと共に、荷馬車の人に言ったところ「止してください」とにこやかに微笑われた。

 何故、止してくださいなのか。

 悪く言えば、何か良からぬことを考えてたりしているのかと邪推したくなるが、人は信じないと生きていけない生き物だ。

 好意的に解釈しておこう。


 夕食時、フロリア家の面々は貴族にあるまじき旅装で摂ったところ、爆発されるかと思ったが、特にそんなことは無かった。

 関わってこないなら、関わって来ないだけよい。


 そんなこんなでセシルの家で過ごす最後の一日が終わり、今日はセシルと共に寝た。


◇◆◇◆◇◆


 次の日。

 日が昇り、いつも通りにトカゲくんに餌の火属性の生活魔法(笑)を上げる。

 その後はストレッチしておく。

 エルリネとセシルも万全な状態になったということで、おっさんの書斎に行ってみればもぬけの殻であった。


 まだ寝ているのか、それとも会えなくなるのが悲しくなって会いたくないのか。

 ……好意的に解釈することにして、書斎を後にする。


 屋敷の外へ出て、待ち合わせの時間まで屋敷の正門前で荷馬車を待つ。

 初めての旅に興奮しているのか、落ち着かない素振りを見せるセシル。

 対して、いつものように見た目クールに目を瞑っているエルリネ。


 荷馬車の人が来て、貴族街入出口門前に停めていた、見たことのない野菜が一杯積まれている荷馬車に入る。

 

 最後の門の前で会いに来るかと思ったが、結局荷馬車が街を出てもおっさんには会わなかった。

 その事実にセシルは残念そうだった。


 セシルにとって最悪な旅立ちだが、その人生の谷のような旅立ちも幸せという山のために必要なスパイスだったと、彼女の口から出るようにしてあげられたら。


 なんて、このセシルを見てそう思った。

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