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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第2章-処刑-
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『拷問の供犠台』による処刑

※警告※


ちょっとだけ、人死に描写に力を入れている場面があります。

お嫌いな方はバックしてください。

「現状、欲しいもの必要なものはないか」と、おっさんに聞かれたため、用意して貰いたいものがあることを伝える。

 それは「お面」だ。

 ぶっちゃけ、子供らしかぬことをやる。

 そいつが素顔を晒していたら、なにかされる可能性がある。

 もしかしたら殺せと言われる可能性もある。

 だから、顔を隠す。

 理由は、火傷にしておくか。

 

 おっさんから単純な形状のお面を受け取る。

 目の部分しか開いてない白いお面。

 うーん、これは中々怖い。

『正義の味方、魔王仮面参上!』ってか?

 おっさんにお礼を言い、ありがたく借り受ける。


 その後、書斎から会場につくまでの間、おっさんとは何も話さなかった。

 一応、エルリネには二言三言ほど話しをしていたが、どれも「当然お供します」と言い切って、頼もしい限りだ。


 家の正門前に停めていた馬車に乗り込み、セシルを下ろそうとしたらガッチリと組み付いて離れなくなったが、無意識の行動にしては高度だが、好かれているのだと思えば悪い気はしない。

 おんぶしながら馬車に揺られること、約三十分。

 処刑会場に着いた。


 その処刑会場はいわゆる建物の中とか、そういうものではなくただ広い草原であった。

 風が吹けば、風が通った跡が風の葉先を揺らし、さぁぁぁと気持ちのいい音と草木の匂いが鼻孔をくすぐる。


 結構な人だかりが見える。

 ……百人近くはいそうだ。

 あれらが今回の被害を受けた貴族だろうか。


 そんなことよりもさっさと殺しておっさんと今後の予定について、すり合わせを行いたい。

 そのためにも、セシルはちょっと邪魔だ。

 エルリネに頼んでセシルを代わりに持ってもらう。

 ガッチリ組み付いており引き離すのに苦労はしたが、無事にエルリネに渡せた。


 身軽な状態でおっさんと共に会場に入る。


◇◆◇◆◇◆


 会場内では盗賊の親玉とその側近が、申し訳程度の布切れを下半身に纏っただけの姿で椅子に座らされていた。

 猿轡(さるぐつわ)は噛まされていない。

 舌を噛んで自殺とかよくある話だが、そうはさせないように何かやっているのだろう。

 興味などない。

 

 被害者貴族だけではなく、一般街の住人たちも来ているようだ。

 金銭関係かそれともそれ以外のなにかか。

 小さな子どもたち――俺ぐらいの年齢かそれ以下か――が泣きながら「姉ちゃんを返せ」と親玉に叫んでいた。

 地元のお姉ちゃんか孤児院のお姉ちゃんか。

 どちらにせよ、戻らない。


 彼らの恨みを受けて、エグく殺すことにした。

 会場の柵を抜け、中に入る。


 他の貴族や一般街に面識があるためおっさんが中に入ったとき、柵の外の観客席からの声が一瞬で静まった。

 そして、その後ろに続く俺の姿を見て、観客は一瞬で爆発した。

 いわばブーイングである。


「子ども如きの処刑人で俺の恨みを晴らせるのか!」とか「子どもにやらせるのか堕ちたな!」といった内容だ。

 晴らせるかどうかは約束は出来ないが、即死はさせないつもりだ。

 その旨を、おっさんには既に話してあるので、代弁してもらう。


「彼は、この憎き盗賊を壊滅させ、この者たちを捕らえた者である!

そして我が娘を盗賊という魔の手から救い、我が娘と私にとっての『勇者』だ!

これ以上の『勇者』は私は知らない!」


 あれえ、処刑内容について触れてないよ?


「そして『勇者』本人から、直々に処刑させろと言ってきた!

彼は、幼いながらも盗賊を壊滅させている。

実力は折り紙つきだ。

私が保証する!」


 それに呼応するように『十全の理』で精製した魔力を「砂鉄の剣(サンドストーム)」につぎ込む。

 もちろん、無詠唱(ヌルロジック)だ。

 人差し指を天に向け、直下に切り裂くように人差し指を地面に向ける。

 特に必要がない行動だが、世間的には勘違いしてくれるだろう。

 つまり、動作が代替詠唱になると。


――「砂鉄の剣(サンドストーム)


 現れる現象。

 それは例の砂鉄の蛇だ。

 当然前回とは違うところがある。

 それは、鎌首をもたげると7m強の蛇ではなく、2m程度の小さな蛇。

 但し、蛇のような生物的な動きではなく、あくまで流動する水のように自由自在の形の剣。

 試し切りとして、座らされている親玉の椅子を「砂鉄の剣」で切断する。

 ズパァン。

 言い様のない音だ。

 しかし、その音で起きることは明確な切断。

 親玉の片足を電動ノコギリと化した「砂鉄の剣」で切断し、椅子も破壊する。

 

 そして一部分だけ流動を停止させた「砂鉄の剣」で、椅子を持ち上げこちらに投げるように命令を送る。

 結果、椅子と親玉がこちらに放物線を描いて飛んできた。


――『拷問の供犠台(ハートレスアルター)』通常駆動。

 ハートレスアルター……。

 直訳すれば、心なき改造台。


 拷問なんてものは心なく、人体改造するものだ。

 つまり、この名称は言い得て妙。


 奇妙な文字配列と魔力線で描かれた幾何学模様の赤黒い魔法陣が中空に現れる。

 そして椅子がその魔法陣に当たり、ガチャンとガラス窓が割られたような音がした瞬間に発生するのは、おどろおどろしい魔力の奔流と現象。


 赤黒く淀んだ半固体状の澱が、椅子ごと親玉を包み込む。

 そして発生するのは何が起きるか分からない拷問。

 

 ……何が出るかな?

 そして出た現象は、黒光りした万力の締め上げ。

 身体の至るところに万力がセットされる。

 そこから、及ぼす結果は……。

 ……うん、グロい。


 想像するのも嫌なので、そっぽ向いて耳を塞ぐ。

 なお、断末魔の叫びはいつも以上にキツかったと注釈は入れておく。

 


 万力で至るところが粉砕された親玉。

 最早死体いや死骸だ。

 モザイクがかかり「お見せできません」状態の親玉、いや肉塊。

 それを見ていた貴族は、みな青い顔だ。

 貴族だけではなく、一般人や子どもたちもみな青い顔で、中には泡吹いて卒倒していう人もいる。


 これで恨みを晴らせたと思ってくれると嬉しいんだが。

 あとは砂鉄の剣で斬るだけだし。


 なんて甘いことを考えていたところ、まだ足りないとばかりに最後のそいつも云々と声を荒げる人が出てきた。

 いやあ、人間怖いですね。


 いや、本当に仮面つけておいてよかった。

 声を荒げる人が怖いので、言うとおりにする。

 やったものはただの魔法で、見た目グロくて即死させる系統のものだ。


 その名も「血茨(ブラッディソーンズ)

 一つの釘のような針を作成し、犠牲者の身体に埋め込む。

 埋め込むと、その釘のような針が体内の血に反応し一瞬の内に枝分かれした針もとい釘を発生、更にその釘から枝分かれした釘を生み出す。

 結果、内部から茨のように枝分かれした釘が体内を一瞬で蹂躙し、その衝撃に耐えられないものであれば、両手両足首頭などが釘に貫かれるなり、千切れるなりする。


 これも正直、直視したくない魔法だ。

 だが、お望みであれば使うしかほかはない。

 だから簡易起動で使った。


 結果、身体から釘山が生えた。

 と、同時に血も噴き出した。

 両手足の関節は千切れ、釘というより剣が生え、剣先に腕やら脚が載っている始末。

 首から上は一際大きく薄い剣に貫かれている。

 血が滴り落ちる、趣味の悪いオブジェクトだ。


 うーんグロい。

 肉塊で辛うじて青い顔で済んでた連中が残らず泡吹いてぶっ倒れた。


 おっさんは青い顔をしているだけだった。

 流石、戦争を経験した人である。


 おっさんの方に向き直りながら「終わりましたよ」と告げる。

「こんな抉ることをよくやれるね」と言いたそうな目で見られるが、別にこいつらを使う気は特になかった。

 だが、まあそういった心理や実力を見せるということを考えていたら、ああなっただけだ。


 ちなみに、吸血鬼を扱う漫画や映画などを見ていたら思いついたものだが、おっさんに言っても詮無きことなので、黙っておく。


 肉塊とオブジェをどうするかとおっさんに聞いてみれば、あとで私設騎士団の面々がどうにかするようだ。

 流石、その手の本職なだけあって私設騎士団の面々は、青い顔をしているだけで特に反応もなかった。

 これで喧嘩を売る相手じゃないと思ってくれれば万々歳である。

 それでも来たら、「血茨(ブラッディソーンズ)」を使おう。


 さて、『子どものくせに、残酷なことが出来る危険人物だから殺せ』とか言われる前に、ちょちょいと脅迫をしておく。

 それは『天雷(ディヴァイン)裁終の神剣(オーバーシューティング)』の通常起動。

 墨汁を溶かしたかのような真っ黒い雲が渦巻き、その中心から空から紫電を纏った神の剣が、顔を覗かせる。


 墜ちればただじゃ済まない。

 それが分かるだけの、とてつもない魔力の奔流。

 おっさんをちら見すれば、『神剣』を呆けた顔で見つめている。

 騎士団の連中も見ている。

 

 ちょっかいをかけてくるときは、戦争だろうか。

 どちらにせよ、抑止力にはなるだろう。


 力を魅せつけたところで、『神剣』解除した。

 墜とすわけがない。

 呆けているおっさんを促して、エルリネの元へ行ってみればセシルが起きており、腰の辺りに向けて突っ込んでくる。

 例の魔族特有の顔ぐりぐりタックルだ。


 本当に腰にぐりぐりするのは何か理由があるのか。

 メティアといいエルリネといい、そしてセシルといい魔族が俺にぐりぐりする。

 なんだこれは。


「おいおい、なんだよ」

 と、セシルに聞いてみれば、離れ離れになる夢を見たそうだ。

 そんな夢を見てから起きれば、目の前にエルリネはいれど、俺がいないから錯乱しかかっていたようだ。


 うーん、本当に離れていたらこの娘どうなってたかな? と下衆い想像をする。

 だが、幸せに出来るよう努力はするといった手前、余計なことは言わずに好きにさせておく。

 つまり、腰に頭ぐりぐり攻撃を甘んじて受けるわけだ。

 エルリネをちらっと見れば、物欲しそうな顔をしていたが、俺の視線に気付いた途端に屈んで一緒になってぐりぐりし始めた


 魔族というものは潜在的に猫の血が混じっているのだろうか。

 ぐりぐりされながら、おっさんと共に馬車に乗った。


◇◆◇◆◇◆


 馬車の中でも相変わらず、彼女たちに膝枕していると寝転がりながら俺の下腹部をぐりぐりしてくる。

 変なところが反応するから止めてほしい。

 そんな俺を羨ましいという目で、見てくるおっさん。

 彼女(セシル)の身のことを考えると、どうせ今後は一緒だ。

 今のうちに聞いておく。


「俺の本気受け取りました?」

 というのも、『神剣』のことだ。

 不都合なことがあれば、「墜とすぞ」というメッセージ。

 それに対して、おっさんは「もちろん」と応えた。

 ならば大丈夫だろう。


「そういえば、ミリエトラル様」

「ん、何。セシル」

「先程の黒い雲と雷球は、ミリエトラル様が?」

「そうだけど」

「そうでしたか。

良かったです。わたくしもミリエトラル様の本気を見れました」


 本気だったら墜としてたのだが、まあいいか。

 そう思いながら、セシルとエルリネの頭を撫でながら、馬車は帰路についた。

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