変化した環境
2章開始です。
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生まれた村から出て行って、はや三ヶ月。
人間とは意外とどうにかなるものであるようだ。
生前の知識からキノコと虫の類は食わないようにしようとか悶々と考えていたものだが、実際はそうも言ってられなかった。
まず、獣が中々いない。
生前やっていたロールプレイングゲームでは草原はエンカウント率が低くて、森が高めだった。
まさにその通りで、草原を歩いたが「野ウサギぐらいいるだろう」とワクワクしても、ウサギの糞すら見つからない。
街へと向かうための街道近くだから、定期的に狩られていたのが原因かとは思うが、それでもウサギとか肉類となるものが見つからない。
その日は結局、そこら辺に生えてる草を食った。
結局腹ペコのまま二日目に突入し、このままではいけないと考えて『視認』を使う。
自身のユニーク属性に該当する魔法だから、別に魔法陣ではない。
そして風魔法でもないから、これつかって勘のいい獣にバレるとかそういうこともない筈。
で、『視認』を使っても、この草原には何もいなかった。
いや、狼っぽい集団はいた。
いたが十キロメートルぐらい先だった。
――いや、無理だわ。十キロメートル先なんて。
危険だ、と思いながらも近くの森に入らざるを得なかった。
入ってすぐ目の前に、毒がありそうなカラフルなドドメ色の蛇がいた。
即座に細く鋭くさせた『隆起する大地』で即死させ、頭を切り落とす。
ビクンビクンとぐねぐね痙攣していて、非常に気持ち悪い。
「うわぁ」とドン引きするも、初めて狩りした結果の蛇肉だ。
ぐねぐね動いてて気持ち悪いモノをもって森の中を歩く。
血の臭いにおびき寄せられた犬っぽいものと猫っぽいのを『凍結の棺』で凍結させたり、『貫く鉄岩』でひき肉にしたりと、モリモリ殺しながら森の中心へ行く。
『視認』を使用したとき、森の中心に池があることを確認したのだ。
で、一人暮らしに慣れるまでは、ここを中心に滞在しようと決めた。
なお、蛇の肉は木の枝を差して火にくべるまで、ぐねぐね動いていた。
「うっ、気持ち悪っ」
一人になると生前の習慣が表に出るのか、両手のひらの皺と皺を合わせて「頂きます」というようになった。
村では「頂きます」の概念は無かった。
ちなみに、蛇の肉は毒の所為か舌先がピリピリしたが、中々美味だった。
近くに生まれた村があるから、バレるかな? と思ったが元々村は基本的に人の出入りがない。
その為、この森には人は来なかった。
『凍結の棺』で凍結死させまくった猫っぽい生き物を、持ってきた黒曜石っぽい見た目のナイフで部位ごとに切っていく。
黒曜石っぽいナイフだけでは、骨などは断てないので『魔力装填:風槍』を付与して猫の腕を切り裂きながら、大体の動物の構造を学ぶ。
どうやら、生前の世界の猫と変わらないようだ。
デカさはダンチだが。
ライオン並にガタイのいい猫が森の至るところから、飛び掛ってくるとか、生前の世界じゃありえない。
『視認』を常時使用し、視界に入った瞬間に『凍結の棺』が自動発動するような設定しないと、普通に死ぬ。
なんてゲームだ。
Lv6でLv30ぐらいのダンジョンに篭ってるような難易度だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
寝るときもキツかった。
まず、『視認』のレーダーを常時展開させる必要があった。
最初の内は、「『前衛要塞』を展開すればいっかー」などと考えていたものだが、『十全の理』がなければ、即魔力が枯渇した。
それに、今後『前衛要塞』などを使わずに、寝る必要がある場面もあるだろう。
その時の訓練のためにも、魔法陣を使わないように切った。
その結果が、これである。
普通に寝れない。
ひっきりなしに『視認』のレーダーに引っ掛かる。
結局、自身の安眠のために魔法を作った。
『自動起動』という魔法だ。
この『自動起動』を『十全の理』に記憶させる。
この記憶というのは『十全の理』特有の付随魔法に登録させるということで、『自動起動』以外にも『無詠唱』、『魔力撹乱』、『多重起動』、『魔法破壊』、『魔力装填』、『魔力支配』がある。
『十全の理』を顕現させないと、これの魔法が使えないというもので、少なくとも現状は俺しか使えない。
原理自体は簡単なので、多分研究されれば簡単に実現可能だろう。
閑話休題
『自動起動』で俺の生活サイクルは安定するようになった。
具体的に言えば、安眠出来るようになった。
『自動起動』に『凍結の棺』をセットすれば、起きたときには冷凍食が転がっているという始末。
簡易冷凍庫の『凍結の棺』で食料を保存するのもよいが、今後の旅のためにも、と燻製の作り方を予測して実践する。
実践するが、火力が高すぎたりして結局出来なかった。
木を燻してというのがまず出来なかった。
生活魔法が使えない俺である。
木に、火を当てると燃える。
いや、燃えるではない。
灰になるのだ。
燃えるを通り越して焼滅する。
火種を作るときは、死んだ生き物に申し訳ないが、凍死した猫っぽい生き物に『火球』を当てて火だるまにさせ、そこに木の枝などをくべて、生活の火にするようにしていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
肉を食べれるようになると、今度はキノコとか果物を食べたくなるは雑食性の性である。
果物とかの実はともかく、キノコは基本的に毒がある。
生前の世界でいうとカエンタケとかあの辺りはいかにもだが、生前の知識でうろ覚えだがカキタケとかいうぱっと見、毒じゃないけど実は猛毒とか、ああいうキノコも当然この世界にもある筈だった。
それでも松茸はともかく、椎茸、舞茸、ブナシメジは好物だった俺だ。
食いたくなるのが道理である。
必死こいて探してみたら、椎茸っぽいのがあった。
臭いは松茸。見た目椎茸。
絶対美味い。
確信した。
ちょっと触れてみる。
特にピリピリしたりしない。
とりあえず焼いてみる。
ほどよく焼けたところに、レモンっぽい酸味を感じる木の実の汁を掛けて、口に入れる。
当たりました。
致死性の毒ではなかったが、死ぬかと思った。
何度、居もしない神に祈ったか、わからないぐらいに祈った。
それでも諦めないのが俺である。
今度はもうちょっと別のを選ぶ。
キクラゲっぽいキノコを発見した。
キクラゲに触れると破れる辺り、生前の世界のキクラゲとソックリだった。
松茸っぽい臭いのする椎茸は焼いて、レモンっぽい汁を掛けた。
きっと食べ合わせが悪かったんだと思い、こいつはそのまま口に投げ入れる
大当たりしました。
死んでない分、こいつも致死性の毒ではないようだが、超激痛。
普通なら諦めるだろうが、俺は元日本人だ。
食には拘りがある。
醤油とか味噌とか作れないし、別に白いご飯が食いたいとかそういったことは無いが、キノコは食いたい。
俺は食う。
絶対食ってやると意固地になった。
そこで気づくのは『蟲毒街都』の存在である。
毒による殺戮用魔法陣だが、もし黒歴史ノートの設定がそのまま反映されていれば、毒キノコの毒性部分が自動中和され、術者は食えるという隠れ設定がある。
なお、黒歴史ノートに隠れ設定を書いた理由が、牡蠣にクリティカルヒットしたからである。
『蟲毒街都』を一先ず使い、焼いた松茸臭の椎茸にレモン汁を掛けて咀嚼。
今度は問題なかった。
ちょっと怖いが、今度はキクラゲっぽいのをそのまま口に入れて呑み込む。
こいつも問題なかった。
今度は最低駆動で松茸臭の椎茸を食う。
ちょっと舌がピリピリしたが、普通に食えた。
これは癖になりそうな、ピリピリ具合だった。
ちなみにこの『蟲毒街都』は周辺に効果を及ぼす系統の魔法陣で、起動しているだけで周辺が毒に侵されるという危険極まりない代物。
実際に猫っぽいもといライオンが襲いかかってきたと思ったら、そのまま倒れて死んだり、口から泡噴いて死んだり、白目向いて死んだり、とにかく危険な魔法陣だった。
通常駆動でこれである。
本気の特級駆動、『十全の理』を起動した上の『蟲毒街都』を使った場合、どうなるか分かったものじゃない。
魔王の面目躍如ばりに周辺に死を与えまくる気がする。
というか、こんな危険な魔法陣の影響下でテトはよく殴り合いが出来たものだ。
これは、普通に怖い。
術者でも怖いと思う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんな感じで三週間ほど森の生き物を殺しまくった。
燻製に出来れば、全部非常食として持ち運べたが、そもそも鞄がないし、どうしようもなかった。
生前の小説のようなアイテムボックスが非常に欲しかった。
この地に「いっぱい動物を殺してごめんなさい」をして、森から森へと三ヶ月かけて移動していく。
普通の六歳児なら、もう既に死んでいる筈である。
チート様々だ。
大火力過ぎてニッチだなあと思ってたけど、本当にこれで良かったと思う。
回復系チートだと、あの村では何も出来なかった。
探索系チートでも、何も出来なかった。
移動系チートも、同じだ。
火力系チートでなければ、最悪母さんと姉さんは死んでいた。
だから、本当に良かった。
と、そんな感じで『十全の理』に対して、お礼を述べていたところ、森を抜け街道に出ていた。
村は結構僻地にあったと記憶していたが、目の前の街道の道は石畳で出来ていた。
そろそろ街が近いのだろう。
森から離れる方向へ、向かって歩いていく。
すると、後ろから積み荷を牽かせた馬車がやってきた。




