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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第1章-成長-
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成長②


 転生したと分かってからは俺の理解度も高まったと思う。

 まず家族構成は、母、俺に父と姉である。


 日本みたいな二階があるような家ではなく一階のみ小さな家で、ログハウスのように丸太が基本の建物のようだ。

 母に寝室だけではなく、外でのんびりと子守唄を聞きながら日向ぼっこのために抱いて連れだされるため、ある程度部屋割りも分かった。


 両親の寝室とそれとは別に俺と寝るための寝室、姉の部屋に食事をするための居間が、今のところ確認出来ている。


 他に分かったことと言えば、異世界転生モノと言えばゲームのようなステータスが見えたりするものだが、残念なことに俺が転生した異世界ではそんな便利なものはないようだ。


 この世界における自分はいわゆるチートな存在なのか、それとも平凡ながらも下克上を目指していくのか、具体的なものがないから分からない。


「努力したら化け物になっちゃいました」とか笑えるが、なった本人は笑えない。

 かといって平凡ながらも平凡に生き平凡に死んでいくなんて、折角貰った生が勿体無い。

 なんて考えていたが、家族が言っていることがなんとなく理解出来るようになったとき、俺は衝撃を受けた。


 大体、首も据わってから生後3ヶ月ぐらいだと思う。

 いわゆる『はいはい移動』が出来るようになった頃だ。

 それをお母さんに見せたとき、「あら……、お父さーん! ミルが、ミリエトラルがはいはい出来るようになったわよー!」といってお父さんを呼びに行った。


 実は、はいはい移動については首が据わるまえから出来ていたが、視界が揺れに揺れて酔っていたのでやらなかった訳で。

 ……そんなにはいはい移動を出来るようになると、喜ぶようなものなのかねぇ、ちょっと理解出来ないな、と思った。


 因みにその日の夕食は俺はあいかわらず授乳だったが、両親と姉の食事は割りと豪華だった。



 閑話休題。


 衝撃を受けたところは、『ミリエトラル』という名前である。

 これはなんというのかというと、実は俺の異世界向け黒歴史ノートにまとめたキャラクターの幼名なのである。


 生まれも家族構成も特に指定していないが、村の外れでのんびりと過ごし、村にある学校でとある事件がある。

 その事件を経て、ミリエトラルに才能があるということで都立の学校ではなく、王立の学校に進学し更にまたその後の人生を左右する事件があって真の力に覚醒して……、という設定の脇役。


「ミリエトラルなんてこの世界腐るほどいるんじゃね?」とも考えたが、どうもそれも違うようだ。

 特に『ミリエトラル』に意味は設定していないが、この世界、いやこの村の土着神が『ミリエトル』という名前らしい。


 その為この世界に腐るほどいるわけではない。

 つまりは珍しい、オンリーワンなわけである。

 他にもある。

 生家が村の外れであったが、実際にこの家は村の外れだ。


 あとは決定的だったのは、姉の名前である。

 姉の名前は『シス』、そして苗字もといファミリーネームは『フロリア』

 つまり、姉の名前は『シス・フロリア』である。


 出来過ぎなだけかと思ったが、『ミリエトラル』と『シス・フロリア』に村の外れ。

 これだけ条件が揃っていれば、自分の黒歴史ノートの内容がこの世界で反映されていると思うしかない。

 異世界もので王道な魔法という存在もある。


 更にいえば、生後4ヶ月にて主要属性判定があり設定通りの結果になった。

 これには驚いた。

 王立の学校で初めてリトマス試験紙みたいな白地の用紙に、魔力を当て主要属性を判定するものが村の学校で行われた。

 この時の判別方法は魔力を当てるのではなく、あくまで舐めることらしい。

 まさにリトマス試験紙。

 あれは液体に浸すだったが。


 で、俺の結果は強い白色に薄い虹色。

 つまり基本無属性だが死ぬほど努力するか化け物になれば全属性使えるという、極端な魔法使い人生になりそうなのだ。


 因みに属性は無属性(白)、火属性(赤)、水属性(青)、風属性(黄)、地属性(緑)、聖属性(光)、闇属性(黒)という七属性構成だが、別の国では十個以上あるらしい。


 学校の判定した職員や他の家庭のご両親たちの反応は、無属性のためか哀れみの目で見られたが、両親は薄い虹色があったことで喜んでいるようだ。

 その日の夕食も豪華だった。

 こんなに頻繁に豪勢にして、この家の財力はどこから来ているのだろうか。


 と、このようにある程度大きくなってから活きてくる設定が、産まれて間もない間に設定が反映されてきている。

 設定上の彼は王立の学校に通ってる間ははひたすらその薄い虹色のために努力していき、ユニーク魔法を成立させ、死ぬほど努力した結果の化け物になった。


 その設定も大事だが、ある程度一足飛びに設定がこの幼少時に反映されるのであれば……と思ってそのユニーク魔法を発現させるために俺は努力している。

 あとはきっかけがあれば出るはずなのである。


 しかし悲しいかな。

 たかが生後4,5ヶ月の子供に精神年齢27歳いるとはいえ、身体は歳相応。

 潜在魔力も歳相応。

 大抵こういうものは使わないと成長しないので使いたいものだが、無属性の魔法なんかピンと来ないので、ひたすら自宅のログハウスを燃やさない壊さないで、どうにかなるような属性をウンウン悩みに悩んで疲れて昼寝を一日二回。


 赤ちゃんの本能通りに甘え泣きをしてしまい、悩んだ内容をすっかり忘れて姉と遊ぶ毎日。

 練習する属性について決めたのは、属性判定で結果が出てから2ヶ月後のことだった。

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