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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第3章-ある日の一日- IV
210/503

F?? A 日記

――いもうとだけは、どうかいもうとだけは。



 古代の歌詞の碑文:数多の魂食らう双月の神守-カルティス・オーティア-



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――いやだあああああ、いやだあああああ、たすけてよ! たすけて! いやだこないで! いやだいやだいやだ!


――おねえちゃああああん、たすけておねえええちゃああああん。



 古代の歌詞の碑文:数多の魂編ゆむ双月の墓守-カスタリルム・オーティア-



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ごしゅじんさまからもらった日記帳も二十二さつ目になりました。

 今さつも毎日ごしゅじんさまに低出して、ごしゅじんさまの"こめんと"が欲しいと思います。


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日はニルティナの森の中でお野さい、フィウガルと思って抜いたらさけばれました。

世界を薙ぐ影なる灯火(ワールドアポカリプス)』の「魔法支配(マジックスナッチャー)」と、わたしの毛皮に込められた「魔力撹乱(カウンタースペル)」で無効化と指向して別のフィウガルらしきものにぶつけてみたら、大量の食人植物がおそかかてきました。

 わたしと妹はごしゅじんさまのこのえです。

 返りうちにしたら、ニルティナからおこられました。



 コメント:森の一角を細切れにして耕した上に、焼き畑にしたらそりゃ怒ります。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 今日はごしゅじんさまに毛づくろいしてもらた。


 きもちよかた。



 コメント:夏毛から冬毛に生え変わる時期ですからね。



 妹の毛皮もごわごわしていたので舐めて取ってあげた。


 人化しての指は思い出すから嫌だって。



 コメント:そうなんですね。できれば流血沙汰になる前に言って欲しかったです。



 妹に噛まれたごしゅじんさまの指の血はわたしがおいしく頂きました。


 とってもおしかたです。


 コメント:舐めてくれるのはありがたくもないというか、なんというかですが、人化して艶かしく舐め取るのは止めてください。

 あなたの妹が威嚇してくるので。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日はぽかぽかしてました。


 コメント:いっしょに縁側で寝ましたね。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 とってもへいわでした。

 だからごしゅじんさまのとなりでねました。


 コメント:妹さんの唸り声がなければとても平和でした。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 エルとネスをまじえて庭前でねました。


 コメント:珍しく妹さんが唸り声をあげずにおりました。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 人族と獣人族の『勇者』とかいうのが、あらわれたので殺しておきました。

 久しぶりの生命力に満ちたお肉おいしく妹と味わいました。


 コメント:(なし)



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ネスがまた『勇者』とかいうのを黒こげにしたと言って、肉を持ってきました。

 もちろんたべました。

 ちょっといきてたみたいですが、たべました。

 おいしかたです。


 コメント:(なし)


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ネスがメスの人族のこどもを連れてきてました。

 拾ったようなので食べようかなと思いましたが、たまにはということでニルティナの森に置き去りにしておきました。


 コメント:報告にありませんでしたが、いつ頃の話ですか?



 お昼過ぎたぐらいだたはずです。


 コメント:ちなみにどの辺りに置いてきました?


 ありづか。


 コメント:……合掌。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 また『勇者』がきました。

 こんどはありづかのようなたいぐんを引き連れて、です。


 エリーが『再活性の円舞曲(リアニメイトワルツ)』でたいぐんを殺りくしました。

 ティーネが『焼灼焔の言霊(ムスペルヘイム)』で黒揚げ、ネスが生焼きにしてました。


 さすがに肉食のわたしと妹、ティーネにネスでもこんなにはたべれません。


 コメント:人の食生活なのであまりとやかく言わないようにしてましたが、あんまり人肉を食べるとか言わないで欲しいかな。カルティスだけの問題じゃないけどね。

 


 ごめんなさい、ごしゅじんさまは人族でした。


 コメント:わかってくれるとありがたい。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 みんな肉食でした。


 コメント:敢えていいますが、ニルティナが伏兵過ぎますね。それとエルリネとエレイシアの二人が曰く当分肉は見たくないと、げんなりした顔で言ってましたよ。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 おいしかった……です。


 コメント:なにが? とは敢えて聞きませんが……。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 獣化して森林よくいていたら、魔獣が寄ってきたので肉にしておきました。


 コメント:魔獣というより魔狼ですね。一応、カルティスとカスタリルムの君たちの遠いご先祖かと。

 獣化の姿を見ているとそう思います。…………これ、去年も言った気がします。  



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日ははじめてこのばしょにきた日でみんなといっしょにおまつりです。

 お肉おいしかったです。

 それとごしゅじんさま、これからもよろしくおねがいいたします。


 コメント:思い出したくない過去があります。それを乗り越えなければいけない。

 正直、何もかも捨てたくなる気持ちがふっと沸きます。

 でも、家族がいるからやっていけると、そう思っています。

 祭りのあの場で言ったことは本音です。ですから、カルティスもカスタリルムも欠けないでください。

 二人は大事な家族です。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日はごしゅじんさまと妹といっしょにおさんぽに行きました。

 かけっこに『戦熾天使の祝福(セラフィックイージス)』の加速はひきょうです。


 コメント:『歴史を垣間(ハルシネイト)見る、不純(ストーカー)なる昏い(マルチプル)闇夜月(ラピッド)』を使うのも大人げないと思います。

 あと妹さんがしれっとゴールしていたことには笑いました。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日は妹とごしゅじんさまと(破かれている)


 コメント:何があったのでしょうか。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 今日は毛繕いしてもらいました。


 コメント:いきなり人化して艶かしく嬌声をあげないでください。

 近くにいた街の人がギョッとしてましたよ。

 あと、妹さんに聞かさないでください。また流血沙汰になります。


 妹もやって欲しいって。


 コメント:そう言って、この間ガブリしましたよね。覚えてますよ。



 背中だけじゃなくて首周りとお腹も。


 コメント:そう言ってこの間、お腹と胸を(くし)()いたとき、人がいるところで人化しましたよね?

 往来でセクハラさせるのは、なんかの罰ですか?



 ごしゅじんさま、さいきん元気ないから。


 コメント:……励ましてくれるのはありがたいですが……、いやこれはもう直接いいますね。



 ごしゅじんさまの身体が温かくて気持ちよかった。


 コメント:一言言わせてもらうと……女性ですね。君たちは。本当にそう思います。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――――――中略――――――


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日もぽかぽかしていたので妹と一緒にエルさんにお散歩をお願いしました。


 かくれんぼでエルさんの『闇夜の影渡』はひきょうだとおもいます。



 コメント:でも楽しかったのでしょう?



 うん、とても楽しかった! あまり運動しない妹が一番楽しんでた!


 コメント:そのことエルリネにも言ってあげてくださいね。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日は妹と綱引きしてた。


 コメント:その姿をみていた街の人が言ってましたけど、肉でやらないようにしてください。

 しかも、報告ないですが君たちが綱引きしてたのは何の肉ですか?


 拾ってきた『勇者』!


 コメント:…………。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ごしゅじんさまに抱いてもらった!

 暖かかった。


 コメント:以前、君たち姉妹が焼き畑にしたところで畑作りしてたら、君たち寄ってきたのはまぁいいとして。

 首輪を口で持ってお散歩をせがむのはどうかなと思います。

 それに応えた自分も、相当……。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日も散歩した。

 珍しくネスと一緒にだ。

 おまけに今日は街なかをお散歩だった。



 コメント:首輪を付けるときに人化するの禁止って言いましたよね。

 往来で人化して艶かしい声出すの止めてください。


 いつも森の中とか山登りとかしてましたからね、たまには街中を、と思いまして。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ――――――以下続く――――――





――ごしゅじんさまがわたし達姉妹を拾ってくれたから、ここまで生きてこれました。


――そうでなければ、わたしはあの場で死に。


――妹は。


――いえ、逆です。


――ごしゅじんさまがいたから、わたしは全てを切り裂く爪を持ち、全てを貫く牙を持てました。


――ごしゅじんさまがいたから、妹はあんなに元気に走り回ることも出来るようになりました。


――ごしゅじんさま、だいすきです。



 古代の歌詞の碑文:数多の魂食らう双月の神守-カルティス・オーティア-



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



――ふんだ、ウェリエのことなんか嫌い。


――いつもお姉ちゃんのこと構ってさ。


――いっつもお姉ちゃんの毛皮に顔を(うず)めてさ。


――お散歩程度じゃ騙されないもん。


――ふーんだ。



 古代の歌詞の碑文:数多の魂編ゆむ双月の墓守-カスタリルム・オーティア-



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