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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第3章-不穏-
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誰かの手記

 わが国において魔石が足りなくなってきている。


 昨今のわが国において、高純度の魔石というものは何物にも代えられないほどに必要不可欠なものとなった。


 我が城下街の生活の灯火に必要であるし、ウェドとカニネの合成油を使わずに暖炉の火を留めおくことも出来るようになる。


 我がこの手記を書く灯火も高純度の魔石があるからこそである。


 低級度の魔石であれば、こうはいかない。


 もし低級度であれば、灯火は今にも消えかかりそうに点滅することになる。


 もちろん城下街もそうだ。


 灯火が暗ければ不穏な街になり、犯罪が増えてしまう。


 財布切りはもちろんのこと。


 殺人、強姦も増えてしまう。


 よって、低級度の魔石は使うことは出来ない。


 街の営みだけではない。


 国の防衛にも必要であるし、魔術師たちの触媒にも必要である。


 魔法の「炎の槍」一つでも魔力を消耗するのは同じであるが、更に余剰分として魔石を消耗することで投げ槍程度の大きさであった「炎の槍」が、攻城兵器のような大きさの「炎の槍」となる。


 であれば、だ。


 当然、高純度の魔石であれば更に戦争で有利になるであろう。


 早急に隣の国であるザクリケルに、魔石の材料となる魔族を仕入れる必要がある。


 かの国は魔族が主となる国である。


 よって最もな理由をつけてわが国に来て貰うように仕向ける必要がある。


 理由は何がよいか。


 行き場を失った奴隷、または新天地を求める魔族、いや魔族ではない。


 今後は魔力人形というべきであろう。


 魔力で動く人形。


 我ながら言い得て妙だ。


 新天地を求める人形に新しい職場を与える。


 雄も雌も封印処理を施し、魔石にする。


 おっと最近、雌人形が子どもを産んだが、その子も人形であった。


 で、あれば雌は犯し、子を為させた上で封印処理を施せば少ない手間で、高純度の魔石が一つ出来る。


 うむ、これは素晴らしい。


 どうせ、雌は食わせる手間がある。


 ならば、孕ませた上で食わせれば一匹分の餌で二つの魔石が(まかな)える。


 更に大変汚らわしいことであるが、人形は人の姿を取っている。


 で、あれば雌人形を犯す雄はたくさんいる。


 精など選ぶ必要などない。


 人形は我が国をより強固にするための(いしずえ)、いや家畜となってもらう。


 いや、人形ごときが人族のためになる。


 なんと、喜ばしいことか。


 取り急ぎ、我が王に明日にでも掛け合うことにするか。


 最終的にはザクリケルも墜とし、王族も魔石に出来れば我が国が世界を制することも可能であろう。


 我が国は私から見れば息子同然である。


 息子が成人するのを楽しみにしない親などいない。


 さあ、早く成人し我が国が世界を制して欲しいところである。

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