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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第3章-半年の期間-
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主に休日の過ごし方 I


 入学してから半年が過ぎた。


 エルリネ曰く『魔草』と同じく絶滅したという『竜種』。

 その『竜種』が小型になって肩に張り付いているとなれば、面倒になることは必至。

 という訳で、人化した状態で授業を受けてもらうことにした。


 幸いなことにパイソは人化でいたいというし、学びたいとも言ってきたのでちょうど良かったと思う。

 パイソの知識は確かに高度ではあった。

 張り付く力はあれど物を掴む、握る力はないだろうと言って、優雅に先割れスプーンの柄を握っていたのは過去の話。

 今では、俺と同じく箸にチャレンジし、結果箸をマスターした。


 その箸をマスターした経緯(いきさつ)は少々物悲しいものであった。

 というのもエルリネののほほんお姉さんと違い、パイソはキツめのお姉さんの見た目をしており、雰囲気も怖い。

 そのため朝昼晩の飯に、子どもたちの集まりに突撃しようとしても避けられ、しょぼくれて俺のもとに帰ってくるを繰り返す毎日だった。

 今では俺と同じく、カクトとティータだけが友人だ。

 いや、ティータは違うか。


 カクトが捕まらなかったときは、俺とパイソの二人で固まって食事をしているところで、知識にないという"箸"に興味を持たれた。

 先割れスプーンが刺してよし、掬ってよしの万能食器であるが、何故"箸"というものを使っているのか。

 箸は掬ったり切ったり出来ないため、不便に見えるかもしれないが云々と箸の良さを語った。

 これで俺もweb小説の主人公の仲間入りである。

 とにかく語った。

 最悪、木の枝を適当に折って二本あれば箸になるということを強調し、旅で作る必要がないと訴えたところ「では、私も覚えたいな」ということになった。


 最初の内は当然握り箸だった。

 最早日本人として当たり前で身体が、というよりも魂までしっかり持ち方がインストールされているが、外国人いや異世界人からすれば見たことがない持ち方だ。

 だがパイソは割りと覚えがよく、実際に俺が動かす(さま)と持ち手を見せることを数回やったところで、握り箸がなくなった。


 代わりに起きるのは、いわゆる十字箸だ。

 しかしこれも彼女の手を触りながら、木の枝の置き方から教えても理解されなかった。

 だが、俺が実際に持ち、指の置き方持ち方を説明したところ理解したようで、覚えきった今では汁物や、ヌルヌルと滑る麺、小さな粒まで箸で(つま)んで口に入れることが出来るようになった。

 どうやら彼女は実践もそうだが、理論を教えればそっちから覚えるようだった。


 因みにティータもいつ覚えたか分からないが、箸派のようだった。

 中々上手く、手先の器用さは俺と変わらなさそうであった。

 そのことを褒めたところ、何故か向こう脛を蹴られた。

 釈然としない。


 箸のこと以外でもパイソのスペックは高かった。

 まず座学で約二ヶ月おきに試験があるのだが、俺と同じく満点をとる。

 パイソ自身には「過去から培った知識があるから」とは言っていたが、それでもそれを実践するのは中々に難しい。

 俺自身は実践授業が免除のため、ひたすら復習に走れるため当然の結果だ。


 エレイシアも日本語が覚えられるため、座学試験が高得点かと思えばそんなこともなく。

 彼女のプライバシーのためにも、実際の内容については沈黙しておく。

 エルリネ、セシル、クオセリスの三人も中々な高得点を取り続けているようだ。


 肝心の実践授業については『咆哮』と『最終騎士』、『前衛要塞』が主力攻撃で魔法がない。

「火球」などの魔法は使えるため、一応攻性使いとしてティータらと共に学んでいる。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 半年もすれば休養日の時間の使い方に小慣れてきた。

 休養日以外の授業のある日も欠かさず、毎日跳ねるおっぱいさん二人と共に学園周りのマラソンをする。

 跳ねるおっぱいについては三週間もすれば最早慣れてくるが、それでも目に毒というのは変わらない。

 なので両名にブラジャーを作ってあげた。


 詳しい作り方などは知らない。

 見よう見真似の覚えている限りの雑なつくりだ。

「もし不便なところ、またはちょっと痛いところがあったら教えて」と伝えるも、四ヶ月経った今でも何の不満も貰っていない。

 更に言えば、なんかこう毎日大事に使っているようで、市販の下着は割りと雑な扱いをされているが、ブラジャーだけは本人が丸洗いして干している。


 彼女たちの下着の上下もたまに俺が洗濯することもあるが、ブラジャーだけは未だ無い。

 嬉しいやら悲しいやら。

 だが、ブラジャーがあっても跳ねるものは跳ねる。

 具体的に言うと、下から上におもいっきり上がっておもいっきり下がるということが無くなっただけである。

 下が固定されているとはいえ、上に上がって下に戻るを繰り返す。

 更に走っている内になんとなくズレているようにも見えるのだ。

 ブラ線というべきか、汗かいて胸側の上着にブラジャーの形が浮き出るのだが……なんかこうズレている。


 二人とも「走りやすくなった」と言っているため、作った甲斐はあるがこれではまだ不完全ということで、最近で作ったのが"スポーツブラ"である。

 これで俺もモノづくり系web小説の主人公だ。

 そのスポーツブラを渡すときもちゃんと使い方を説明したところ、「流石、ご主人様」とエルリネから評価を受けた。


「エルリネ、パイソ」

「何だ、兄上」

「前にあげた"ブラジャー"だけど、動きを阻害するようだからさ。

ちょっと改良したんだ。着用()けて貰えるかな?」

 そういって差し出したのは、スポーツブラで二人とも、見ても分からないようだった。

 ある意味当然とも言える。


 前回渡したブラジャーは肩紐に腕を通して、前面部のホックをかちりと嵌めるタイプだった。

 スポーツブラはそんなものはなく、下着の上のようなものだ。

「これはただたんに下着のように着るんだ。ちょっとキツいかもしれないけど、これで胸を固定するから以前のものを使うよりは走りやすいとおもう」

 パイソはともかく、エルリネばかりは二人旅のときにじっくりねっとりと胸を凝視した。

 他にも何度も抱き抱えられたこともあるため、エルリネの胸の大きさだけは手に取るようにわかる。


 だから、こういったスポーツブラもブラジャーもエルリネのものであれば、寝ながらでも出来る。

 肝心のエルリネの反応も上々だ。

 跳んだり跳ねたりしても、一体感がするとのことだ。

 パイソも非常に大きい胸をしているが、エルリネよりも余裕さを作れば同じもの。

 彼女にも同様に作れば、彼女の反応も上々。


 こうしてスポーツブラが出来てからは跳ねることがなくなり、目に毒ということは無くなった……わけでもない。

 新しい問題として、汗を吸ってエロい。

 とにかくエロい。

 生前、別に汗フェチとかその手の類はなかった筈なのに、こうギュンギュンにクる。

 エルリネの汗の匂いに混じって、薄荷も漂う。

 俺を殺す気かと叫びそうになるぐらいに、エルリネが特にヤバい。


 むしゃぶりつきたくなるぐらいにヤバい。ヤらないけど。

 更にいちいち動作が、そそるようなことも平気でやる。

 ヤバい。

 俺が成人する前に、エルリネに赤ちゃん出来るかもしれない。

 もちろん、俺の子。


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